電界異聞禄アルターエゴ

佐々牙嵯峨兎

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1章 The hierarchy of lust

Digital19.しばしの平穏

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 白夜がアルターエゴを開放してから三日経つ。
 ワンダールームから手に入れた武器をイズナさん達に見せた。とっても驚いていたが、その武器をどこに手に入れたかマシンガンのように根掘り葉掘り聞かれまくった。
 もちろんそのことについて分かりやすくかつ短く説明した。イズナさんはアルカナの法則は知っている。
 だが生贄錬成どころか、アルターエゴを特定条件で複数所持する事も知らなかった。
 さすがのイズナさんもその事にはあまり分からず「それを駆使しておけば戦力増強できるかもしれない」って驚きながら言う。
 俺はそのことに少し喜びつつも、素材装備以外をビリーさんの所ですべて売り渡し、そして薬品が少なくなってきているという事で、特殊野外活動部の行きつけの薬局にイザナと白夜と共に買い出しに行っている。(ちなみにアルフォンスは俺の頭の上に乗っかりながら寝ている)
 白夜は首を傾げながらイザナに聞く。

「なぁ、今から買いに行く薬局ってなんだ?」
「アア……クロードはともかく白夜は初めて会うんだよなぁ」

 イザナはそう言いながら顎に手をかける。俺もその人についてあった事無いからな。
 俺はそう思いながらイザナの話を聞く。

「その人は医者だけど少し変な人なんだよねぇ~。ちょっと人体実験をさせるけど、その代り物凄い効果がある薬をくれるんだよ」
「「へぇ~」」

 イザナの話を聞いて俺と白夜は感心しながら答える。
 少し変な所と人体実験させるところを除けば、かなり有能なんだな。
 そう思いながら歩ていると白い建物に目が入る。
 そこは壁が白い屋根付きの建物だ。扉に書かれている看板を見るとオープンと書かれている。
 扉を開けて建物の中に入る。
 中は少し古ぼけている上に埃が舞っており、少し汚いと思いながら口元を塞ぐ。
 少し埃臭いなーと思いながら周りを見ていると、受付から着物を着ている男が顔を出してくる。
 その姿は緑茶色のロング、瞳の形は垂れ目のグリーンで、体格は少し細めだ。さらに少し大きめなマンまるメガネをかけている。
 のんびりな印象を持つ男は受付から出てイザナにあいさつする。

「おやおや~久しぶりだね、イザナ君。ま~た薬品を少なくなったの?」
「アハハ……ちょっと訳がありまして……」

 イザナは苦笑いをしながら俺達に指す。すると男は俺達の方に興味を持ち、こっちに来ながら見る。
 俺と白夜をじっくり見ながら質問する。

「君たちもアルター何たらを使えるのかい? ちなみに僕の名前はやなぎ竜馬りょうまだよ、今後ともよろしくね」
「ハ、ハイ。俺の名前はクロード・夜神やがみだ」
「俺は大神おおがみ白夜びゃくやっす」

 俺と白夜は自分の名前を言うと、竜馬さんは首を縦に振りながら質問する。

「へぇ~早速だけど君たちは治験って言うのを知っているかい?」
「治験?」

 白夜は竜馬さんが言う事を分からずに言う。俺も少しだけ知っているが、確か新しい薬の安全性を試すためのバイトであり、かなり危険だったはず――
 治験の意味を考えていると、竜馬さんは懐から謎の薬を取り出して説明する。

「これはまだ試薬段階で、まだ安全性は無いけど、うまく調整できれば状態異常の回復やさらなる回復量増幅するだろう」
「へぇ~ってことはつまり……」

 俺は少し頬に冷や汗を流しながら聞く。
 竜馬さんは少し軽く言いながら頼む。

「察しがついて助かるよ。この薬を君たちが飲んで欲しいんだよ」

 やっぱりー! 一応イザナから聞いたとは言えど、マジで治験されるなんて人生初だよ!
 少し頭が痛くなってきたが、白夜はそれを受け取ってまじまじと見る。

「初めて見たけど……なんか色が紫っぽいな」
「チョ――!?」

 俺はそれを見て一気に察する。
 コイツ全然わかって無いのに興味本位でやるつもりだ! ほら見ろよ。白夜の奴、怪しい薬が入ったフラスコに目を輝かせながら見ているぞ!
 俺は急いでそのフラスコはヤバいと言う前に竜馬さんはのんびりに答える。

「オオ、治験してくれるなんて嬉しいね! 早速グイっと飲んでみてよ」
「オウ、こういうのは初めてだから緊張するけど興味あるな……」

 うそーん……! 何でそんな怪しい物を簡単に飲めるの!?
 俺は渡されたフラスコをじっと見ながら冷や汗を流す。
 どうやってこれ処分すればいいんだ? 現実逃避としてこの薬の処分を考えていると、イザナは俺の肩に手をのせて耳打ちする。

「諦めるんだ……こうなったら飲む以外の選択肢はないんだよ」

 ウゾダドンドコドーン!
 俺はその言葉を聞いてさらに絶望する。もはや避けれない運命だと知り、俺は白夜と同時に勢いよくフラスコの中にある薬を飲み干す。
 フラスコの薬は少し苦みがあるけど、甘みや辛味などが交じり合っており、さらに粘々とぷにぷに触感があり、口と喉に不快感を味合わさせてしまう。
 正直に言っちゃえばマズイ、しかもかなりと言っていいほどだ。
 な、何だよ……コレ!? 普通の不味さとは段違いじゃないか! しかもあまりの不味さで視界が歪んでしまう。
 あ……これ多分ヤバい奴だ。
 そう思った瞬間に俺と白夜はあおむけに倒れてしまう。

「クロードに白夜ー! 気を保てー!」

 イザナは焦った声で俺と白夜に呼び掛けるが、俺と白夜は白目を剥きながら泡を吹き出していた。




▲▽▲▽▲▽




「う、ウゥ……ひどい目に合った」

 俺は少し頭を掻きながら起き上がるとイザナが心配しながら近づく。

「あー……大丈夫? 倒れた時はヤバいと感じたけど?」
「いや、それに付いてはマジでヤバかったと思った……」

 俺は少し冷や汗を流しながら言う。白夜は白目を剥きながらうめいている。
 しばらくそっとしたほうが良いな、これ。
 そう思いながら呆れていると、薬局にあるベルが鳴り、俺はなった方に向くと入ってきた人物に目を奪われてしまう。
 その姿は黒髪ロングで、目つきは少し丸い瞳の色はインディゴで、体格は細くてスタイル抜群だ。
 少女は白いとろみのあるシャツとゆったりとした水色のチノパンを着ていた。
 俺はその美しさに見とれていると、白夜はようやく起き上がって言う。

「アァ……死ぬかと思った……って、レンコンじゃねぇか!」
「れ、レンコン!?」

 俺はこの美少女の名前が野菜だと言う事に驚く。
 だが美少女は白夜が言った名前を即座に否定しながら言いなおす。

「あのねぇ! 私の名前はレンコンじゃなくて霊だよ! 何回言えば気が済むわけ!?」

 霊と言った少女は白夜に向けて良い直す。
 白夜の奴……何回も言い間違えたんだなー。
 少し苦笑いをしていると、霊さんは俺達に気付くと白夜に質問する。

「あ……白夜はもうあの気持ちを乗りこえたんだね。私の名前は黄泉よみづきれいで、白夜とは腐れ友達なの」
「へぇ~、俺の名前はクロード・夜神で、隣にいるのが――」
「八神イザナです。宜しくお願い致します」

 イザナが自己紹介をすると霊さんは目を輝かせながら聞く。

「八神イザナッテ確か八神イズナの弟じゃん! 噂程度で聞いたけど初めて見たよ!」
「あ、アハハ……」

 イザナはそこまで有名なのが少し驚いている。マァ、俺も最初はかなり驚いたからな~。
 その後は久しそうに白夜と話し合い、竜馬さんが来たら持っていた薬を貰って寮に帰った。
 俺達も薬の効果や副作用が無いか一通り調べ、調べ終えたら薬品を補充して学校に戻って渡し終えたらそのまま寮にかえった。
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