ソウルサクリファイス・業魔の書物

佐々牙嵯峨兎

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はじまり~魔法使い編

5.絶望の日後編

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「キィェー!」

 すると怪物は金切り声を発し、と同時に守護壁の扉が破壊する。

「月とショウ、急いで逃げるぞ!」
「ウン!」

 急いで月を担いで守護壁から逃げる。

「「ウワァ―!?」」

 他の人も急いで守護壁から離れようとするけど一番近くにいた人は扉から入ってきた魔物に殺されていく。
 急いで家に着くと家が壊れて母が埋もれている。

「「お母さん!」」
「おばさん! 無事ですか!?」

 瓦礫に埋まれているお母さんは息が切れて頭から大量の血が出ている。

「お兄ちゃん急いで助けないと!」
「分かっている!」

 急いで助けようとするけど俺たちでは全然びくともしない。

ヒビキもういいわ」
「何言っているの、お母さん!」

 弱気になったお母さんに元気付ける。
 まだ月の好きな人を見せて無いのにまだ恩を返して無いのにこんなの嫌だ!

「私はね、すごく幸せだったわ。お前達だけでも逃げなさい」
「イヤだ!」

 まだ一緒にいたいという気持ちがさらに膨らみお母さんの手を引っ張る。

ショウ君御免けど響きと月をお願いあの子たち避難所に連れて欲しいの」
「分かりました」
ショウお前言っていることわかっているのか!」

 急げばまだ間に合うと思い引っ張ろうとしたら昨日の片目のおっさんが俺たちに近づく。

「君たちは昨日の!」
「おっさんお母さんを助けてくれよ!」

 片目のおっさんなら助けるけど現実な事を言う。

「君のお母さんはいつ死んでもおかしくない、だから救えることはできない」
「そんな嘘だろ」

 助けられない事言われて膝まづいてしまった。
 救う事ができないと聞くと愕然としお母さんの手が俺と月の頬をさする。

ヒビキに月あなたたちのいい顔が台無しになっているわ」

 俺達を心配している思いが心に突き刺さり、さらに涙があふれ出る。
 お母さんが小さな声で何か当てようとし、耳の戸を近づけたとき、何かが飛んでいる音と妙な鳴き声がした。

「この音は飢餓の堕鳥グルルか! すまないが許してくれ!」

 するとおっさんは俺たちの口に布を巻いて俺達を担ぐ。

「ン―! ンンー!」

 急いでお母さんを助けたいがおっさんの力が強く中々離れる事が出来ない。

我はマイ空を飛びエアーズ突き進む者なりタックルス!」

 聞いた事がない言葉を言い終わったとき、守護壁付近に怪鳥が見える。
 その鳥は男の顔があり異常というくらいやせ細っているが自分たちを追わずお母さんがいる場所に降りる。

「ン―!」

 急いで助けようとしてもお母さんの所に行けない。
 それがお母さんとの最後思い出になった。
 お母さんは俺たちの方を見て少しずつ少しずつ齧られて死んでしまった。

「ンンー!」

 お母さんが死んだ悲しさに俺は泣き叫び続けた。
 そうして何分経ったか分からないがいつのまにか避難所にいた。

「君たちは急いで避難用の船に乗りなさい」

 おっさんは魔物を近づけさせないために戦うらしいが一つ聞きたい事があって呼び止める。

「待てよ、何で母さんを見捨てた! 言えよ!」

 お母さんを助けない理由を問いただすとおっさんは悔しそうに言う。

「実は王の命令で『けがをしている者を見捨てよ』と言われた」
「何だよ、それ」

 あまりの酷さに悲しさと怒りが溢れて何かがおかしくなりそうだ。

「恨むなら私を恨め」

 おっさんはそう言うと守護壁の方に向かい進んでいると翔が俺の手を掴む。

ヒビキ急いで脱出しよう」

 翔が俺の手を引っ張り避難用の船の方に指を指す。
 ショウの言う通り今ここで死ぬとお母さんの死が無駄になると思いショウの言う事を聞く。

「分かった」

 俺はまだ泣いている月と一緒に船に乗ったその時、壁を突き破る音がして、振り向くと巨人が破壊してきた。
 大きさは四メートルで所々棘付きリングを装着して顔の内目は包帯に覆われていた。
 その巨人はまだ船に乗ってない人たちに襲い掛かる。

「ウワァ―!」
「助けてくれ―!」

 叫び声や断末魔が聞こえる中乗組員は板状の道具で連絡しているが何かを決断したように他の乗組員に伝える。

「急いで出発するぞー!」

 乗組員はそう言うと船を動かし中級都市区に向かって行く。
 故郷から離れてしまいさっき魔物に殺されたお母さんの言った事を思い出す。

『お願い、月とショウ君だけじゃなく皆を助けて』

 何で魔物がいるかは知らないけど魔物を全滅させる方法があれば俺のような心がいなくなりお母さんが言った事をかなえる事が出来るだろう。
 やることは一つだけと思い立ちあがる。

「殺してやる、魔物も魔物を生み出している存在もぶっ殺してやる!」

 魔物を駆逐して魔物を生み出している連中も殺すことが唯一皆が平穏に暮らせると思い、絶対に魔法使いになると決心した。
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