春に落ちる恋

まめ太郎

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 俺は少しの間気を失っていたらしい。
 うっすらと目を開けると将仁さんが俺の髪を撫でていた。
「春、起きたか?もう年が明けたぞ」
 そう言われて俺は慌てて上体を起こした。
 まだ体内には将仁さんがいて、俺の良いところをその先端がぐりっと掠めた。
「っう。起こしてくれれば良かったのに。あめでとうって年明けの瞬間、言いあいたかったのに」
「そっか。悪かったな。でも俺は去年が終わって、今年が始まる時、お前の中にいられて幸せだったよ」
 将仁さんがにこりと笑って俺の下腹部を撫でた。
 俺はその手を取ると指を絡めた。
「今年もその先もずっと一緒にいてね」
 俺の言葉に将仁さんが顔をくしゃっとさせて笑った。
「ああ。離してなんてやらねえからな。お前の居場所はいつもここだろ?」
 そう言って将仁さんが俺の体をぎゅっと抱きしめた。
 俺は微笑んで将仁さんを力強く抱きしめ返した。

「さあ、年越しそば作って食おう。その前に風呂に連れてってやるからな。春、しっかり掴っておけよ」
 将仁さんはそう言うと、俺の腿と腰を支えながら立ち上がった。
「あああっ。やあ、深いっ」
 腹を突き破られそうな勢いで、将仁さんの剛直が内部にめり込む。俺の後口はきゅうと将仁さんの熱を締め付けた。
「くっ、きついな。イッっちまいそうだ」
 将仁さんが慎重に歩き始める。
「やっだあ。気持ちよくなっちゃう。あんっ…あん。降ろしてっ。いっちゃうからあ」
 俺が暴れるのを宥めるように、将仁さんが額に唇を落とした。
「あっ、だめ……気持ちぃ。あっ奥、突いて。お願い。んん」
 後口を更に締めると、将仁さんが舌打ちして廊下の壁に俺の背中を押し付けた。
 すぐに下から突き上げるように律動を始める。
「あっあっあああ。いい。もっ、イクっイクっっ」
「中がうねって…搾り取られそうだ」
 将仁さんが眉を寄せ、俺の内部に熱を吐き出した。あまりの快楽で俺の体はその瞬間びくりと痙攣した。
「はれ?イッってるのに……でな、やっ怖い。気持ちくて、おかしくなっ……やあっ」
 俺の屹立は熱を持て余したかのように震えるだけだった。過ぎる快楽に体が追いついていかない。
 何度もドライの波に襲われている俺を見て、将仁さんが俺の屹立に手を伸ばし、力強く扱きあげる。
「あっ、あっ、すぐ出る。イク、だめ。ああ」
 ようやく俺もとろりとした白濁を将仁さんの手中にこぼした。
 キスを繰り返し、お互いの呼吸が落ち着いた頃、俺達は唇を離し見つめあった。
「今年になってから初めてのセックスが廊下って」
 俺はそう呟くと吹き出した。
「本当だよな。がっついて悪ぃ」
 俺はそう言う将仁さんの唇に音を立ててキスをした。
「いいよ。俺が強請ったんだから」
「あとでベットの上で仕切り直しさせろよ」
「うん。お蕎麦食べてからね」
「蕎麦はニシン蕎麦にしようと思うが、春ニシン食べられるか?」
 将仁さんはそう言いながら腰が立たない俺を横抱きにすると、浴室まで連れて行った。
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