103 / 144
102 小説への文句
しおりを挟む
まさかのびっくり、ヤンデレ死亡エンドだったのだから、心菜の読書時間中の奇行は当然の反応だろう。
心菜は最後まで読んだ瞬間に、ガクッと勢いよく額を机にぶつけかけた。ぶつけたら痛いと思って、ぶつける寸でで落ちていく頭を根性で止めたというのが正解なのだが。
「ご乱心か?久遠」
こそっと話しかけてきた立花を横目で睨んだ心菜は、地を這うように低い声を出す。
彼の手にもライトノベルが握られていた。朝読書、いつも思っているのだが必要な時間なのだろうか。
「………この小説、クズだ」
「は?」
呆けた声を上げた立花に、心菜は音を立てないように最新の注意を払いながらどんどん机を殴る。それくらいしないと、正直に言って朝からやってられない。クズな小説に当たった時には、ストレス発散のためにものにあたるに限る。
「………ハッピーエンドかと思いきや、ものすっごいバッドエンドだったっていう、最低最悪な話」
「うわー、それ最悪だな」
「でしょう?物語はハッピーエンドだからこそいいのに………!!」
「現実逃避にはな」
呆れ顔でもうんうんと頷いてくれる立花に気分を良くした心菜は、ご機嫌な様子で頷いた後に首を傾げる。
「そうそう。現実逃避にはちょうどいいの。というか、現実逃避以外に、本って読むものなの?」
「………謎だな」
「だよね~」
2人はうんうんと頷き合うと、にこっと笑った。
「久遠ってやっぱり、根っからの本好きなんだな。本のことについて語る時、いつも目が爛々と輝いてる」
「そう?………自覚はないんだけど………………」
うーんと顎に手を当てた心菜は、自分の今までを振り返ってみる。けれど、やっぱり自分が本を読んでいる時に目を輝かせているという記憶は存在していなかった。立花の記憶違いだと思いたい心菜は、この話題には今後一切触れないことを決意する。なんだかんだ言って、この手の話題というのは墓穴になるものが多い。よって、掘らないに限るのだ。掘ったら最後、ろくなことは起こらない。
「………あと、考え込む時に人差し指を顎に当てて右斜め横を向く」
立花のもう1つの言葉は、思考の渦に漂っている心菜には届かなかったが、届いたとしてもこれまたよく分からないという表情をしていただろう。心菜は意識的に考える際のポーズなど取っていないのだから。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
心菜は最後まで読んだ瞬間に、ガクッと勢いよく額を机にぶつけかけた。ぶつけたら痛いと思って、ぶつける寸でで落ちていく頭を根性で止めたというのが正解なのだが。
「ご乱心か?久遠」
こそっと話しかけてきた立花を横目で睨んだ心菜は、地を這うように低い声を出す。
彼の手にもライトノベルが握られていた。朝読書、いつも思っているのだが必要な時間なのだろうか。
「………この小説、クズだ」
「は?」
呆けた声を上げた立花に、心菜は音を立てないように最新の注意を払いながらどんどん机を殴る。それくらいしないと、正直に言って朝からやってられない。クズな小説に当たった時には、ストレス発散のためにものにあたるに限る。
「………ハッピーエンドかと思いきや、ものすっごいバッドエンドだったっていう、最低最悪な話」
「うわー、それ最悪だな」
「でしょう?物語はハッピーエンドだからこそいいのに………!!」
「現実逃避にはな」
呆れ顔でもうんうんと頷いてくれる立花に気分を良くした心菜は、ご機嫌な様子で頷いた後に首を傾げる。
「そうそう。現実逃避にはちょうどいいの。というか、現実逃避以外に、本って読むものなの?」
「………謎だな」
「だよね~」
2人はうんうんと頷き合うと、にこっと笑った。
「久遠ってやっぱり、根っからの本好きなんだな。本のことについて語る時、いつも目が爛々と輝いてる」
「そう?………自覚はないんだけど………………」
うーんと顎に手を当てた心菜は、自分の今までを振り返ってみる。けれど、やっぱり自分が本を読んでいる時に目を輝かせているという記憶は存在していなかった。立花の記憶違いだと思いたい心菜は、この話題には今後一切触れないことを決意する。なんだかんだ言って、この手の話題というのは墓穴になるものが多い。よって、掘らないに限るのだ。掘ったら最後、ろくなことは起こらない。
「………あと、考え込む時に人差し指を顎に当てて右斜め横を向く」
立花のもう1つの言葉は、思考の渦に漂っている心菜には届かなかったが、届いたとしてもこれまたよく分からないという表情をしていただろう。心菜は意識的に考える際のポーズなど取っていないのだから。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
四煌の顕現者:ゼクス・ファーヴニルの復讐譚
鶴生世乃
青春
「貴様はもう、私達の子ではない」
詠唱と意志力により武器や自然現象を再現する存在、【顕現者】。
適性審査で「詠唱途中で能力がランダムに発現する」という致命的な欠点を背負い。
能力者として認められなかった少年は、実の家族と親友に見捨てられ、同時に存在自体を消されかけてしまう。
幸運にも逃げ延び、心優しき夫妻に拾われることになって――5年後。
少年は、【学園】へ足を踏み入れた。
彼が入学した、その時から。
止まっていた運命の歯車は再び、音を立てて動き出す。
少年の「復讐」が。
少年の「2度目の人生」が、始まる。
異能×復讐×青春 etcetc......
様々な要素の絡み合った学園譚、開幕。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
星の見える場所
佐々森りろ
青春
見上げた空に星があります様に。
真っ暗闇な夜空に、願いをかけられる星なんてどこにもなくなった。
*・゜゚・*:.。..。.:*・' '・*:.。. .。.:*・゜゚・*
『孤独女子×最低教師×一途男子』
*・゜゚・*:.。..。.:*・' '・*:.。. .。.:*・゜゚・*
両親が亡くなってから、姉・美月と二人で暮らしていた那月。
美月が結婚秒読みの彼氏と家を出ていくことになった矢先に信じていた恋人の教師に裏切られる。
孤独になってしまった那月の前に現れたのは真面目そうなクラスメイトの陽太。
何を考えているのか分からないけれど、陽太の明るさに那月は次第に心を開いていく。
だけど、陽太には決して表には出さない抱えているものがあって──
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる