もふもふ好きのお姫様

桐生桜月姫

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王子・王女の思い

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「しゃる?もうしゅぐつくよ?」

私はクロエの事を思い出しながら歩いていた為ぼーっとしてしまったようです。
あの後、アインスお兄様の計らいでアルノルトお兄様の王獣“白虎”の元に直ぐに行くことになりました。白虎は情に厚く、クロエを失って荒れていた私を支えてくれました。ですから、そんな白虎が瀕死だと聞いて内心穏やかではありませんし、手は寒いのに汗でびっちょりです。ケイと手を繋いでいますから、平気なフリが辛うじてできているだけです。アルノルトお兄様はそわそわして顔が強張っていますし、アインスお兄様は早歩きで無表情です。アインスお兄様が笑顔でないのはとても珍しい事です。それ位白虎は兄妹に大切にされているという事でしょう。アインスお兄様が白虎と仲が良かったというのは意外です。

「ア、アインお兄様、お兄様は白虎と仲がよろしいのですか…?」

アインスお兄様が笑わずに話しを聞くと言うのは珍しく、尻すぼみになってしまいました。怪訝な顔をなさっています。あわわ、ちゃんと理由を聞かなければ…

「あの、その、びゃ、白虎の事をもの凄く心配なさっている様なのでその……あぅ…。」

「シャルがそんなにこんがらがるのは珍しいね、それに表情があからさまなのも。それだけシャルは白虎が心配なんだね。」

アインスお兄様は静かに微笑みます。私は少し落ち着きを取り戻しました。

「えぇ、白虎は情に厚く、クロエを失った私を気にかけてくれましたから。」

「白虎は流石だね。あぁ、さっきの質問の答えだけど、私はね2歳の頃1回誘拐された事があるんだけどね、その時白虎に助けて貰った事あるんだよ。白虎は私にとっての命の恩人なんだ。」

「そんな事が…。」

そんな風に話しているとみんなの緊張がだいぶ解れ、白虎への思いが強くなりました。アルノルトお兄様に至っては感動で泣いています。ケイはそんな私達を優しい表情で見守っています。ケイはいつも自分がいて良い場所を探している気配がします。もっと我儘になって良いんですよ。

さぁ、頑張って治療しましょう。

********************

読んでいただきありがとうございます😊

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