【完】ふむふむ成る程、わたくし、虐めてなどおりませんわよ?

桐生桜月姫

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仲良し夫婦の大波乱④

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▫︎◇▫︎

 妊娠8ヶ月に入ったある日、普通よりも大きくお腹が膨れたミルフィーユが激痛を訴えながら倒れた。医者や侍女たちがこれでもかというほどに怒鳴りながら汗だくになって全力疾走でお湯や布を運ぶ。
 ミルフィーユの呻き声や鳴き声が聞こえる部屋の前に立っているルイボスは何もできずにただただ涙目で座り込んでいるしかできない。
 けれど、そこに立っているだけでは急いでいる侍女の邪魔になってしまうのか、殺気立っている侍女に何度も何度も睨まれてしまう。
 ぎゅっと拳を握り込んでミルフィーユの無事を神に祈っていると、目の前に影が差した。立っていたのはミルフィーユの腹心の侍女だった。

「ルイボス王太子殿下、ミルフィーユ妃殿下からの伝言でございます。“腰抜けルー君。わたくしは大丈夫だから、さっさと今日あるはずの大事な会議に行ってきなさい。行ってこなかった場合、1週間子供には会わせないわ”だそうです」
「………僕の妻は僕よりも圧倒的に強いようだ」

 涙目でふらふらと立ち上がりながら、正気を半分失っているルイボスは頬を思いっきりよく叩いて気合を入れ直す。

「………最速で仕事を終わらせて戻ってくるよ」

 いつもの王太子の笑みを浮かべたルイボスはその日、人生最速にして今までの会議史上最速で議題内容を完璧に議決させるという伝説を残したらしい。
 5時間後、無事に仕事を全てこなしたルイボスは普段の品性方向さを遠くへ投げ捨ててミルフィーユのいる部屋へと全力疾走していた。護衛騎士をも置いていくスピードで城内を全力疾走する姿は、誰にも咎められなかった。それどころか、どこか緊張した空気が流れている王城内では応援される出来事となっていた。

「はぁー、はぁー、」

 部屋まではもうすぐ。息が乱れて、足がも連れ始めた頃、やっとのことでルイボスはミルフィーユの部屋へとたどり着いた。へなへなと扉近くに座り込んだルイボスは、子供が生まれる前に戻ってこられたと安堵する。けれど次の瞬間、

「おぎゃあああああぁぁぁぁ!おぎゃああああぁぁぁぁ!!」

 ルイボスの耳にとても元気な赤子の鳴き声が響いてきた。

*************************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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