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 第三章 殺人事件について

加護と女神、その弊害について。

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 我輩まずノエルと接触する。

 このメンバーの仲で前提条件が近く、かつ常識的な会話が成立しそうなのは彼女しかいない。
 あまり目立たないよう二階の隅で話す。
 ノエルは少し顔色が悪かった。
「大丈夫か?」
「あまり大丈夫ではないわ、あの二人が加護頼りだったのはショックね」
 “加護頼り”とは文字通り、神の加護でしか能力を維持できないものを指し、“才能はある努力を怠る”ことを蔑視して使うことが多い。
 通常、加護をもらいながらも努力し高みに行ったものは“加護持ち”と評価されている。
「一応疑っていたのよ、一応、なんか旅や戦いの基礎が抜けているなぁ~って、でもあれだけ飛びぬけた能力を持っていたらそれなりに努力していると思うじゃない。普通、これじゃ、命がけで二人に着いてこうと努力していた私が馬鹿みたいじゃない」
 うむ、我輩もそう思う、強い加護はヒトの努力を無駄にする傾向があるためあまり行うことじゃない。特にパーティ全員が同じように加護を受けていたら勘違いパーティとして笑えるも、そうでない場合は、加護が乏しいメンバーは過剰な努力を求められ、なおかつ馬鹿にされる傾向があることは我輩感じていた。
 我輩女神にはいつも口すっぱく言っていたが、今回は我輩の腹心が原因を作っているためあまり強くはいえない。
「まあ、女神も深い考えがあるはずだし、必要な意味があったと思うぞ」

 ちゃんと三神で話し合った勇者育成スケジュールを忘れ、なおかつ天使達との美容旅行を優先するあまりスケジュールそっちのけで適当に仕立て上げたとは口が裂けても言えんな。

 普通、力もすばやさも、知力も人の10倍、人が唱えられないような魔法を無詠唱でできるようになる、そんなもの人として歪むぞ。
 ゲームで例えるならレベル80の勇者を序盤で作るか?

「神官の愚痴に対して魔王が女神をかばうって変な話よね」
 うむ、我輩もそう思うぞ、でもそれは結構日常的で、よく天使達が我輩に女神の愚痴を吐き出しにきたりしていたのだ。
 いつの世も、上司の適当さで部下が苦労するのだ。

「ありがとう、少し気持ちの整理できたわ。でもそれよりもこの収集しづらい状況をどうしたら良いの?」
 我輩、現在考えていることをまずノエルに話す。
 特に、海王の性質は包み隠さず話した。

 案の定、ノエルが頭を抱える。
「わ、わたしの世界観がどんどん崩れていくわ…」
 すごく疲れたようにノエルが我輩をみて、

「本当に大変ね」そう声をかけてきた。

 我輩、深々と頷く。
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