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81 『運命』に巡り会えたの

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 大音量の音質の悪い割れたような音が耳障りなはずなのに、心菜にはその音が妙に心地よくて、優奈とのハイタッチにちょっと力を入れてしまう。優奈のハイタッチも心のなしかいつもよりも楽しげで、手加減がない。おかげさまで手が痺れてしまった心菜は、なぜか今はダンスを楽しみたい気分になってしまっていて、手の痺れも我関せず、次の歌詞に耳を傾ける。

『出会いを介し、ちゃんと愛を知る』

 まだ見ぬ出会いを想ってうっとり踊る少女もいれば、最悪な出会いしかなくて、ちょっとだけこの場面で沈み込む生徒もいる。曲の歌詞1つ1つに反応をする生徒がいることに、心菜は感心しながらも、自分には遠い世界だと歌詞と共に叩き込んだ踊りを踊る。
 私は人間であるかという歌詞に続いて、悪戯にも哀を知ってしまい、そして、君と居たい意味を教える僕の人生だと歌い上げる。

『偶然?必然?』

 優奈と向き合う振り付けの時に、ふと頭にあるキャラクターの名言を思い出す。

(『この世に偶然なんてない。あるのは必然だけだ』か………。じゃあ、今のメンバーとの出会いも必然なのかしら…………?)
「ロマ~ンスは突然!!」

 優奈がきゃきゃっと歌ったのを横目に、心菜は不思議に思ってしまう歌詞を心の中で口ずさみ、そしてくるんとターンした。

(POPSは新鮮、LA LA LAーーー)

 もう1回回ると、目がぐるぐるとしてくる。だが、次の瞬間ぱちっと偶然か必然か視線がかとあった。なんともまあ恥ずかしいことだ。

『「運命」と思える、君に巡り会えたの。若気の至りなんかじゃー決してないからー』

 歌詞が心にぶつかって、心菜は一瞬目を見開いた。

(『運命』なんて安っちい言葉、私は信用していないのに………)

 心菜はダンスのフリにないはずなのに、なぜか胸元をぎゅっと抑え込んだ。苦しくて辛くて、ぎゅっとなる左胸の鼓動にいやいやと首を振って、心菜は泣きたくなる衝動を押さえつける。
 日々ヒビが入り、ハートが砕けて、勇気も自信も亡くしてしまうけれど、挫けながらも強く生きて行ける、そんな日々が、大人になるための毎日だという歌詞に心を落ち着かせ、的を射すぎている歌詞に苦笑する。なんともまあ思春期な女の子に響きすぎる歌詞だ。心菜は2度目になる歌詞『愛を愛し、恋に恋する。僕らはそうさ人間さ』というを口ずさみながら、最後の振りに入っていくために左膝をついて座り込んだ。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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