vamps

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「俺、一緒にいたい奴がいるんだ。だからここには住めない」
「その人もここに連れてくればいい」
「彼は人間なんだ。ここでの生活には違和感を覚えるだろうし、そうなったら彼は決して幸せだとは感じないだろう」
「君の幸せが自分の幸せだと、彼は思ってくれないタイプなのかな？　」
　男の問いに俺は一瞬固まると、ぎこちなく首を振った。
　男が小さくため息をつく。

「俺みたいに外の世界で傷つかないといいですね」
　男の言葉に俺は頷くことしかできなかった。

　通された部屋の中央で、ルディはソファに腰かけていた。
　俺をこの部屋まで送った男は何も言わずに出て行った。
「座ったら？　」
　向かいのソファをルディが手で指し示す。
　黙って腰かけ、ルディと真正面から見つめ合う。

　改めてこうじっくりと見ると、ルディは本当に美しい男だった。
　目尻の上がった大きな瞳と目を合わせると、吸いこまれそうな気持になった。

「お茶を飲んでみて。美味しいから」
　ふいにそう言われ、金縛りが解けた心地になる。
　慌てて目の前のカップに口をつけると、芳醇な香りが鼻孔をくすぐった。そんな場合じゃないのに、俺は思わず唸ってしまった。
　そんな俺をルディがくすりと笑う。

「ね、美味しいでしょ？　キースはお茶をいれるのが本当に上手なんだ」
　ルディの視線を追いかけると、キースが窓辺に立っていた。
　大柄な男なのに、全く気配を感じなかった。
キースの冷たい視線に背筋がぞくりとする。

「話をするんだろ？　」
　キースの言葉にルディは「そうだった」と笑い、手を叩いた。
「ここのことどう思う？　」
　ルディが前置きもなく尋ねた。
「ここが必要なヴァンプや人間がいるのは理解した。けど、俺の居場所はここじゃない」
　きっぱり言うと、心臓がばくばくと音を立てた。
　帰りたいと訴えたところで、目の前の男がそれを簡単に許すとも思えなかった。
　このままここに監禁される可能性も大いにある。
　手に汗を握って、目の前の男の言動を見守る。