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「舌をだして」
ヒューイが言う通りにする。
俺は息を吐くと、その舌に思い切り噛みついた。
俺の口内に流れ込むヒューイの血液が喉を通った瞬間、体が歓喜に打ち震えた。
パウチの血液なんかとは全然違う。
甘く深い味わい。
体の奥に熱が灯るような感覚。
ふいに胸に痛みを感じ、ヒューイと体を離した。
自分のネクタイをむしり、シャツをはだける。
俺の心臓の上には先ほどまでなかった紺色の薔薇が咲いていた。
ヒューイが俺の薔薇を見て驚愕の表情を浮かべた後、自分のTシャツを脱ぎ捨てる。
ヒューイの心臓の上にも俺と同じ薔薇が刻まれていた。
ヒューイが俺の両肩を掴んだ。
「シュリを助けろっ」
タイからの初めての命令。
「分かった」
俺はそう答えると同時に走りだしていた。ヒューイからの命令が嬉しくて、口角が自然と上がる。
体が驚くほど軽い。
俺は舞台の前で一度腰を屈めると、思い切り跳躍した。
次の瞬間、俺はキースの目の前に立っていた。
目を見開くキースのこめかみを横から蹴り飛ばす。
キースが倒れたおかげで、シュリの拘束が解けた。
もう1人のヴァンプが俺の顔を殴ろうと振り上げた拳を掴み、力を加える。
男の顔が痛みで歪む。
キースの背後からの攻撃をかわすため、しゃがみ、拳を掴んでいた男を投げ飛ばす。
いつの間にかナイフを持っていたキースが俺に振りかぶる。
「止めろっ」
黒髪の男の声でキースが動きを止めた。
「何故仲間の……俺達の邪魔をする? 」
男が静かに俺に問う。
ケイがシュリを抱き起しているのが視界の端に映り、ようやく俺は肩から力を抜いた。
「それを俺のタイが望んだから」
黒髪の男が眉を寄せる。
「哀れだな」
男はそう呟くと辺りを見回した。
「そろそろ警察が来る。今夜は撤収するぞ」
男の言葉に他のヴァンプが頷く。
「また会おう」
男は俺に微笑んだ。
キースが男を抱きかかえ、飛び上がる。
他のヴァンプもキースの後を追い、その姿はあっという間に闇に消えた。
俺は壇上から降りると、まっすぐヒューイのもとにむかった。
ヒューイの目の前で立ち止まる。
この男が今すぐ欲しい。
先ほどまで、ヴァンプを倒すことで埋め尽くされていた俺の脳内が、欲望に支配される。
ヒューイも同じ気持ちなのか、自分の唇を舐める瞳がぎらついている。
ちらりと覗いたヒューイの舌にはまだ血が滴っている。
俺の欲望はそれを見て一気に煽られた。
ヒューイに手を伸ばした瞬間、背中に鋭い痛みを感じ、俺の意識はすぐに真っ黒に塗りつぶされた。
ヒューイが言う通りにする。
俺は息を吐くと、その舌に思い切り噛みついた。
俺の口内に流れ込むヒューイの血液が喉を通った瞬間、体が歓喜に打ち震えた。
パウチの血液なんかとは全然違う。
甘く深い味わい。
体の奥に熱が灯るような感覚。
ふいに胸に痛みを感じ、ヒューイと体を離した。
自分のネクタイをむしり、シャツをはだける。
俺の心臓の上には先ほどまでなかった紺色の薔薇が咲いていた。
ヒューイが俺の薔薇を見て驚愕の表情を浮かべた後、自分のTシャツを脱ぎ捨てる。
ヒューイの心臓の上にも俺と同じ薔薇が刻まれていた。
ヒューイが俺の両肩を掴んだ。
「シュリを助けろっ」
タイからの初めての命令。
「分かった」
俺はそう答えると同時に走りだしていた。ヒューイからの命令が嬉しくて、口角が自然と上がる。
体が驚くほど軽い。
俺は舞台の前で一度腰を屈めると、思い切り跳躍した。
次の瞬間、俺はキースの目の前に立っていた。
目を見開くキースのこめかみを横から蹴り飛ばす。
キースが倒れたおかげで、シュリの拘束が解けた。
もう1人のヴァンプが俺の顔を殴ろうと振り上げた拳を掴み、力を加える。
男の顔が痛みで歪む。
キースの背後からの攻撃をかわすため、しゃがみ、拳を掴んでいた男を投げ飛ばす。
いつの間にかナイフを持っていたキースが俺に振りかぶる。
「止めろっ」
黒髪の男の声でキースが動きを止めた。
「何故仲間の……俺達の邪魔をする? 」
男が静かに俺に問う。
ケイがシュリを抱き起しているのが視界の端に映り、ようやく俺は肩から力を抜いた。
「それを俺のタイが望んだから」
黒髪の男が眉を寄せる。
「哀れだな」
男はそう呟くと辺りを見回した。
「そろそろ警察が来る。今夜は撤収するぞ」
男の言葉に他のヴァンプが頷く。
「また会おう」
男は俺に微笑んだ。
キースが男を抱きかかえ、飛び上がる。
他のヴァンプもキースの後を追い、その姿はあっという間に闇に消えた。
俺は壇上から降りると、まっすぐヒューイのもとにむかった。
ヒューイの目の前で立ち止まる。
この男が今すぐ欲しい。
先ほどまで、ヴァンプを倒すことで埋め尽くされていた俺の脳内が、欲望に支配される。
ヒューイも同じ気持ちなのか、自分の唇を舐める瞳がぎらついている。
ちらりと覗いたヒューイの舌にはまだ血が滴っている。
俺の欲望はそれを見て一気に煽られた。
ヒューイに手を伸ばした瞬間、背中に鋭い痛みを感じ、俺の意識はすぐに真っ黒に塗りつぶされた。
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