vamps

まめ太郎

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「タイの彼は結局人間を選んだってことだろ。僕らが行動を起こさなくても、いつか問題は表面化したはずだ」
「問題なんて」
 ゾーイは色々なことを知っているようだった。

「タイ解消の薬を今僕らで開発中なんだ。それさえできれば、今までみたいに強制的にタイを解消させなくてもいい。きみの相手だって、無傷でタイ解消ができるんだ」
 俺は驚きに目を見張った。
 自由解放軍はそれなりに大きな組織とは知っていたものの、薬の開発まで行っているとは初めて知った。

「現在タイ解消の薬は、利権がらみで非常に高価だ。俺達は誰でも簡単に手に入るタイ解消の薬を流通させたいんだ」
「それはできれば、いいと思うけど……」
「できるんだよ」
 きっぱりとゾーイは言い切った。
 ゾーイの自信ありげな口調から、薬の開発はかなりいいところまで進んでいるのだろう。

「だから自分を大事にしてくれないタイなんて解消して、ここで誰か別の相手を見つければいい」
 そんなあっちがダメだから、こっちだなんて。俺はタイの関係はそんな手軽なものじゃないと叫びたかった。
 強ばった俺の表情に気付いたのか、モルガンが口を挟んだ。

「何も無理をしてタイの相手を見つける必要はないの。ここにはヴァンプに偏見のない人間しかいないから、みんな血を分けてくれるわ。タイの相手を決めずに吸血したくなったら、そういう相手から血を貰っているヴァンプもたくさんいるの」
 とりなす様に言うモルガンの横で、ゾーイも頷く。
「そうだよ。選択肢ならたくさんある。僕が君のタイになったっていい」
「何言って……」
 驚きのあまり言葉を失う俺にゾーイが微笑みかける。

「ここでは一人の人間が何人かのヴァンプとタイの関係を結ぶのは普通のことなんだ。僕のタイは今はモルガンだけだけれど、過去には複数のヴァンプとタイとなっていたこともある」
「そんな……モルガンはそれでいいのか? 」
 モルガンははっきりと頷いた。

「ええ。私たちは大きな目的の為に行動しているの。誰とタイになろうと、吸血しようとセックスしようと、そんなの目的の前では些末なことにすぎないわ」
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