vamps

まめ太郎

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 振り返ると、知らない男が笑顔を浮かべていた。
 男は俺の肩から手を離すと、更に一歩近づいてくる。

「1年? 」
 男の質問を怪訝に思いながら、頷く。
「そうなんだ。俺、経営学科2年のケビン。よろしく」
 突然自己紹介され、手を差し出される。
 馴れ馴れしい人だと思いながらも、先輩には逆らえない。
 俺はその手を軽く握った。

「経営学科1年、アレンです」
「アレン、良い名前だ」
 俺はケビンの言葉に曖昧な笑みで答えた。

 そういえば授業で何度かケビンを見かけた気がする。
 しかし会話をしたのはこれが初めてだし、共通の友人などもいないはずだ。
 何故急に話しかけられたか分からず、早くヒューイのもとにむかいたい俺はその場で足踏みした。

「アレン、今日暇? 」
 唐突な質問に答えられずにいると、ケビンが長い前髪をかきあげながらにっこりと笑った。
「今日友達の家でパーティーがあるんだけど、君も来ない? 」
 ケビンの言葉に俺は目を見開いた。
 先ほど初めて話した男と何故一緒にパーティーに出席しなければならないのか。

「あっ、パーティーっていってもそんな堅苦しいもんじゃないんだ。ドレスコードなんてないし、来るのはみんなこのカレッジの学生。アレンと同い年の奴もいるよ」
 俺の沈黙を誤解したのか、焦ったようにケビンが告げる。
 俺はケビンをじっと見つめた。
 なぜかケビンの頬が赤く染まる。

 唐突に俺は理解した。
 多分これは行ったら高い壺を売りつけられたり、勧誘されたりするやつだ。
 きっと俺が1年だと分かって騙しやすいと思ったんだろう。

「あの、俺、行けません」
「えっ、なんで? あっ、参加費とかとらないよ。タダ酒が飲めるんだし、予定がないならおいでよ」
 ケビンが痛いくらいの力で俺の手首を掴む。
 流石にイラっときた俺が口を開こうとした時、地を這うような声が聞こえた。

「ケビン、その手を離せ」
 声のした方に視線をむけると、ヒューイが眉間に皺を寄せてこちらを見ていた。
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