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1章 魔荒国家シルバーホース

24.救出

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 俺とアリスが抱き合って、甘い空間が出来ている時にヴィンセントが茶化してくる。

「お二人さん熱いね~」

 俺とアリスはハッと我にかえって顔を真っ赤に染める。
 しまった! アリスが生きている事に安心して、つい抱いちゃったけどやり過ぎた!
 俺は顔をそらしながら治癒水ポーションを渡す。

「えっと、これを呑んだら傷が治るぞ……」
「あ、ありがとう」

 アリスは顔を真っ赤に染めながらも受け取って飲む、すると体の傷が徐々に癒えていく。
 俺は安心していると急に茨が襲ってきてなんとか避ける。そして茨が来た方に振り向くと、そこには魅惑の吸血薔薇がいた。
 どうしてここに魅惑の吸血薔薇がいるんだ!? 確かリーベット先生達が隣町に行っているのに。
 どういう状況なのか分からずにいると、ヴィンセントが教えてくれた。

「俺の予測だけど、こいつは自分と同じ変装させた妖華女アルラウネに隣町に出現させて、大人達や冒険者をおびき寄せた後に一気に誰もいない町に襲撃しに来ただろうな」

 それは原始的だけど確かにそれは効果があるだろう、現に今起きている事だしな。
 俺は魅惑の吸血薔薇に質問する。

「お前は如何して子供達を襲うんだ? そんなに知能が高いなら狩りとかしたほうが良いだろ?」

 しかし魅惑の吸血薔薇は俺の質問をバカにするように、嘲笑いだす。

『アッハッハッハ! あんた馬鹿じゃないの?』
「何? 一体どういう事だ?」

 俺が質問すると、魅惑の吸血薔薇は耳が腐りそうな位胸糞悪い事を言い放つ。

『それに街を襲うのは子供の血の方が新鮮でおいしいじゃない。特に親の前で血を啜った時はとても美味でたまらなかったわ』
「こいつ……!」

 コイツを見ればわかる、不快の権化と同じ心が腐ってやがる。
 まさかアイツらと似たやつがこの世界でもいるなんてな。けどそいつらはぶっ潰す!
 アリスは軽傷だけど怪我をさせた事、子ども達をさらって恐怖に陥れた事は絶対に許されない。
 そのうえこいつの態度を見れば常習犯だ。

「アリスは傷付けただけじゃなく、子ども達を攫って怖がらせせるなんて……」

 俺は腹の底から湧き出る怒りに奮いながら詠唱する。

『異空間よ。今一度、物体を保持する空間を出現させよ! 保持容量ホーディングキャパシティー!』

 詠唱し得ると空間から謎の穴が出現して、それに手を突っ込んで〈Cz850〉と〈20式小銃〉を取り出す。
 すると魅惑の吸血薔薇は驚愕した顔で俺に指さす。

『あんたどうやって魔法を発動したのよ!』

 一体何を言っているのか分からずにいると、ヴィンセントが教えてくれた。
 どうやら俺達がいる場所は魔道封陣界マジック・ロック・フィールドという古代魔術の結界に閉じ込められている、効果は敵対者だけ魔法を突かなくするものだ。
 だが俺だけ魔法が使えている事に驚いている。
 俺も感情的になって唱えたけどどうして魔法を使えるのは分からなかった、だが少し心当たりがあった。
 それは俺がこの世界の魔力があまり馴染めなくて魔力量が少なかった、もしかしたら俺が転生者だから効かないだろう。
 例えるならこの世界の魔力がMP、元の世界がスキルポイントまたの名をSPだとしよう。
 MPは魔法を放ったり回復させたりすることはできる、逆にSPは技を放ったり特技を使用したりする。
 相反するものはもちろん反発しあってしまう、それと同じように魔道封陣界が俺の魔力に反発して無効化にした。
 しかし俺は魅惑の吸血薔薇に向けて鼻で笑いながら言う。

「誰がお前みたいなクソ野郎に言うかよ? 血を求めすぎて脳が小さくなったのか?」

 少しくらい煽ると、魅惑の吸血薔薇は怒髪天を衝き、髪を逆立てにして叫ぶ。

『なめんじゃないわよ、このクソガキ! あんたには恐怖に溺れながらみじめに殺してやるわ!』
「それはこっちのセリフだ。俺の大事な人たちを奪おうとしやがって……」

 俺はそう言いながら、〈Cz805〉と〈20式小銃〉をヴィンセントとアリスに渡して魅惑の吸血薔薇に近づく。
 弾倉マガジンを突撃銃《アサルトライフル》に装填したら安全装置セイフティーをオフにして叫ぶ。

「今まで行ってきたに後悔させてやる! アリス、ヴィンセント! 反撃開始だ!」

 俺が叫んだと同時に二人勢いよく答えた。

「エエ!」
「オウ!」
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