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 第三章 殺人事件について

推理からホラーへ

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 いきなり物騒な話に飛躍されドン引きになっている我輩たちを無視しハナヤマは話を続ける。
「まあ、これは仮説だけどね、かなり信憑性の高いものだと考えている」
「どの辺が高いのかまったくわからないわ」ノエルは心底呆れた顔になっている。
「まあ、今にわかるよ」そういってハナヤマはニヤッ、と笑う。
 少なからずノエルに意識しているようだ。

 なるほど、我輩理解したぞ、我輩を呼び出したわけを…

 ノエルにカッコイイところを見てもらいたいのだな。

 やたらと視線が熱いのはそれか。

 我輩目を細める。

 うむ若者が女に発情して後で悶絶しそうな醜態をさらすのはそんなに嫌いじゃないぞ。
 バカ勇者(アラニール)のように我輩たちを巻き込まなければ滑稽で愛らしくある。

「俺達だけではあの夫婦の監視は難しいから、お互い連携して様子を見ていこう」
 我輩達の返事を待たずしてハナヤマ達は部屋を出て行った。
 去り際のウインクはノエルに向けたものだろうが、気持ち悪いぞ。
「さて、どう思う」
「まあ、妄想の類ね」ノエルがきっぱりと言い切った。
「人の生まれて育った世界を仮想現実と言い切るくせに自分の推理が偏見の元で成り立っていることをまったく自覚していないわ、要は『知り合いじゃないから、怪しい』といっているだけよ、厨房でタバコを吸わせたら犯人にされたらたまんないわよね」
 
 こいつまだ根に持っているな
 
「同感ね」
 入り口付近に長い黒髪のフカガワが立っている。

 少し怖いぞ

「あの二人の言っていることはただの推理ごっこよ。」
「あなたはどう考えているの?」
「貴方達は本当はわかっているでしょ、これは悪霊の仕業よ」

 霊?

 いきなりの話に我輩もノエルも首を傾げる。

「しらばっくれないで、貴方達も見えているはずよ、あの霊を!」

 そういって、フカガワは振り向き奥の通路を指差す。

 そこには

 いつものように立っているストーカー精霊がいた。

 ああ、そっちか!

 ノエルも頭を抱える。
「あれは強い霊よ、しかも水の力を持っているわ、あれが悪さをしているのよ」

 うむ、霊のくだりは当たっている、だが、推理は大幅に間違っている。
 しかし、我輩たちあれが知り合いとは言い出せない。

 「いいこの世には霊的なエネルギーがあって、それはある質量を持つと人にじかに危害を加えることができるの、それが今回の事件では…」

 その間にフカガワの話はエキサイトしていく。

 精霊も若干困っているように見える。

 よって我輩とノエル、ストカー精霊は延々とフカガワの世にも恐ろしい霊の話を聞かされる羽目になった。
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