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プロローグ

ならばチュートリアルを所望する!

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「はー、おはよう」

思いきり笑って満足したのか赤毛の美丈夫は息を整えつつ片手をあげた。
ゆるっとしたシャツに濃い色のズボンというラフな格好のイケメンが立っていた。
目にかかる長めの焦げ茶と赤が混じった髪を軽く後ろに撫で付け、俺と似たような鋭い目つきは高い鼻と薄い唇がバランスよく合わさる事で警戒感を与えない。
そして鍛えてある事が一目でわかる筋肉がついた体。自信ありげな態度はカリスマなオーラを醸し出している。
突然現れた青年に思考停止したリョウに
待てなかったのか目の前の男が勝気な表情で口を開く。

「いらっしゃい死後の世界へ、というべきかなリョウ。オレはリオ。」

リョウも百八十半ばはある長身だが目の前の男も負けてない長身だった。だが同じくらいの身長のはずなのにスタイルの違いにこっそり傷ついてしまう。
よろしくと伸ばされた手を条件反射的に握り混乱した頭を整理しようと話を聞くことにした。

さも当然のように異世界の住人であると告げるリオの話はこうだ。
リオは男しかいない世界で種族問わずのモテっぷりを発揮し公私ともに人生楽勝ハーレム無双の状況に飽きていた。目標は天高くとでもいうのか今度は天界でハーレムを構築したいと思い立つ。魂を天界にとどめる術を見つけ今世に未練はないが、死んでしまうのも問題になる。
リオは立場のある竜騎士団長であった。国の為にも後継を見つけようとしたが見つからないし、一定数いるリオの愛しか受け付けない愛すべき男共の事を考えた。
ならば自分の体さえ残ればなんとかなるだろうと空になった体を預けられる魂を探していたという。

「それがリョウだ。名前も似てるしイケるだろ!」
「人間のクズか!アンタはッ!」

あっけらかんと説明するリオに、たまらず声を荒げる。
モテるだけでは飽きたらず、慕ってくれる輩を捨て置き新たな愛の元に駆けていこうとするとは。
話を聞かねばと冷静に取り繕ってはいたが、自身は懐は広いがただの常識から逸脱する事のないであろう普通の男である。
自分のなけなしの倫理観や道徳などに照らし合わせても最低だという感想しかでない。
しかも、愛すべき男!?ツッコミが追いつかない情報に痛み出す頭を抱えてリオに意を唱えた。

「そんなの無理だッ!お前みたいに振る舞えるか!!」
「えー?そうかぁ?イケるって!オレは神託を受けて寝てるって事にしてるし、神託のせいで記憶が曖昧になりましたー、てどうよ?」
「適当すぎるし相手に対して不誠実すぎるだろッ!そんな事、俺は引き受けないからな!無理!」

その後も似た押し問答が続き自分の死も嘆く暇もないまま無茶な要求を当然という顔で要求するリオに温厚なリョウもプツリとキレた。

こんなノリの軽い男が責任の重い竜騎士団長だって?
やっぱり男は顔なのか、男にモテるのも顔なのか!?
混乱する頭が今までのモテなかった人生の鬱憤を晴らすように1つの迷案を導き出す。

「チュートリアルを希望する!」
「ちゅーとりある?なんだそれ」
「練習させろ、お前の体で。
 男なんて相手にした事ないから抱き方をぜひ教えていただこうと思ってな!」

ヤケクソである。理不尽な状況に一矢報いたいという思いが今までの人生で浮かぶ事のなかった対応を引きだす。これで嫌がるようならそれを理由に断固断ろう。誰のせいで男を侍させる他人を演じねばならんのか。ケツを狙われた事なんてなさそうな男だし少しくらい嫌がればいい………

「そんな事でいいの?いいよー任せなさい!」

最初はキョトンとした顔をしたリオがしばし考えたあと、フェロモンをふりまきつつ艶のある笑顔で近づいてきた。堂々とした態度に「お、お前が女役だぞ!?」分かってんのか、と口に出すことも叶わずリオに唇を塞がれた。
経験値豊かなリオには抵抗など無に等しく突破され、かすかな口の開きから舌が侵入し絡める。前歯の裏、舌の奥からぬめっと器用にしごかれ呼吸が荒くなる。

「ふっ、り、リオ。ちょっ…」
「…ふっ、はっ。俺コッチは初めてだからヤ・サ・シ・ク・してね…リョウ」

この男ノリノリである。

空間にベッドが現れ上半身裸になったリオとお互い向き合いズボンから自身を取り出し重ねた。騎士であるリオのゴツゴツした手に包まれ動かすたびに熱が高まる。
いつの間にか取りだした香油が絡まり、二本のものがぐちゃぐちゃと音をたてた。お互い硬く芯をもつと空いた手でリョウの手を掴みリオの蕾へと導いた
「ここも慣らすんだよ?」

――――
(く、くそ!)
リョウは焦っていた。
自分から言いだしたが、まさかこんなに乗り気でグイグイくるとは思わなかったのだ。
人の手を使いほぐした後はあっという間に騎乗位でなされるがままだ。
今も人の上で初めてのアナルの感覚が楽しいのか棒扱いである。
リオの経験値に勝てないのは仕方ないが、この抱かれているような屈辱感は納得できない。
「はっ、きもちーね、コレ癖になりそう…わっ!」

俺のうえに跨って淫らな腰の動きをして恍惚の表情をしたリオに、腹筋を使って起き上がると覆い被さり、貫いた状態のまま真下に体重をかけた。重みのせいか先程より奥に入り込みリョウのモノをきつく締め付けた。
「あ!それ!ふ、深いっ…!」
リオの顔から余裕が消える。この機を逃すまいと懸命に腰を打ちつける。騎乗位の時にリオが感じていた場所を思い出し、何度も何度もえぐった。
その度にリオの嗚咽のような鳴き声が聞こえる。もうからかう余裕もないようだ。首を振って何か訴えているが自分と変わらない男の体を押さえているため、力が入り集中したリョウには届かなかった。
夢中だったリョウがついに奥に入れたまま果てて我にかえると組み敷かれたリオは足を開いて痙攣していた。陰茎からはダラダラと精液がでていた。

男との性行為が初めてのリョウは困惑していた。
立場が逆転したような体勢になり、焦るイケメンに自尊心が満たされ調子に乗ってしまった。
途中でなにか訴えていた気がする…。
(これってもう断れない感じか!?)


そんな狼狽えているリョウを尻目に、未だ後ろの感覚の余韻に浸っている快楽主義の男は顔を手で覆いながら興奮していた。

(す、凄かったーッ)

チュートリアルというものを要求された。現実世界では断固バリタチの姿勢を崩さなかったが今は精神体の為深く考えず了承した。俺の代わりになる相手だし、最後に経験しとくのもありかと軽く考えていた。
事が及んで跨ってみると相性がいいのか思いのほか気持ち良くそこまでは良かった。

彼が逝きそうになるたび動きを緩慢にして煽っていたら、マウントを取られて真上からひたすら貫かれるという事態になった。
それがまた良いところにゴリゴリ当たって、何度もイったのに止めてもらえず…頭がおかしくなるかと思った。まあそれはいいとして
(さて、どうするか。)


心の中で盛大に転げ回った回想を終え、視線を情けない顔をしたリョウへと向ける。
その顔をみてニヤリと口元が緩んだ。

天界ははこれからいつでも行けるさ、まだまだチュートリアルというものを教えねばなるまい。
そう、手取り足取り。
じっくりと。
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