上 下
22 / 81
1章 魔荒国家シルバーホース

22.VS魅惑の吸血薔薇中編

しおりを挟む
 森深くに大量の不浄人形ドールズがいる中で、小鬼ゴブリン疾風剣ウィンドウソードで袈裟切りにするヴィンセントと魔菌マイコニド三体を氷結槍アイスランスで串刺しにするアリスがいた。
 アリスの後ろには子どもが数人いて不浄人形ドールズに怯えている。
 アリスとヴィンセントは子ども達を守ろうと必死に不浄人形ドールズを倒している。
 子ども達の内一人が細々にアリスとヴィンセントに心配する。

「ウゥ……アリスお姉ちゃんにヴィンセントお兄ちゃん……」

 アリスは子どもたちの方に向いて笑みを浮かべる。

「大丈夫、私とヴィンセントが必ず守るから。だから少し動かないで」

 アリスは子ども達に安心させるように言うと、地面に手を合わせて詠唱する。

『氷の根源よ。今一度、幼き命を守る聖域となれ! 氷結聖域《アイスサンクチュアリ》!』

 詠唱し終えると子ども達の足元に魔法陣が出現する。
 魔法陣が出現すると六角形の氷柱が、子ども達を囲うように斜め上に突き出ると、頭上に魔法陣が描かれた薄氷が包み込む。

『コンナモノ破壊シテヤル!』
『キュルルルル!』

 小鬼ゴブリン魔菌マイコニドが子ども達の方に襲ってくる、すると薄氷に描かれている魔法陣が光り出す。
 すると魔法陣から氷結槍アイスランスが射出されて小鬼ゴブリン魔菌マイコニド生命晶コアを破壊されて小鬼ゴブリン魔菌マイコニドが断末魔を上げる。
 ヴィンセントが氷結聖域アイスサンクチュアリの強さに呆れる。

「にしてもそれかなり凄いな……。攻撃したら堪ったものじゃないな」
「貴方が変な事をしなかったら無事でしょ?」
「ひでぇな、おい……」

 アリスの言い分にヴィンセントが頭を掻く、すると後ろから小鬼がこん棒を強く握りしめて襲い掛かる。
 しかしそのこん棒がヴィンセントの頭を割る事はなかった。なぜならヴィンセントは懐から回転式拳銃リボルバー〈ナガンM1895〉を取り出して引き金トリガーを引いて、後ろにいた小鬼ゴブリン生命晶コアを破壊したのだ。
 当然アリスは呆れながら言う。

「後ろに撃つって子ども達に当たったらどうするの?」
「結界系の魔法は簡単に破壊出来ない様になっているから大丈夫だろ?」

 アリスとヴィンセントが呑気に話し合っていると、小鬼ゴブリン魔菌マイコニド達が一斉に襲い掛かる。
 しかしアリスは冷静に詠唱する。

『氷の根源よ。今一度、敵対者を切り裂く寒波を放て! 冷却波コールドウェーブ

 詠唱し終えると手のひらから寒波が噴き出してきて、それが拡散して小鬼ゴブリン魔菌マイコニドに触れると氷像とかした。
 アリスはため息をつきながら言う。

「ハァァ、ヴィンセントは皆の事は考えるのに手癖が悪いね」
「そういうアリスは五歳の頃プライドが高くて高飛車だったろ?」
「昔は幼かったから忘れてよ!」

 アリスが顔を真っ赤に染めて叫ぶ。よほど昔の事が恥ずかしいのだろう。
 しかしアリスは小さい笑みを浮かべる。

「だけどアレスみたい頼もしいよ……」
「オイオイ、自分はあいつとかなり違うぜ」

 ヴィンセントはそう言うと不敵な笑みを浮かべて言う。

「けど……俺の背中を守ってくれよ? 氷結様」
「分かっているわよ、疾風馬鹿」

 アリスがそう言うと同時に魔法を放つ。
 ヴィンセントは疾風魔法と〈ナガンM1895〉を駆使して、アリスは氷結魔法で一掃する。
 小鬼ゴブリン達はアリスとヴィンセントの実力に恐れていると女の声が叫ぶ

『あんた達何時まで待たすのよ!』

 女はそう言って林の中から出てきたのは人とは呼べない不浄人形ドールズだった。
 その姿は上半身が大人の女性で、下半身がバラで、髪は血のように赤い長髪、体には茨のタトゥーが刻まれて、脚部となる茨は鋭利な棘が見えてかすっただけでも切れそうだ。
 その姿を見てアリスとヴィンセントは信じられないが小鬼ゴブリンの一人が女不浄人形ドールズに報告する。

『魅惑の吸血薔薇様ガキを攫ウ事ハ出来マシタガコイツ等ニ邪魔サレテイマシタ』
「ナッ――!?」
「マジかよ……」

 小鬼ゴブリンが魅惑の吸血薔薇と言う。
 それを聞いたアリスは絶句し、ヴィンセントは苦虫をかみ潰したような顔をしながら思考を張り巡らす。

(どうして魅惑の吸血薔薇がここにいるんだ!? 今はリーベット先生や大人達が戦っているのにいきなりココに来るなんてあるか? ここに一瞬で来る方法は転移しか無い、けど戦い中で魔法を使うには詠唱が必須だ! だったらどうやって――)

 ヴィンセントは思考を張り巡らしていたが、アリスは両手を魅惑の吸血薔薇に向けて詠唱する。
 ヴィンセントはアリスが詠唱している所を見て、考えるのは止めて詠唱する。

『氷の根源よ。今一度、敵対者を突き刺す槍を生み出せ! 氷結槍アイスランス
『風の根源よ。今一度、敵対者を刺し切る矛を生み出せ! 疾風矛ウィンドウスピア!』

 二人が詠唱し終えると、周りの空気を冷却させる氷の槍と、空気の刃に混ざり合う疾風の矛を生み出すと魅惑の吸血薔薇に向かって射出する。
 魅惑の吸血薔薇は焦る動作を見せずに詠唱していく。

『古の霊脈よ。今一度、魔を封ずる結界を生み出せ! 魔道封陣界マジック・ロック・フィールド!』

 魅惑の吸血薔薇が詠唱し終えると怪しい文字が抱えれている結界に包み込まれてしまう。
 すると氷結槍アイスランス疾風矛ウィンドウスピアだけじゃなく氷結聖域アイスサンクチュアリまで消滅してしまった。
 アリスは魔法を消去された事は驚いて言うが再び放とうと詠唱する。

『ッ――、ッ――!』

 しかしいくら詠唱しても喉が潰されたか、魔法を使用する事は出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。 その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。 更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。 果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!? この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...