もふもふ好きのお姫様

暴走夫婦

昼過ぎになり、お勉強の時間になりました。

「先生、宝石は持ってきましたか。」

私は決して今の荒んだ感情を気取られないようににこやかに質問します。

「はい。……その、殿下、シルフィ、……妻も一緒に来てしまいました。」

はい、知っています。姿は見えませんが、先生の後ろに人の気配がしていますからね。

「知っています。奥様はシルフィさんとおっしゃるんですね。」

「はい。」

先生は何故か神妙な顔で頷きました。
そしていきなりパッとした輝いた顔をこちらに向け、捲し立てるように爛々とした目で話し始めました。

「シルフィはその名に相応しく、風の精霊の様に美しいんです。恥ずかしがり屋で普段はおどおどしているんですが、魔法を使用するときは、凛々しくてかっこよくて、でも、魔法を使い終わると甘えてきてくれるのがもう最っ高に可愛いんです。ギャップ萌えサイコー！！　　べぶし！？」

私は必死になってびっくりしているのを隠しながら先生の話しを聞いていましたが、ギャップ萌えサイコー！！という言葉を聞いた瞬間、何故か先生の後ろで不穏な気配のゆらめきが起こり、先生が変な言葉を出しながら吹っ飛んどことで目を見開いてしまいました。
そう、奥様があまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にして出てきて、先生を殴ったのです。魔法で隠れていた筈なので、おそらく、恥ずかしさで魔法が不安定になって出てきてしまったのでしょう。

シルフィさん、ご愁傷様です……。

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