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 第三章 殺人事件について

珍探偵は唐突に犯人を指定しその珍推理は登場人物を混乱させる。

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「どうしてこうなったの」

 遺体は警察に引き渡すまではそのままが良いというハナヤマとマエダというひょろ長い青年と、丸いとしかいえない肥満気味の青年のアドバイスで部屋をそのままにし我輩たちは暖炉に集まる。
 クリタ婦人はまるで我輩たちが原因といわんばかりに敵意のこもった視線をぶつける。

「死因はおそらく毒殺のようですね」ひょろ長のハナヤマが答える。
「どうしてそんなことわかるのよ!」
「ぱっと見ですが、刺されたり、首を絞められた後はありません、しかし遺体は苦しんで悶えている後がある。心臓発作の可能性もありますが、それよりも部屋が微かにアーモンドの匂いがしました、おれはおそらく青酸カリです。」
「どうやってそんなもの飲ませたんだ」シモダが首を傾げる。
「ええ、遺体のそばに吸いかけのタバコが落ちていました、おそらくそこに仕込んだのでしょう」
「詳しいわね」ノエルが訝しげにハナヤマを見る。
「ええ、これでも推理研究家兼医学部ですから」すっと、ハナヤマが落ち掛けていた眼鏡を上げる。
「ちなみに僕は法学部さ」
 聞いてもないのに、肥満のマエダがアピールする。
 「なるほどわかったぞ、犯人が…」
 いきなりアラニールが声を出した。
 「本当なの?」
 「ああ、間違いない」

 アラニールが一瞬こちらを見る、嫌な予感しかない
 
「犯人はお前だ」

 はっ?

 いきなりの宣言に我輩面食らう。

 「お嬢ちゃん、証拠はね?」
勇者アラニールがびっ、と我輩を指差して
「こいつが魔王だからだよ」
 
 場が凍った。


「魔王?」シモダとサチが首を傾げる
「そう、これはカモフラージュだ、魔王が普通の事件に見せようと細工したにちがいない」
「彼が犯人としてアリバイ的におかしくない?だって彼は一度もこの部屋に入っていないんだぜ、どうやって毒をタバコに仕込めるんだ。」ハナヤマが首を傾げる。
「それは遠隔魔法で、タバコにポイズンをかけるのさ」
「毒、ポイズンは術者が対象者に直接触れないと発動しないわ」エリザベスが反論する。
「おいおいよく考えろよ、相手は魔王だぞ、そんなこと朝飯前さ!」
 アラニールの言いたいことをまとめると、魔王は何でもできるから犯人に違いないということか
「そんなことはあまりにも荒唐無稽だろ、これはファンタジーの世界じゃない!」
 ハナヤマが呆れる。

「これは推理の分野だ!」

 それも違うと思うぞ。
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