上 下
43 / 72
 第三章 殺人事件について

登場人物はなぜか一癖ある

しおりを挟む
楽しそうですね

 そういわれて振り返ると、白髪の女性が笑顔でこちらをみていた。
 目の細い女性であるが、どこか柔らかい印象を持たせる顔立ちだ。
「興味があるのか?」
「ええ、うちの主人も将棋は好きなんですよ」
「強いの?」舞殿も興味を示す。
「どうなんでしょうか?」
 白髪の女性は首をかしげた。
「でも災難ですね、こんな日にペンションだなんて、他の皆さんもぼやいていましたよ」
「私達以外に人がいるんですか?」
 サチが驚く。
「ええ、学生さんグループとご夫婦二人が一昨日からいますよ」
「どうやら他にも遭難者がいるようね」
 珈琲を飲みながらノエルがつぶやく。
 やはり根にもっているな。
 シモダが聞かない振りをしていた。
 ばたんとドアのあける音が響く、やたらと乱暴な音だ。
 見ると、小柄の女性が一人階段を降りてくる。白いセーターをつけた若い女性だった。
「もういい加減にしてほしいわ」
 やせすぎな体を震わせ、黙ってテーブル前に座り、タバコを取り出す。がっ、目の前の舞殿に気づいたのか、小さく舌打ちしタバコを箱に戻した。
「ねえ、ここでタバコを吸える場所ある?」少しハスキーな声で白髪の女性に声をかける。
「いつもはお部屋か、外でお願いしていますけど、この天気では難しいですね」
「空き部屋はないの?」
「今は、こちらのお客様でいっぱいになっていまして」
「こんな天気なのに空室もないの?」
 信じられないといわんばかりにやせすぎの女性が声を荒げる。
「厨房の換気扇前でよかったらどうだ、今なら料理がひと段落しているからいいぞ」
 厨房から丸刈りの体格の良い初老の男が声をかける。
「助かるわ」
 女はつかつかと厨房へ向かった。
「気が立っているねぇ」シモダが呆れたようにつぶやく。
「平常心が足りないわね」携帯をいじりながらノエルが頷く。

 うむ、さっきのお前と変わらないぞ、と思ったが我輩黙って将棋を打つ。
 我輩、女性に対して踏んではいけない地雷を感知できるぞ。
 しかし、集中力を欠いた所為かあっさり舞殿に詰まされる。
 ようやくハンデなしの平手の勝負ができるようになったがまだまだ勝てない。

 しばらく感想戦を行っていたが、再びドアが開く音がし、男女の声が響く。

「なあ、魔法って本当にあるのか」
「あるさ、あたりまえだろ、なあエリ…山下!」
「もちろんよ、世界は魔力に満ちているの」
「ばかばかしい、そんなものトリックだろ!」
「いいえ、黒魔術は存在するわ!ねえ、フラン」
「えーと俺、武田だけど」
「いいえ、貴方の前世はフランという王子よ!」


 
「何か濃い人たちのようね」ノエルが漫画を読みながらぼそりとつぶやく

 お前が言うなと思ったが我輩何も言わないぞ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界転生した俺らの愉快な魔王軍

喜多朱里
ファンタジー
魔神の力によって異世界転生した憐れな元日本人達は、魔王軍となり人類と戦う尖兵とされてしまった。 最も魔力を持っていたという理由だけで魔王となった転生者は、前世の知識と転生者同士の魂の繋がりを利用して、自分達に馴染み深いネット掲示板を模した『転生チャンネル(通称:Tch)』を構築する。 圧倒的な情報伝達速度で人族を圧倒する――なんてことはなく、今日も今日とて魔王軍は魔神様に怒られない程度に働いて、自由気ままに異世界ライフを楽しんでいた。 これはいずれ世界を支配する愉快な魔王軍の異世界攻略記。 なお現地民からすると恐るべき軍団であり、両陣営の温度差は凄まじいものとする。

処理中です...