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同窓会10
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「もしかして京極君?」
声をかけられ、振り返ると、ピンクのワンピースを着た小柄な女性がそこにいた。
えっと、確かこの子…。
京極が記憶の糸を手繰り寄せる間に、女性は自ら名乗った。
「私、本条ユイカだよ。覚えてるかな?」
「ああ、本条」
京極は本条のことを思い出すと同時に、顔を引きつらせた。彼女は卒業式の日に京極を「ばい菌」呼ばわりしたクラスメイトだった。
本条はいつも口うるさく、京極のことを言葉でねちねちといたぶるタイプだった。
彼女に言われた言葉が走馬灯のように頭を駆け巡り、京極の表情が強ばる。
そんな京極を見た本条が目を伏せ、「ちょっと話せないかな?」と言ってきた。
全く気は進まなかったが、探している女の子の話が聞けるかもと、京極は本条について行った。
二人で、壁際に置いてある椅子に座る。
「今日うちのクラスの参加率、他のクラスに比べてめちゃめちゃ悪いんだって」
本条が楽し気に笑いあう同級生たちをぼんやりと見つめながら言った。
「理由は分かってるんだ。あのさ、久野って覚えてる?」
覚えてるも何も、そいつは京極をいじめていた中心人物だった。忘れられるはずもない。眉間に皺を寄せる京極に、本条が慌てて言う。
「あいつとその友達が、中学に入って荒れてさ。先生殴ったり、窓ガラス割ったり…。しまいには中二の後半に、久野が同級生の女の子妊娠させちゃって、結局最後はあいつ転校したんだ。あいつらのせいでうちの中学、地元でも有名なヤンキー校みたいになっちゃったから、それが原因でもう関わりたくないって子が多いみたい」
本条の話に、京極はさほど驚かなかった。
京極をいたぶるとき、久野はいつも笑みを浮かべていた。暴力で自分の力を誇示するのが好きなタイプだと分かっていたから、そうなっても不思議はない。
「京極君って今何してるの?」
唐突に本条から聞かれて、「ああ、証券会社に勤めている」と京極は応えた。
「そっか。ばりばり働いてるんでしょ?京極君なんか仕事できますオーラでてるもん」
「別に、普通だよ」
京極は苦笑しながら言った。
「私はね、八百屋の息子と学生結婚して、今子供二人」
「そうなのか。子供、何歳?」
「7歳と、5歳。両方女の子だから口が達者」
「本条に似たんだな」
「たぶんね」
本条はそう言うと小さく笑った。
「……私ね、本当は同窓会来るつもりなかったんだ。出席率も悪いって聞いてたし。でも幹事の子から京極君が参加するって教えてもらって、急きょ出ることに決めたの」
声をかけられ、振り返ると、ピンクのワンピースを着た小柄な女性がそこにいた。
えっと、確かこの子…。
京極が記憶の糸を手繰り寄せる間に、女性は自ら名乗った。
「私、本条ユイカだよ。覚えてるかな?」
「ああ、本条」
京極は本条のことを思い出すと同時に、顔を引きつらせた。彼女は卒業式の日に京極を「ばい菌」呼ばわりしたクラスメイトだった。
本条はいつも口うるさく、京極のことを言葉でねちねちといたぶるタイプだった。
彼女に言われた言葉が走馬灯のように頭を駆け巡り、京極の表情が強ばる。
そんな京極を見た本条が目を伏せ、「ちょっと話せないかな?」と言ってきた。
全く気は進まなかったが、探している女の子の話が聞けるかもと、京極は本条について行った。
二人で、壁際に置いてある椅子に座る。
「今日うちのクラスの参加率、他のクラスに比べてめちゃめちゃ悪いんだって」
本条が楽し気に笑いあう同級生たちをぼんやりと見つめながら言った。
「理由は分かってるんだ。あのさ、久野って覚えてる?」
覚えてるも何も、そいつは京極をいじめていた中心人物だった。忘れられるはずもない。眉間に皺を寄せる京極に、本条が慌てて言う。
「あいつとその友達が、中学に入って荒れてさ。先生殴ったり、窓ガラス割ったり…。しまいには中二の後半に、久野が同級生の女の子妊娠させちゃって、結局最後はあいつ転校したんだ。あいつらのせいでうちの中学、地元でも有名なヤンキー校みたいになっちゃったから、それが原因でもう関わりたくないって子が多いみたい」
本条の話に、京極はさほど驚かなかった。
京極をいたぶるとき、久野はいつも笑みを浮かべていた。暴力で自分の力を誇示するのが好きなタイプだと分かっていたから、そうなっても不思議はない。
「京極君って今何してるの?」
唐突に本条から聞かれて、「ああ、証券会社に勤めている」と京極は応えた。
「そっか。ばりばり働いてるんでしょ?京極君なんか仕事できますオーラでてるもん」
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「そうなのか。子供、何歳?」
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「本条に似たんだな」
「たぶんね」
本条はそう言うと小さく笑った。
「……私ね、本当は同窓会来るつもりなかったんだ。出席率も悪いって聞いてたし。でも幹事の子から京極君が参加するって教えてもらって、急きょ出ることに決めたの」
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