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4 返ってきた生徒手帳

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▫︎◇▫︎

「あれ?ない!!」

 心菜は帰宅後、自室にて途方に暮れていた。

「生徒手帳、どこに落としたの!?」

 そう、体育館前で立花颯が生徒手帳を拾ったことを知らない心菜は、個人情報満載な生徒手帳がどこの誰の手に渡ったか分からない状況に、大困惑して発狂しかけているのだ。

(教室でを出るときはあった。じゃあ帰り道?あぁ、でも体育館を出た時には確認してない)

 ーーーピーンポーン

「はーい、」

 1階からチャイムに返事をした母親の明るい声が聞こえてくる。
 心菜のお家は1軒家2階建てで、そこそこ裕福だ。2階の自室から郵便、何が届いたのだろうかとぼーっとしていると、優奈の元気な声が聞こえてきた。

「おっじゃましまーす!!」

 幾分疲れているように聞こえるが、部活でへっとへとではないらしい。

 ーーーコンコッココンコン!!

「ここなー、入るよー」
「んー」

 優奈に返事をしながら、心菜は生徒手帳を探す為に広げていたものを整理した。

「どうしたの?ここな。お部屋ぐちゃぐちゃ」
「………生徒手帳無くした」
「あぁ、それなら私が持ってるよ。立花くんが私に渡してくれたの」

 夢見心地の優奈に苦笑しながら、心菜はぶつかった時に生徒手帳を落としていたことに気がついて、ほっと息を吐いた。彼と優奈しか触っていないのだったら、滅多なことにはなっていないだろう。見ず知らずの男の子を信用できるわけではないが、心配しすぎるのはあまり良くない。

「!! ありがとう、ゆーなちゃん!!」
「返すとは言ってないわよ」

 ぷくぅーっと頬を膨らませた優奈に、心菜は苦笑してアニメキャラクターの台詞セリフを言った。

「えぇー、そな殺生なー」
「どんなキャラよ」
「ちょっと古めの大阪弁キャラ」
「あぁー、アレ?魔法少女の使い魔っていうか、マスコット」
「正解!!」

 心菜はいわゆる隠れオタクだ。アニメ、マンガ、ライトノベル、あらゆる部門を読み込んでいて、お勉強よりも熱を上げている。故に、陸上部と水泳部のちょっと熱めの勧誘をばっさり断り、部活回数と時間の最も少ない茶道・華道部に入った。断る理由で、自分の時間を減らすのが嫌だから、と言った時の勧誘をしてきた先生の顔は、しばらく忘れることができないだろう。あの必死さは今思い出してもとても面白かった。漫画で言う『ガーン!!』だ。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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