もふもふ好きのお姫様

桐生桜月姫

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1人の女の子

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「君は今、王女じゃなくて恋する1人の女の子なんだから、好きに過ごしたら良い。私もそうだ。だから、ケイと思い思いに過ごせ。」

「ですが………!!」

 私は王家の血筋の人間です。いつどんな場であろうともその自覚を持った行動を取るというのが当たり前のことです。だから、アインスお兄様がおっしゃっていることは………。

「遊学先で、私たちはただの遣いという立場になる。当然、王家の人間であるということは明かさない。だから、遊学中私たちは、ただの一般庶民だ。」

「………………。」

「私のいうことが信じられない?」

 アインスお兄様は、兄妹の中でも最も頭が良くて、賢くて、なんでもそつなくこなす頼りになるお兄様です。ですが、今の彼の言っていることはあまり理解できません。

「じゃあこうしよう。君は今から商家の娘のロッテ、そしてケイは幼馴染のケイトだ。私と兄上はそのまま君のお兄様。これなら素直に感情を表せるかい?」

 どうやらアインスお兄様は、どうにかして私を素の私にしたいようです。ここはもう、頷くしかありませんよね。
 私はアインスお兄様の甘美なお願いに、困ったような表情で頷きます。

「分かったわ。アイン兄さま。これでよろしくって?」

「ーーーあぁ、構わないよ。僕もアインとしてこれからは過ごすことにしよう。」

 『僕』という久々に聞く一人称を懐かしく思いながら、私はアインスお兄様に連れられて、ケイたちの待つ馬車へと足を向けました。

「ケイ、あなたはこれからケイト、私はロッテよ。さあ、お外での演劇に戻りましょう?」

 目をぱちぱちとさせたケイに、私は優しく笑いかけました。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

新作
『ふむふむ成る程、わたくし、虐めてなどおりませんわよ?』を始めました。
紹介文は
 ミルフィーユ・アフォガードは虐めっ子が原因で婚約破棄されたけれど、実は正義の味方だった!?
 この際、自分を馬鹿にしてくる血筋至上主義のおバカどもを懲らしめます!!
 さあ!泣いて喚くのよ!!
です。是非読んでみてください!!

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