銃器が弱すぎる世界に転生したけど銃知識と現代戦術知識で成り上がる

2章 邪月の都ルナ

４３．戦争

　俺は誕生日お祝いの片づけをして、あしたのお茶会の準備をしている時に、ウォーロックさんが旦那様に何か耳打ちをしていた。
　すると一気に膨大な魔力を発して、あたりの空気を振るわせる、旦那様のオーラに怯えていると奥様がなだめる。

「あなた、魔力が漏れ出ているわよ。他の子が怯えているわ」

　旦那様はハッと我にかえって、冷たい空気を和らげようと大声で笑う。

「ハッハッハ！　我としてついうっかりとしてしまった」

　旦那様が魔力を放っちゃうなんて、一体どんな内容なんだ？
　そう思っていると旦那様はいつもと違う表情で、皆にさっき聞いた事を言う。

「先ほどウォーロックが『本家が戦争してきた』と言った」

　旦那様が言ったのと同時に、この場からとてつもない驚きと緊張が流れ出す。
　あいつ等またしても戦争を起こす気なのか！？




▲▽▲▽▲▽




　レヴィンとレヴァンは自分たちの三男であるガロンの屋敷に向かう、その途中にレヴィンは緑髪のとんがりアホ毛が特徴な青年に話す。

「アマン殿よ、今回の戦争のかなめはあなたにかかっております」
「それくらい分かってますよ」

　アマンと呼ばれた青年はそう答えつつ、片手に持つ干し肉を貪り食っている。
　レヴィンとレヴァンが大枚をはたいて幾多の大群を雇っていて、少なくても百万いやそれ以上の大群が屋敷に向かっていて、武器の刃に銀が埋め込まれいる。
　純吸血鬼レヴナントは陽光の耐性を持ち、なおかつ長寿や剛力の能力を持っていて一騎当千者だ、しかし生きる者には必ず弱いものがある。
　それは銀の猛毒性で、彼ら吸血鬼ヴァンパイヤの上位であっても細胞に刻まれた呪いは一向にも離れずに受け継がれていた。
　レヴィンとレヴァンは今日、完全にガロンを殺害しようと企んでいた。




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「俺も参加させてください！」
「ダメだ」

　旦那様と奥様、カイン様は外で敵陣を軽撃するための武装をしていて、この屋敷の使用人が怨敵を討とうと思わせるくらいオーラが醸し出しているさなか。
　俺は戦争の参加を申し付けるが、ウォーロックさんは武器の状態をチェックしつつ断る。
　しかし俺はなぜダメなのか聞く。

「ウォーロックさん、俺は戦える力持っています。なのになぜダメなのですか！？」

　ウォーロックさんは見ていた武器を置いて言う。

「なぜダメかというのはアレス、お前は未熟だからだ」
「未熟……」

　俺はその言葉を言う、するとフォルトさんがウォーロックさんに確認する。

「ウォーロック殿、解銀剤シルバーディスポイズンは大丈夫でしょうか？」
「それは馬車に乗せてあるぞ」

　俺はフォルトさんとウォーロックさんが言った解銀剤シルバーディスポイズンを思い出す。
　解銀剤シルバーディスポイズンは純吸血鬼レヴナントの唯一の弱点である、銀の猛毒は肉を焼き爛れ、骨を腐らせる猛毒を解除するために、銀の猛毒を解毒するために開発されたのが解銀剤シルバーディスポイズンだ。
　そう思いだしていると、ウォーロックさんは俺に大事な事を言う。

「お前は一度も戦争に参加して無い、だが我らは一度の経験がある。もしお前が軍師だったらどちらを前線に出すと思う？」
「えっと……後者ですかね？」

　俺は少し考えてから答えを言う、するとウォーロックさんは先ほどの質問の意味を言う。

「お前が言った答えはそれと同じように、前線に出た事が無い者はどうすれば良いか分からずに戸惑ってしまって命を落とす。だが若い者は技術、武術、戦術、経験を積んでいけばいい」
「ココは私達が請け負いますので、あなたは自分の役割を全うしてください」

　フォルトさんはそう言いながら後ろに指を差し、振り向くとそこには顔を真っ青に青ざめているお嬢様がいた。
　お嬢様は丸く縮こまって、あの兄弟やクソ息子が来ると思っているのか恐怖に震えていた。
　俺はお嬢様に抱き着いてなだめる。

