vamps

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「たまにはさ。タイのことは忘れてっていうのは無理でも、私とも遊んでくれてもいいんじゃない？　大事な親友なんだしね」
　親友という単語に恥ずかしいやら嬉しいやらで思わず頬が緩む。

「そうだね。夕飯、一緒に食べようか」
「そうこなくちゃ。車で家まで迎えに行くわ。久々にトラスで熱々のハンバーガーでも食べましょう」
「うん、よろしく」
　通話が切れて、俺は出かける支度を始めた。

　トラスのチーズバーガーは俺の大好物だった。
　さっきまでヒューイとシュリが2人で会っているということにモヤモヤしていた気分が、モルガンのおかげで随分と軽くなった。
　頭の中で親友に礼を言いながら、俺は財布をポケットに突っこんだ。
　
　モルガンの赤い軽自動車が目の前に停まり、俺は助手席に乗りこんだ。
「車をだしてくれてありがとう」
　トラスは人気店だが、町外れにあるため徒歩やバスで行くには不便な場所だった。

「いいのよ。それより来週の生物学のレポート終わった？　図書館にあんまりいい資料なくて」
「ああ、カレッジじゃなく州立図書館の方が蔵書が多いよ」
「そうなんだ。ありがとう。流石アレンは頼りになるわね。マイなんてネットから適当に書き写すなんて言うから相談できないし」
　クラスメイトの発言に苦笑が漏れる。
「あの先生そういうの厳しくチェックするだろ？　止めたほうがいい」
「でしょう？　あの子平気でそういうことやるのよね」
　モルガンが急に首を傾げ、サイドミラーを凝視している。