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 第一章 日常生活について

本当にヒサンなのだろうか

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家に帰って今日のことを考えてみる。
 どうやらカトウは、ナナオとともにナカニシの片棒を担がされているらしい、それはオオワダという男が中心としている仕事のデータを奪うことらしい。
 それを奪ってどうなるのかわからないが、少なくともオオワダに大打撃は与えられるものなのだろう。
 その仕事を行えば我輩とナナオはシャッキンを免除され開放されるとナナオは言っている。

 それをナナオは信じているようだが、我輩はそう思わない。

 ナカニシは完全な捕食者だ。
 捕食者は獲物を中途半端な形で開放しない、肉を租借し、血をすすり、骨を砕き味わうところがなくなるまで食べつくす。
 ナナオも我輩も獲物として認識されている以上、食べ残しのまま開放されるわけがない、それが実現するのは他の餌として献上するときか、そのまま葬りさる時だ。

 つまり我輩達の行く道は、ナカニシ達に利用され続けるか、殺されるかの選択でしかない。

 なるほど

 悪くない

 我輩は獲物(カモ)として認識されている。
 つまり、まだ敵ではないということだ。

 確かに肉弾戦では勝ち目はない、だが、不意をついた暗殺なら可能である。
 
 スケルトンのような筋力のない非力なものに護衛を任せるとき、できるだけ小さな力で相手を仕留めるように操作していた。


 つまり魔族は掃除と同じように暗殺も得意である。


 うむ、まだまだ脅威は少ない、もう少し日常生活は楽しめそうだ。



 それよりもまずはパソコンなるものを一から学ばねば



 我輩は「パソコン入門」を読み始めた。
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