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「これで落ち着いて話せるかな」
ルディが一歩シュリに向かって、踏み出す。
「近づかないで。汚らわしい、化物」
シュリがルディを睨みつける。
ふいにルディが声を立てて笑った。
「汚らわしいね。きみはヴァンプのことをそんな風に思っているの? 」
ルディが首を傾げる。
「ええ、そうよ。差別は良くないと思うけれど、あんた達は別。人間の血液が食料だなんて、化物以外のなんだっていうのよ」
シュリの言葉に俺は顔を顰めた。
最初にシュリと言葉を交わした時から、そんな風に考えていたのだろうか。
あの美しい笑顔のしたで。
ルディはまだ面白そうに笑っていた。
「そうなの? でもマックはだいぶヴァンプのことを気に入っているみたいだけどね」
「ただ力があるから、ボディーガードとして雇っているだけよ。父さんだって、本当は虫唾が走るくらいヴァンプのことが嫌いで、見るのも触れるのも嫌だって言ってたわ」
ルディが腹を抱えて笑い出した。
そんなルディを気味悪そうにシュリが見つめる。
「何よ」
「いや、君って、案外純粋なんだね」
ルディが笑いすぎて涙が滲んだ目尻を拭っている。
「どういう意味よ」
「いま、マックが本当はどこにいるか知ってる? 」
「だから父さんは、北欧に仕事で」
「違う。マックはお気に入りのヴァンプの愛人と、バカンスを満喫中さ。北欧みたいな寒いところじゃなく、常夏のビーチでね」
「そんなの嘘よっ」
シュリが叫ぶ。
「嘘じゃないんだな、これが。その愛人が我らの仲間でね。マックは我らの仲間が大のお気に入りらしくて、片時も離してくれないってぼやいていたよ」
「テロリストの言うことなんて信じるもんですか」
シュリが下唇を噛む。
「マックは俺達の仲間の男の1人を殺し、女の方を愛人にした。そしてまさにテロリストの女に骨抜きになっているところさ。今回の旅行だって、女がねだったんだ。マックは娘の誕生日パーティーよりも愛人を優先させたってわけ」
「嘘よ、嘘っ。そんなの信じない」
ルディが一歩シュリに向かって、踏み出す。
「近づかないで。汚らわしい、化物」
シュリがルディを睨みつける。
ふいにルディが声を立てて笑った。
「汚らわしいね。きみはヴァンプのことをそんな風に思っているの? 」
ルディが首を傾げる。
「ええ、そうよ。差別は良くないと思うけれど、あんた達は別。人間の血液が食料だなんて、化物以外のなんだっていうのよ」
シュリの言葉に俺は顔を顰めた。
最初にシュリと言葉を交わした時から、そんな風に考えていたのだろうか。
あの美しい笑顔のしたで。
ルディはまだ面白そうに笑っていた。
「そうなの? でもマックはだいぶヴァンプのことを気に入っているみたいだけどね」
「ただ力があるから、ボディーガードとして雇っているだけよ。父さんだって、本当は虫唾が走るくらいヴァンプのことが嫌いで、見るのも触れるのも嫌だって言ってたわ」
ルディが腹を抱えて笑い出した。
そんなルディを気味悪そうにシュリが見つめる。
「何よ」
「いや、君って、案外純粋なんだね」
ルディが笑いすぎて涙が滲んだ目尻を拭っている。
「どういう意味よ」
「いま、マックが本当はどこにいるか知ってる? 」
「だから父さんは、北欧に仕事で」
「違う。マックはお気に入りのヴァンプの愛人と、バカンスを満喫中さ。北欧みたいな寒いところじゃなく、常夏のビーチでね」
「そんなの嘘よっ」
シュリが叫ぶ。
「嘘じゃないんだな、これが。その愛人が我らの仲間でね。マックは我らの仲間が大のお気に入りらしくて、片時も離してくれないってぼやいていたよ」
「テロリストの言うことなんて信じるもんですか」
シュリが下唇を噛む。
「マックは俺達の仲間の男の1人を殺し、女の方を愛人にした。そしてまさにテロリストの女に骨抜きになっているところさ。今回の旅行だって、女がねだったんだ。マックは娘の誕生日パーティーよりも愛人を優先させたってわけ」
「嘘よ、嘘っ。そんなの信じない」
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