128 / 144
127 2人して理不尽に怒られる
しおりを挟む
「体調を崩して欠席しておりました。報告については、私は個人の連絡機材を持っていないため、欠席中は全く連絡を取ることができず、報告を受けることができませんでした。申し訳ございませんでした」
呆れたような真っ赤な顔をしている学年主任の溜め息。そして、これまで目の敵のように心菜を睨んでいた教師からの視線が、可哀想なものを見るかのような視線に変わったのを感じながら、心菜はすっと頭を下げた。けれど、目の前からは怒りの気配が全く持って消えてくれない。本当に、全てが全て、理不尽だ。
「立花さん!あなたはは何をしていたのです!!」
「俺も体調を崩して欠席していました。申し訳ございません」
「そんな理由が通じるものですか!!2人で連れ立って全ての先生に謝罪してきなさい!!」
「「………わかりました」」
それ以外に、何が答えられただろうか。
心菜と立花は、深々と頭を下げた後に職員室を退出した。全ての先生への謝罪周りとなれば、ものすごく時間がかかるために、心菜たちはまず初めに壊した張本人たちに話を聞きにいって、全ての事情を聞いた上で、全ての休み時間を総潰しにして先生たちの元を回った。
理不尽な罵詈雑言を裏に隠し込んだ、刺々しい言葉を吐き捨てる先生もいれば、事情を理解してくれて励ましてくれる先生もいた。けれど、誰も庇ってくれなくて、心菜の心はぼろぼろとすり減っていった。けれど、彼がそんな心菜のことを度々励ましてくれるから、何とかやっていくことができた。
「………大丈夫だ、久遠。俺も一緒に回るから。あと、………もうちょっとだから」
「当たり前でしょう。2人で謝って回れって言われたのだから。もしかしなくとも、すっぽかす気だったわけ?」
軽口を叩き合いながらも頭をぽんぽんと撫でられるたびに、目頭が熱くなって、「まだやれる」、「まだ大丈夫だ」と自分自身に言い聞かせることができた。
辛いはずの場面で、穏やかに笑っていられる彼のことを、心菜は心底頼りにして先生たちの謝罪周りを続けていった。
全部の先生の元を回れたのは前日の放課後。
心菜たちは、どうにかこうにか、文化祭までに全ての“やらなければならないこと”をしっかりとやり遂げることができたのだ。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
ストックが、………ストックが………………!!
呆れたような真っ赤な顔をしている学年主任の溜め息。そして、これまで目の敵のように心菜を睨んでいた教師からの視線が、可哀想なものを見るかのような視線に変わったのを感じながら、心菜はすっと頭を下げた。けれど、目の前からは怒りの気配が全く持って消えてくれない。本当に、全てが全て、理不尽だ。
「立花さん!あなたはは何をしていたのです!!」
「俺も体調を崩して欠席していました。申し訳ございません」
「そんな理由が通じるものですか!!2人で連れ立って全ての先生に謝罪してきなさい!!」
「「………わかりました」」
それ以外に、何が答えられただろうか。
心菜と立花は、深々と頭を下げた後に職員室を退出した。全ての先生への謝罪周りとなれば、ものすごく時間がかかるために、心菜たちはまず初めに壊した張本人たちに話を聞きにいって、全ての事情を聞いた上で、全ての休み時間を総潰しにして先生たちの元を回った。
理不尽な罵詈雑言を裏に隠し込んだ、刺々しい言葉を吐き捨てる先生もいれば、事情を理解してくれて励ましてくれる先生もいた。けれど、誰も庇ってくれなくて、心菜の心はぼろぼろとすり減っていった。けれど、彼がそんな心菜のことを度々励ましてくれるから、何とかやっていくことができた。
「………大丈夫だ、久遠。俺も一緒に回るから。あと、………もうちょっとだから」
「当たり前でしょう。2人で謝って回れって言われたのだから。もしかしなくとも、すっぽかす気だったわけ?」
軽口を叩き合いながらも頭をぽんぽんと撫でられるたびに、目頭が熱くなって、「まだやれる」、「まだ大丈夫だ」と自分自身に言い聞かせることができた。
辛いはずの場面で、穏やかに笑っていられる彼のことを、心菜は心底頼りにして先生たちの謝罪周りを続けていった。
全部の先生の元を回れたのは前日の放課後。
心菜たちは、どうにかこうにか、文化祭までに全ての“やらなければならないこと”をしっかりとやり遂げることができたのだ。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
ストックが、………ストックが………………!!
