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お任せします
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「ひとまず平民街に紛れ込む気ならば、裕福な家の商人の娘と息子という設定にいたしましょう。シャルロッテ殿下は髪をお団子にして、できるだけ顔を見えないようにするのが得策でしょうね。ケイ様もあまり顔を晒さないことをおすすめします。こんな容姿では拐かされますからね。」
人差し指を1本だけ立ててゆらゆらと揺らしたシルフィさんに、私はふむふむと頷きました。
「平民街の治安はあまり良くないのですか?」
「いいえ、今代の国王陛下に代わってからはとてもいいと聞き及んでいますわ。ですが、危険なものは危険です。最善を尽くすことにいたしましょう。」
私はふむふむと頷いて、シルフィさんの話にすっかりと聞き入ってしまいました。それは隣に座っているケイも同じようです。お耳と尻尾は隠れていますが、集中していることが伝わってきます。
「と、いうことで私はお洋服のデザインをさせていただきます。20分ほど欲しいので、その間は旦那の授業でも受けていてください。」
「えぇ、お願いします。デザインは先程も言いましたが、全てお任せいたします。」
「はい!徹底的に作り込ませていただきます。」
シルフィさんは職人魂のスイッチが入ったのか、拳を握り込んでフンスフンスと意気込みました。頼もしい限りです。
「あ、シルフィさん。服にこの魔法陣を付与することはできますか?」
そこではたっと思い出した私は、昔作った魔法陣の紙を懐から出しました。
「これは………、………簡略化されていますが結構高度な魔法ですね。」
「えぇ、普通の職人さんではないシルフィさんならできるのではないかと思いまして………。」
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
人差し指を1本だけ立ててゆらゆらと揺らしたシルフィさんに、私はふむふむと頷きました。
「平民街の治安はあまり良くないのですか?」
「いいえ、今代の国王陛下に代わってからはとてもいいと聞き及んでいますわ。ですが、危険なものは危険です。最善を尽くすことにいたしましょう。」
私はふむふむと頷いて、シルフィさんの話にすっかりと聞き入ってしまいました。それは隣に座っているケイも同じようです。お耳と尻尾は隠れていますが、集中していることが伝わってきます。
「と、いうことで私はお洋服のデザインをさせていただきます。20分ほど欲しいので、その間は旦那の授業でも受けていてください。」
「えぇ、お願いします。デザインは先程も言いましたが、全てお任せいたします。」
「はい!徹底的に作り込ませていただきます。」
シルフィさんは職人魂のスイッチが入ったのか、拳を握り込んでフンスフンスと意気込みました。頼もしい限りです。
「あ、シルフィさん。服にこの魔法陣を付与することはできますか?」
そこではたっと思い出した私は、昔作った魔法陣の紙を懐から出しました。
「これは………、………簡略化されていますが結構高度な魔法ですね。」
「えぇ、普通の職人さんではないシルフィさんならできるのではないかと思いまして………。」
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