vamps

111R-18

　ヒューイに抱きしめられると心臓が早鐘を打ち、大きな掌で腰を撫でられると全身が溶けてしまいそうだった。
　ヒューイが自分の身に着けていた服をベッドの下に放る。
　今日のヒューイは性急に体を繋ごうとする。
　俺の蕾は既に濡れて、準備ができていた。

「ああっ」
　ヒューイは奥まで入り込むと、俺をじっと見つめた。
　何故かヒューイは傷ついたような表情を浮かべている。
　俺は泣きたいような気持をぐっと堪えた。

　その途端、ヒューイの腰が激しく動き出す。
　ベッドが壊れるんじゃないかと思うくらいの音で軋み、俺の喘ぎ声をかき消す。

　何で……どうして……俺はヒューイを。
　目を閉じて息を乱すヒューイを俺はじっと見つめた。

　ヒューイに命令されたのに、俺の想いは消えていない。
　むしろこうやって抱かれていると余計にヒューイを愛しく思ってしまう。
　こんな感情はヒューイにとって迷惑でしかないのに。

　困惑した俺は縋るように、顔の横に手をつく、ヒューイの腕にそっと触れた。
　ヒューイはすぐに俺の手を握り、指を絡めてくれる。

　好きだ。
　どうしようもできないほどの想いで胸がはり裂けそうだ。

　俺は自分の気持ちを言葉にしないように唇を強く噛んだ。
　中でヒューイが弾け、俺に覆いかぶさる。

「アレン」
　ヒューイは俺のこめかみに口づけると、隣に横になった。
　自分の想いがヒューイの命令に勝ったことを、俺は喜ぶべきなんだろうか。
　そうして俺の好きな気持ちは本能に打ち勝ったんだとヒューイに告げるべきなのだろうか。
　すぐ傍で、目を閉じ寝息をたてるヒューイを見つめる。

　そんなことできるわけがない。
　俺の気持ちはヒューイにとって迷惑なのだから。

　辛くて、悲しくて、それでもどうしようもなくヒューイが好きで。
　ヒューイの胸に咲く薔薇に額を擦りつけた。
　その途端、眠っているはずのヒューイが優しく腕の中に俺を閉じ込めた。