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風邪ひく二人
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〇こちらの番外編は読まなくても、本編になんら影響はございません。
エロが苦手の方、そっと目とページを閉じてください。
趣味に走りすぎて誠に申し訳ありません。
春との仲もようやく落ち着き、同窓会も終えた京極は久しぶりに風邪を引いた。
病は気から、風邪など気合いで乗りきるものだと考えている京極は体温計が38度を超えていても迷わず出社した。
そして帰宅するなり、倒れた。
春は慌てふためいて、救急車だ夜間診療だと騒いだが、虫の息の京極がそれを止めた。朝一で病院に行くと約束し、春は心配しながらその日、ソファで眠った。
「ねえ、今日はちゃんと会社休むんだよね?病院行くでしょ?」
翌朝、出勤前の春もあまり眠れなかったのか、あくびを堪えながら京極に尋ねた。
「ああ。情けねえけど、今日は休む」
「そうした方がいいよ。絶対に午後から出社しようとか考えないでね」
ベッドの上に座っている京極はまだ熱が高いのか真っ赤な顔をしていた。
春はそれを痛ましそうに見ると、ベッドに乗り上げ、京極に顔を寄せた。
「やめろ。うつるだろ」
京極が自分の掌で、春の口元を覆った。
春はその手を優しくどけると、はむりと京極の唇に吸いついた。
拒絶している唇に何度も角度を変えて噛みつき、最終的には京極も耐えられなくなって、春の後頭部を掴むと舌を絡めた。
「ちゃんと病院、行ってくださいね」
春はそう言うと、最後に京極のじゅうと音がしそうなくらい熱い額に唇を落とし、寝室から出て行った。
京極はそれから浅い眠りを繰り返し、近所の病院に診察を受けに行った。
「真っ赤だねえ」
初老の医師は震える手で、京極の喉奥を覗きこむと言った。
大量に出された薬の説明を聞いているだけで、京極の意識は途切れそうになる。
京極はふらふらと家にたどり着き、ベッドの上に仰向けに倒れた。
春の前では大したことないふりをしていたが、実際頭はがんがんと痛むし、意識も朦朧としていた。
咳をすると、喉が切れたように痛む。
京極は貰ってきた薬を適当に口に放りこむと、ペットボトルで流し込んだ。ジーンズとトレーナーを脱いで下着一枚になり、布団にもぐる。
すぐそばに落ちているパジャマを着るのさえ、億劫だった。
京極は熱い息を吐いた。
「風邪なんて…いつくらいぶりだ?」
独り言が自分しかいない寝室に響く。
ここのところ仕事でもプライベートでも、騒がしかったことがやっとひと段落ついたから、気が抜けてしまったんだろう。
そうは分かっていても、京極はそんな自分が許せなかった。
一緒に働いている同僚の顔や、今日仕上げるはずだった書類が脳裏をよぎる。
「情けねえ」
京極はため息をつくと肩まで布団をかぶり、きつく目を閉じた。
エロが苦手の方、そっと目とページを閉じてください。
趣味に走りすぎて誠に申し訳ありません。
春との仲もようやく落ち着き、同窓会も終えた京極は久しぶりに風邪を引いた。
病は気から、風邪など気合いで乗りきるものだと考えている京極は体温計が38度を超えていても迷わず出社した。
そして帰宅するなり、倒れた。
春は慌てふためいて、救急車だ夜間診療だと騒いだが、虫の息の京極がそれを止めた。朝一で病院に行くと約束し、春は心配しながらその日、ソファで眠った。
「ねえ、今日はちゃんと会社休むんだよね?病院行くでしょ?」
翌朝、出勤前の春もあまり眠れなかったのか、あくびを堪えながら京極に尋ねた。
「ああ。情けねえけど、今日は休む」
「そうした方がいいよ。絶対に午後から出社しようとか考えないでね」
ベッドの上に座っている京極はまだ熱が高いのか真っ赤な顔をしていた。
春はそれを痛ましそうに見ると、ベッドに乗り上げ、京極に顔を寄せた。
「やめろ。うつるだろ」
京極が自分の掌で、春の口元を覆った。
春はその手を優しくどけると、はむりと京極の唇に吸いついた。
拒絶している唇に何度も角度を変えて噛みつき、最終的には京極も耐えられなくなって、春の後頭部を掴むと舌を絡めた。
「ちゃんと病院、行ってくださいね」
春はそう言うと、最後に京極のじゅうと音がしそうなくらい熱い額に唇を落とし、寝室から出て行った。
京極はそれから浅い眠りを繰り返し、近所の病院に診察を受けに行った。
「真っ赤だねえ」
初老の医師は震える手で、京極の喉奥を覗きこむと言った。
大量に出された薬の説明を聞いているだけで、京極の意識は途切れそうになる。
京極はふらふらと家にたどり着き、ベッドの上に仰向けに倒れた。
春の前では大したことないふりをしていたが、実際頭はがんがんと痛むし、意識も朦朧としていた。
咳をすると、喉が切れたように痛む。
京極は貰ってきた薬を適当に口に放りこむと、ペットボトルで流し込んだ。ジーンズとトレーナーを脱いで下着一枚になり、布団にもぐる。
すぐそばに落ちているパジャマを着るのさえ、億劫だった。
京極は熱い息を吐いた。
「風邪なんて…いつくらいぶりだ?」
独り言が自分しかいない寝室に響く。
ここのところ仕事でもプライベートでも、騒がしかったことがやっとひと段落ついたから、気が抜けてしまったんだろう。
そうは分かっていても、京極はそんな自分が許せなかった。
一緒に働いている同僚の顔や、今日仕上げるはずだった書類が脳裏をよぎる。
「情けねえ」
京極はため息をつくと肩まで布団をかぶり、きつく目を閉じた。
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