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。
切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
光属性陽キャ美少女の朝日さんが何故か俺の部屋に入り浸るようになった件について
新人
青春
朝日 光(あさひ ひかる)は才色兼備で天真爛漫な学内一の人気を誇る光属性完璧美少女。
学外でもテニス界期待の若手選手でモデルとしても活躍中と、まさに天から二物も三物も与えられた存在。
一方、同じクラスの影山 黎也(かげやま れいや)は平凡な学業成績に、平凡未満の運動神経。
学校では居ても居なくても誰も気にしないゲーム好きの闇属性陰キャオタク。
陽と陰、あるいは光と闇。
二人は本来なら決して交わることのない対極の存在のはずだった。
しかし高校二年の春に、同じバスに偶然乗り合わせた黎也は光が同じゲーマーだと知る。
それをきっかけに、光は週末に黎也の部屋へと入り浸るようになった。
他の何も気にせずに、ただゲームに興じるだけの不健康で不健全な……でも最高に楽しい時間を過ごす内に、二人の心の距離は近づいていく。
『サボリたくなったら、またいつでもうちに来てくれていいから』
『じゃあ、今度はゲーミングクッションの座り心地を確かめに行こうかな』
これは誰にも言えない疵を抱えていた光属性の少女が、闇属性の少年の呪いによって立ち直り……虹色に輝く初恋をする物語。
※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』でも公開しています。
https://kakuyomu.jp/works/16817330667865915671
https://ncode.syosetu.com/n1708ip/
ペア
koikoiSS
青春
中学生の桜庭瞬(さくらばしゅん)は所属する強豪サッカー部でエースとして活躍していた。
しかし中学最後の大会で「負けたら終わり」というプレッシャーに圧し潰され、チャンスをことごとく外してしまいチームも敗北。チームメイトからは「お前のせいで負けた」と言われ、その試合がトラウマとなり高校でサッカーを続けることを断念した。
高校入学式の日の朝、瞬は目覚まし時計の電池切れという災難で寝坊してしまい学校まで全力疾走することになる。すると同じく遅刻をしかけて走ってきた瀬尾春人(せおはると)(ハル)と遭遇し、学校まで競争する羽目に。その出来事がきっかけでハルとはすぐに仲よくなり、ハルの誘いもあって瞬はテニス部へ入部することになる。そんなハルは練習初日に、「なにがなんでも全国大会へ行きます」と監督の前で豪語する。というのもハルにはある〝約束〟があった。
友との絆、好きなことへ注ぐ情熱、甘酸っぱい恋。青春の全てが詰まった高校3年間が、今、始まる。
※他サイトでも掲載しております。
プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜
三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。
父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です
*進行速度遅めですがご了承ください
*この作品はカクヨムでも投稿しております
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
魔法使いの少年と学園の女神様
龍 翠玉
青春
高校生の相沢優希(あいざわゆうき)は人には言えない秘密がある。
前世の記憶があり現代では唯一無二の魔法使い。
力のことは隠しつつ、高校三年間過ごす予定だったが、同級生の美少女、一ノ瀬穂香(いちのせほのか)を助けた事から少しずつ変わっていく生活。
恩に報いるためか部屋の掃除や料理など何かと世話を焼いてくれる穂香。
人を好きになった事がない優希は段々穂香に惹かれていく。
一方、穂香も優希に惹かれていくが、誰にも言えない秘密があり……
※魔法要素は少なめです。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる