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3章 霊竜同盟国バビロニア

64.新たな生活

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 数多の応竜人ドラグーンが神龍帝国シンの街道を歩み、様々な貴金属や宝石を担ぎこんでいる商人が屋台で売っている。
 俺はとヴィンセントとカイン様と一緒に散策している。
 お嬢様と結婚する事を屋敷の皆に伝えた。最初は驚いていたが少ししたら落ち着いて祝福してくれた。
 その後は二週間ほどシンに向かい、アリオンの屋敷に着いて三日ぐらいゆったりと過ごしている。
 もちろんアリオンの手伝いや怪しい商人の調査などをしている。
 こんなすごい屋敷を住まわせてくれているから、少しくらいは恩を返さないといけないからな。
 そう思いつつ今頼まれている事は、とある商人が危険な魔法具を取引していると聞き、アリオンが部下を使って調査したところ、取引している場所と時間帯を知り、俺とカイン様を証拠の確保と魔法具の破壊を頼まれた。
 その魔法具の名は双子の藁人形ツイン・ストロードルズと言い、この魔法具は二つで一つの魔法具であり、片方を誰かに渡してもう片方を傷つけると連結するように、片方の所持者が痛めつけられて最終的には自殺してしまう代物だ。
 とんでもない危険性に対し、だれでも作りやすい事から禁術認定されて厳重に取り締まる事になった。
 今回はその魔法具が近くに取引されるため、なんとしても阻止しなくては。
 そう張り切っていると果物売りの商人が声をかけてくる。

「そこのお兄さん、この果物はどうだい? この果物はバビロニアが栽培した物で、みずみずしい上に栄養満点だ。今なら安くしとくよ?」

 果物売りの商人は持っている果物を説明しているが、こっちにはそれよりも双子の藁人形《ツイン・ストロードルズ》を探さなくちゃいけないんだ。だけど最近はバビロニアという国が作ったものにも多少興味がある。
 う~ん、一応こっちも気になるけど今は魔法具の方が大事。

「ワリィ、あとで買うから残してくれ!」

 俺は少し申し訳なさそうに答え、急いで魔法具の取引に向かう。
 それにしてもバビロニアって現代で言うイラクにあるティグリス川とユーフラテス川の下流に位置する都市で、まさかこの世界にもそう言うのがあるなんて意外だな。
 そう思いながらアリオンから聞いた場所に向かって走る。

「……」




▲▽▲▽▲▽




 神龍帝国シンの繁華街から少し離れた廃墟に、一人の商人と二人の魔術師が取り引きをしている。
 二人の魔術師は怪しい笑みを浮かべながら双子の藁人形ツイン・ストロードルズを商人に渡す。その商人は怪しいを浮かべながら言う。

「これを使えば……あのクソアマに復讐できるか?」
「アア、この魔法具の凶悪性は保証する」
「後はそれを復讐者に渡せば呪いが付与されて、生殺与奪剣が持つ事ができるぞ?」

 白いマントの魔術師はあくどい笑みで保証し、黒いマントの魔術師は双子の藁人形ツイン・ストロードルズの性能を詳しく説明する。
 白いマントの魔術師と黒いマントの魔術師は依然、天才魔術師コンビとして名をはせた。だが自分達より超える魔術師が出てきたうえに、魔法を悪用した事で堕ちたところまで堕ち、今では禁術使いとして活動している。
 そして双子の藁人形ツイン・ストロードルズを入手した商人は依然、アリオンに偽物の宝石を売り渡そうとしたが、見事にバレてしまいここまで落ちぶれてしまい、貧困生活をしなくてはいけなかった。
 しかし彼は自業自得でありながらもアリオンの事を憎み、復讐しようと二人の魔術師に力を借りたのだった。
 さっそく商人はこの魔法具を使おうとどこかえ向かおうとする。俺は瞬時に気絶させる。

「グハァ!」
「一応話を聞いていたけど、よくもそんなこと出来るな?」

 俺はゆったりと物陰から出る。二人の魔術師は顔を歪みながら魔法を詠唱する。

『火の根源よ。今一度、烈火の矢を撃ちだせ! 烈火の矢ファイーリーアロー!』
『水の根源よ。今一度、水流の弾丸を飛ばせ! 水弾アクアバレット!』

 白いマントの魔術師は火炎、黒いマントの魔術師は水流の魔法を俺に向けて放つ。
 青年は冷静に烈火の矢ファイーリーアロー水弾アクアバレットに向けて詠唱する。

『力の根源よ。今一度、攻撃を防ぐ盾を生み出せ! 中盾ミディアム・シールド!』

 青年はそう詠唱すると中くらいの盾が出現して魔法を防ぐ。二人の魔術師は分が悪いと察し、この場を去ろうとする。
 そうはさせまいと俺は別の所に待ち伏せている二人に呼ぶ。

「ヴィンセント、カイン! そっちに逃げたぞ!」
「アア!」
「分かった!」

 二人は返事をして魔術師の身柄を拘束する。白いマントの魔術師は必死に抵抗するが、逆に黒いマントの魔術師はすでに降参していた。
 俺は白いマントの魔術師に近づいて質問する。

「何でお前らはこんな危険なものを売りさばいているんだ?」
「そんなの……復讐と金稼ぎのためだ! 俺とこいつはエリートコース確定だったのに他の奴がその道を奪い、のうのうと幸せに生きるのが虫唾に走るんだよ!」

 虫唾が走るねぇ……。俺は少し呆れつつ口に布を突っ込ませて黙らせて、そのまま連行した。
 後は連行してシンの自由組合に預け、カイン様から呼び捨ての事を聞かれたがそのまま容認して、これからカイン様は呼び捨てで、お嬢様はレノンと呼ぶようになった。
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