「落ち着いてください、お嬢様。俺がそばにいます」

　俺はいつもつけている執事服の手袋ではなく、冒険者として使っていた魔導手袋マジックグローブをつけて、お嬢様を落ち着かせる。
　するとお嬢様は徐々に青ざめた顔を明るくする、俺はホッとしつつウォーロックさんに向けて頼む。

「お嬢様の身は俺が命を代えてでも守っていきます、ですので絶対勝ってください」

　そう言うとウォーロックさんは「当たり前だ」と言って、屋敷から出て戦場に向かって馬車を動かす。
　お嬢様は強く抱きしめていて、俺は旦那様達の無事を祈る、それが俺の出来る事だ。




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　しばらく進みだして互いがにらみ合い、少しだけ緊張感が流れ出し先にレヴィンとレヴァンがガロンに叫ぶ。

「今日こそ積年の恨みを晴らしに来たぞ！　この愚弟が！」
「この場でお前を裁いてくれるわ！」

　二人は豪華絢爛な鎧一式を着て、白馬の馬に乗って叫ぶが、ガロンは呆れるように鼻で笑う。

「まったく……兄者たちよ、それは子ども達が良い学校に通うための資金を、こんなくだらない事のために使うなんてなんと情けない」
「何だと！？」
「コノ……！」

　二人はこの戦争をそんなこと呼ばわりにいわれた事で、怒髪天を貫くがガロンは気にせずに、辺りを見渡して考える。

（この大軍は少なくても百万……いやそれ以上だろう。それにアイヴァンはココにいない……どこかにいるのか？　それに……）

　ガロンは辺りの見渡しを止めて、一人の青年の方に見つめる。
　緑髪でとんがりアホ毛の特徴を持つ青年は、火花を散らす雰囲気なのに呑気に干し肉にかじりついているが、魔力の質が干し肉を食べるごとに上がっている。
　ガロンは青年がただ者じゃ無いと察して、自分が前に出ると同時にアマンと本家側の魔術師達が詠唱する。

『樹木よ。今一度、巨木となって敵対者を押しつぶせ！　巨木衝撃ギガントツリークラッシュ』
『『火の根源よ。今一度、敵対者を焼き切る刃を生み出せ！　火斬ファイヤースラッシュ！』』
『『水の根源よ。今一度、敵対者を押し流す激流を生み出せ！　激流水アクアラピッド！』』
『『風の根源よ。今一度、敵を吹き飛ばす空気の弾を撃ち出せ！　空気弾エアブラスト！』』
『『雷の根源よ。今一度、敵を痺れさせる電流を流せ！　電衝撃サンダーショック！』』

　六式魔術のうち四種の魔法がガロンに降り注ぎ、その途中でひときわ大きい樹木が勢いよく振り落とされて土煙が舞い上がる。
　レヴィンとレヴァンは「やったか！」と手をグッと握り、アマンはつまらなさそうにしているが、レヴィンとレヴァンはその余裕の表情から驚愕に変わる。
　それはガロンが巨大な樹木を軽々と持ち上げているからだ、その様子を見たカインは「やっぱり化け物だな」と小さくつぶやく。
　ガロンは巨大な樹木を下ろして、一気にアマンの鳩尾に正拳を撃ち込む、しかし瞬時に茨壁ソーンウォールでガードする、彼が次にとった行動はガロンから離れて詠唱する。

『悪よ。今一度、我が下部を呼び出せ！　悪魔召喚サモンズ・デビル！』

　そう叫んだと同時に地面から異形の怪物たちが飛び出て襲い掛かる、しかしガロンは容易く襲い掛かる悪魔を吹き飛ばす。
　アマンはガロンの常識外れの強さに、呆れつつも魔力を拳にまとって殴り合いにする。
　戦場が激化する中、ユミルは冷静に状況を思慮している。
　アマンのような強者を雇うのにかなり額が必要なのに、こんな大軍を集める事ができる上に、豪華な装備を用意できるのはおかしいと思った時に、冷静沈着で戦闘乙女の表情から苦痛に染まっていく。
　それは腹部から銀の短剣が深く刺さり、馬から落ちると同時に籠型の悪魔にとじ込まれてしまった。