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第三章 殺人事件について
勇者と混沌の欠片
しおりを挟む「しかし、さっきからなぜ我輩の力を取り戻すことに拘る?」
魔王が力を取り戻すことに脅威をいだくのは当たり前だと思うが、さっきから聞いているとやたらと我輩の力が取り戻すことを望んでいるように聞こえる。
我輩の問いにアラニール、エリザベス、ノエルの三人の視線が泳いだ。
やはりな
今まで流してきたが、ここははっきりさせる必要があるだろう。
「質問を変えるぞ、我輩を含めた転生騒ぎにお前達関わっているな」
三人とも絶句する。
その反応でクロだと確信する。
「知らなかったんだ、こんなことになるとは…」
ぼそりとアラニールが呟く。
「我輩が知覚できないなかでこんなことができるのは、お前達が使ったのだな、禁忌である混沌の欠片を」
アラニールが頷いた。
我輩たち誕生する数億年前、世界は混沌のものだった。
混沌と呼ばれる神の存在はあらゆる次元につながり、それぞれが自由に世界をつくり、そして破壊していった。
これらの目的はいシンプルで
すべては己の娯楽と次元で分断された他のカオス達の賞賛をもらうこと。
あるものは世界をおもちゃのように壊し逃げまとう生き物達を記録に残すもの、あるときは、世界の生態系を逆転し、微生物が最強で神や魔王が最弱になる世界をつくり楽しむもの、純粋かつ幼稚、善も悪も混在した大惨禍の張本人カストロフ・メーカー
しかもやっかいなのは飽きっぽく無責任のため、一度大惨禍を起こして世界を混乱にしたあとは例外なく放置し自己再生するまで見向きもしないという、救いすら起こさないというもので聖も魔を精霊も例外なくおもちゃ扱いされていた。
我が世界も例外なく、やっかりきわまりなく、毎日、天変地異を起こされたり、ミス女神コンクールと称して千人規模の女神が量産されたり、全人類バトルロワイヤルをされたりとやりたい放題だった。
そこで我輩と女神、精霊王は結託し、混沌の唯一の弱点、混沌の恐妻である、秩序と盟約し、混沌を封じ込めることに成功したのである。
そして盟約した三神は秩序を維持できるよう、聖・魔・精を安定できるよう互いを制御しあうシステムを作ったのが我が世界の話である。
だが、混沌も封じられる前に自分の欠片を八つに割り世界に散らばしたのが混沌が混沌の欠片である。
これは黒い宝石のようなものでやっかいなことに、これはカオスの復活と面白さを願う意思が込められており、発動したら何がおきるか正直我輩でもわからない。
我輩たち三神は手分けしそれらを見つけ出し、封印しているが、やっかいなことに年月が経つにつれてこれを持ったものが念じると願いがか叶うと伝承されているのである。
おそらく何もしらない勇者がこれを発動させたのだろう。
その結果がこれだ、おそらくこの世界の住人と魂が入れ替わったのだろう。
今頃、あちらの世では、加藤という名前の40歳の魔王がチート人生とかぬかしながら好き放題しているのが目に浮かぶ。
いかにも混沌が好きそうな展開だ。
しかし一番の問題はなぜ勇者達にそれができたのかということである。
あれは、各神が封印していたはずである。
他の女神や精霊王が混沌の復活を許すわけがない、だとすれば
「お前達、誰の協力をもらった」
ノエルが我輩をしっかりとみる。
やはり
「海王と冥王の仕業か…」
こくりと三人は頷いた。
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