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 第一章 日常生活について

魔王とナカニシ

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ここは、お台場の特設会場。

今日も世界を救った魔法少女、ラブリーミラーのステージが開かれていた。

ステージにはピンク髪を腰下まで伸ばし、ミニスカートコスチュームの美少女が現れる。

「はーい!みんなーっ。今日も元気かなーっ!ラブリーミラーだよーっ!何時も応援、アリガトねーっ!今日は皆にお知らせがあるのーっ。今日から私のステージで一緒に盛り上げてくれる仲間を紹介するね。はーい!怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫さんと、怪人❪とっとこハムレット❫さんだよ。拍手ーっ!パチパチパチッ」

舞台にモモンガのぬいぐるみと、ハムスターのぬいぐるみが上がってくる。
オオーッ、盛大な歓声があがる。

「ええっと?お二人には、これからここで、❪お笑い❫をやって頂きますーっ。皆さん、応援して下さい。はい、どうぞーっ!」

シーン

会場は静まり返り、観客は二人の怪人の一挙一動を固唾を飲んで見守る。

「モガ、モガ、モモンガーっ!モガ、モガ、モモン、モガ、モモンガーっ!」

「ハム、ハム、ハム、ハム、ハムーっ!ハムハム、ハム、ハム、ハムレット!」

喋った、喋べりだした二人だが、何をいってるのかサッパリ判らない。
横でニコニコして立っているラブリーミラー、冷や汗が止まらない。

そもそも、二人が❪お笑い❫をやりたいので、ステージの一部にショータイムを設けてほしいと、悪の秘密組織ダメダメ団の親玉である❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マンに頼まれたのだ。

それなのに、何を言っているか判らないーーっ。

最悪である。

観客は、一人、また一人と帰っていき、日を重ねるごとに観客は減り続け、戻る事はなかった。
ラブリーのステージは、今や風前の灯だが二人の前座の❪お笑い❫(お笑いですら無い)を、止める事は出来ない。

理由は、悪の秘密組織ダメダメ団に負けてラブリーのステージ、A席、B席の永久取得権を悪のダメダメ団に渡した為、観客席前席をいつも黒タイツの集団に占拠され、それを嫌った普通のファンやスポンサーは皆去ってしまった。

いまや唯一のスポンサーであり、ファン集団と化した悪の秘密組織ダメダメ団。
その依頼をラブリーには断る事が出来ない。

「はぁーっ、そろそろ転職かなーっ」
ステージ裏で一人溜め息をついたラブリー。
転職情報をスマホで検索している。

すると、ステージの表側で凄い歓声が上がった。
「え、な、何で!?」




ラブリーは、そろそろとステージの裾から覗くと、なんと会場が観客で埋まっており、立ち見客までいる。
いったい、何事かとラブリーがステージを見るが、相変わらず二人の怪人が話の判らない❪お笑い❫をやっている。

だが、ラブリーはある事に気づく。
観客の構成が変わっていたのだ。

それは、ほとんどが子供連れ。
しかも子供は皆、幼稚園児である。
さらに、その先に何台もの幼稚園送迎バス。

「な、何が起きてるの??」

ふと見ると、バス乗務員の服を着た❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マンが拡声器片手に団体客を案内している。

『はい、はい、はい、怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫、怪人❪とっとこハムレット❫ショーはこっちです。はい、はい、押さないで。次のショーもありますから、お待ち下さい』

「はああああーっ??!!!」

ラブリーは、ステージ看板を見た。

『怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫◇怪人❪とっとこハムレット❫子供ショー』と書かれ、その下に小さく『ラブリーミラー司会』と入っていた。


ラブリーは、空を仰いだ。

「ステージの乗っ取りは、ごめんでふっ!」



空に叫ぶラブリー。
だが、舌をかんで座り込んだそうな。


えんど?
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