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55 迷いまくった心菜

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 その後、自由時間が設けられ、心菜たちの班は近場のショッピングモールで遊ぶことにした。周りの班が観光地を巡っているのとは大違いだが、心菜たちの班は、そういうところを回るよりも、ショッピングモールで遊んだ方が楽しいと判断したのだ。
 そもそも、修学旅行はお勉強のための旅行なのだが、やっぱり花の学生。そんな些細なことは分かっていないかった。というか、分かっていても、やりたくなかったのだ。

「おっ、この店やっぱり広いな」
「そうだね、涼しい」
「………涼みにきたんじゃねーだろ、馬鹿久遠に追っかけ立花」
「「うぐっ、」」

 今日も心菜の方向音痴は絶賛炸裂中で、このショッピングモールに着くまでも何度か迷子になって、心菜は立花に何度も迎えにきてもらっている。その度に、手を繋いで帰るものだから、心菜の心臓は持ちそうになくなってしまう。

「はあー、でも、ひとまずはのんびり歩こうよ。なんなら、フードコートでゆっくりするのもアリじゃない?」

 心菜の申し出は、とても輝かしいものだ。けれど、皆頷くに頷けない。何故なら、今回持って来られるお小遣いがとても少ないからだ。

「ひとまず、ある程度涼んだら、もう戻ろう。帰り道に何か観光地に寄ってから帰れば、問題ないはずだ」

 門川の言葉に、みんなで頷き、心菜たちはまたもや心菜が迷子になりながらも、無事に観光地を回って旅館まで帰ることができた。もう誰も心菜が迷ったことを突っ込まなかった。それどころか、あぁ、またいなくなったと納得さえしてしまっていた。

「久遠、お前なんで今日はご機嫌なんだ?
「ん?お昼ご飯が楽しみだから!!」

 妙にテンションが高い心菜のことを見た新谷が、不思議がって尋ねると、心菜が満面の笑みで答えた。食いしん坊心菜は、好物に目がない。そのことに薄々気がついていた新谷は、それ以降お昼ご飯が始まってお好み焼きをぱくぱくと今までにないハイペースでお好み焼きを食べきり、あまつさえ、優奈に餌付けでお好み焼きを分けてもらって食べているのを見ても、何も言わないことにした。

「久遠って、以外と食えるんだな」
「………後であいつ絶対に動けなくなるぞ」

 有栖川の宣言通り、心菜がお腹が痛いと言いながらしばらく歩くことになったのは、長年一緒にいる有栖川の感が当たった証拠だろう。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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