もふもふ好きのお姫様

桐生桜月姫

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王女の敗北

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「うん!ありがとー、しゃる。」

「え、えぇ……。」

「ーー完全なるシャルロッテの敗北だな。」

アルノルトお兄様に文句を言いたい所ですが、おっしゃる通りですので、文句を言うことは叶いません。
ですが、そもそもこのケイの嬉しそうな可愛らしいキラキラスマイルに勝てる人がこの世に存在しているとは思えません。もしも、もしもこの世に存在しているのならば、是非ともお目にかかりたいものです。そして、その秘訣を是非ともお教え願いたい限りです。年上としてケイを正しい道に導くためには、必要不可欠な能力ですからね。

「悔しいのは分かるが、もう少し表情を繕え、シャル。」

今の私はそんなに悔しそうな表情をしていたのでしょうか……?
むにむにと頬をほぐしていると、ケイと偶然視線がぶつかり、ケイがにっこり笑ってくれました。
釣られて笑ってしまったのは、不可抗力です。

「……シャルはケイと一緒にいると多少は年相応になるな。」

「……そんなことはないかと存じますが……?」

「あるよ。」

あまりの即答具合にむぅっとしながらも、私は素直に敗北を認めます。
兄妹の差はとても大きいと聞き及んでいましたが、それは本当なようです。
私はいつまで経っても、このトラブルメーカーのとーっても迷惑なアルノルトお兄様に勝てることはこの先の人生で1度たりともないでしょう。本当に難儀なものです。

「しゃるのまけ?」

「負けです。」

アルノルトお兄様と私を交互に見たケイは、むむむぅーっと考え込んだ後、私の方を見て小首を傾げながら質問してきました。
潔さも人生の中では大切です。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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