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 第三章 殺人事件について

冬のペンションは何かが起きる

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社員旅行しましょう!」
 12月に入った頃シモダがいきなり旅行を提案してきた。
「えー楽しそうですね」サチも乗り気だ。
「だって今年色々あったでしょ、幸いにも加藤君が作ってくれたシステムは評判がよくて結構儲かったからね、奮発するよ~」
 うむ、こいつの会社が傾くのはこういう気質だからだな。
 我輩少し納得する。
「舞ちゃんも冬休みでしょ?一緒に行こう、あとノエルさんも呼んでパーとしましょう」
 なぜにノエルと思ったが、シモダの下心がわかったので我輩、何も言わずにまかせた。
 我輩、少し人の機微がわかるようになったと思うぞ。
 
 それが悪夢の始まりだった。

 当日

「えーと荒れていますね」ぽつりとサチがつぶやく。

「荒れてるなあ」ノエルが呟く。
「すごく寒い」舞殿が震える。

 我輩たちの目の前は白い嵐だった。
「大丈夫明日は、晴れよ、晴れる、絶対晴れる」
 雲行きが怪しくなるのに、キャンセル料金をケチったシモダが必死に皆に言い聞かせる。
「ふーん」ノエルがジト目でシモダを見ている。
「大丈夫です、私は晴れ男で有名なんですよ」とシモダひたすらいいまくっていた。

 ペンションに到着した時、嵐になった。

 きしきしときしむ音と、ごーごーと唸るような風の音
 外は真っ白い雪が降り乱れている。
 暖炉のほうでは小さくなったシモダと冷たい視線の女性陣が座っていた。
 我輩黙って舞殿の将棋を指す。
 こういう時は静かに行動すべきだな。

 昔、魔王の城でもサキュバスの機嫌が悪いときはすずいぶん気を使っていたな。

 ぱちり、ぱちりと張り詰めた空間に駒の音が響いていた。
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