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 第二章 心霊現象について

魔王、ひどくヘコむ

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それからノエルはサチと舞を安全な場所としてノエル宅に保護した。
 我輩も行きたかったがノエルはそれを断固拒否してきた。
 まあ、魔王に居場所を教えたい奴なんてそうはいないだろう。
 
 会社を休み、ノエルとともに電車でサチが行ったという謎の中年女性の家へ向かう。
 ノエルの推測ではそいつが呪術士の可能性が高いらしい。

 無論、我輩もそう思っていたがな、

 電車に乗りながら、ノエルと合い席で隣り合う。

 何度も乗るが、この電車の振動は心地よい。

 「会社はどうしたの?」
 「有給をとった」
 「魔王が会社に頼んで有給をとる、頭が痛くなってきた…」
 「我輩、社会の秩序はしっかりと守る方だぞ」
 「へーぇー」
 ノエルがすごく複雑な顔でこちらをみる。
「失礼な魔王を何だと思っているんだ。」
「闇の権化、負の象徴、生きとし生けるものの天敵、害虫を超えた存在、
「まてまて、言いすぎだ、言いすぎ」

 いきなりそこまで言うか、さすがにすごく傷つくぞ

「まあ、すごく魔族が嫌いなことはわかった。」
神官プリーストですから」
 いけしゃあしゃあとノエルは言い切る。
 こいつ安全だとわかると態度変える奴だな。
 
 軽く傷ついていた我輩にノエルがはいと携帯を渡す。
「ん?」
「ライトノベルです、私達とこの世界の魔王のイメージはこれで学習してください」
「まてまてまて、普通、学術書だろ」
「そんなものに魔王なんて乗ってません」
「何か、キラキラした目が大きな人間が描かれているぞ、なんだ後ろの雑な黒影は?」
「まあ、まずは読んでください」
 我輩しぶしぶ読む羽目になったが、それにしても一時間も移動しないといけない場所によくサチは着いていったな、無用心にもほどがある。
 今度、安全管理について忠告する必要があるな。

 ●

 あー
 えー
 あー、ああああ

 我輩、ライトノベル読みました、読みはしたが

「これひどくない」
「こんなもんですよ、魔王のイメージ」雑誌を読みながらあっさりとノエルがいう。

「いやいやいや、これじゃただの頭の悪い独裁者と変わらないじゃん」

「ええそうですよ、皆そんな認識ですけど」

「なんで部屋の片隅でふんぞり返って世界征服なんで宣言しちゃってるの、そんなことしたら異種間の政治統制やら言語統一やら、法の整備とか非常に大変だろうが」

「そんなもの魔王が考えることじゃないですよ」

「まず真っ先に考えることだろうが!」

 我輩非常にめまいがしてきた。
 どうやらこの世界でも、我輩の世界でも人間どもは、魔王は力は非常に有り余っているが、無知性で、なのに狡猾で無駄に世界征服や世界を混乱させたいという、ほぼ愉快犯的なイメージを持っていてそれが正しいと信じ込んでいることがわかった。

 あーそうなのね、

 あーそう、

 だからいきなり勇者とか王様とかが挨拶なしに乗り込んできたり、意味もなく平和宣言をして襲い掛かったりしてきたのね

 あーそう

 隣でお菓子をぽりぽり食べるノエル

 我輩、少しニンゲン滅ぼしたくなりました。
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