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それから硝は俺と同じ時間に起きて、俺より遅く帰ってくるようになった。
2.3日自宅に帰ってこない日もあって、そんな時の硝の顔色はあまり良くなかった。
「俺、もうダメかも」
三枝のところで働き始めてから、二か月。
硝がぼそりと言った。
硝はボウル一杯に入ったクレソン、サラダ菜、トマトにフォークを突き刺しながら悲壮な顔をしていた。
俺はその隣で、自分で作ったあんかけ焼きそばを食っていた。
「寝れないくらい忙しいのも、愛想笑い振りまかなきゃいけないのも我慢できるけど、海のご飯食べられないのは死ぬほど辛い」
硝はモデルの仕事を引き受けてから、三枝の言いつけを守り、野菜ばかり食べていた。肉も魚も食べるとしても塩と胡椒のみの味付けで調理された物しか口に入れない。炭水化物は殆ど食べていないようだった。
「俺、別に世界的なトップモデルとかどうでもいいし、お金あれば海と楽しく暮らせるかなとか単純に思ったけど、実際働き始めたら、海と全然ゆっくりできなくなっちゃっうし」
泣きながら、硝がトマトを口に運ぶ。
一応食事の最中だというのに、満たされていないせいか、硝の腹がぐぐぅと鳴った。
俺はため息をついて立ち上がると、冷蔵庫を開けた。
腕まくりをして、食材を次々に取り出す。
「海」
「ちょっと待ってろ」
そう言って俺は調理に取り掛かった。
それから一時間過ぎた頃、八宝菜、餃子、あんかけ焼きそば、かきたまスープ…。
狭いテーブルに料理がぎっしり並んだ。
「食え」
俺が言うと、硝は手の中にあるサラダボウルと目の前の中華を交互に見比べた。
「食わなきゃ捨てるぞ」
2.3日自宅に帰ってこない日もあって、そんな時の硝の顔色はあまり良くなかった。
「俺、もうダメかも」
三枝のところで働き始めてから、二か月。
硝がぼそりと言った。
硝はボウル一杯に入ったクレソン、サラダ菜、トマトにフォークを突き刺しながら悲壮な顔をしていた。
俺はその隣で、自分で作ったあんかけ焼きそばを食っていた。
「寝れないくらい忙しいのも、愛想笑い振りまかなきゃいけないのも我慢できるけど、海のご飯食べられないのは死ぬほど辛い」
硝はモデルの仕事を引き受けてから、三枝の言いつけを守り、野菜ばかり食べていた。肉も魚も食べるとしても塩と胡椒のみの味付けで調理された物しか口に入れない。炭水化物は殆ど食べていないようだった。
「俺、別に世界的なトップモデルとかどうでもいいし、お金あれば海と楽しく暮らせるかなとか単純に思ったけど、実際働き始めたら、海と全然ゆっくりできなくなっちゃっうし」
泣きながら、硝がトマトを口に運ぶ。
一応食事の最中だというのに、満たされていないせいか、硝の腹がぐぐぅと鳴った。
俺はため息をついて立ち上がると、冷蔵庫を開けた。
腕まくりをして、食材を次々に取り出す。
「海」
「ちょっと待ってろ」
そう言って俺は調理に取り掛かった。
それから一時間過ぎた頃、八宝菜、餃子、あんかけ焼きそば、かきたまスープ…。
狭いテーブルに料理がぎっしり並んだ。
「食え」
俺が言うと、硝は手の中にあるサラダボウルと目の前の中華を交互に見比べた。
「食わなきゃ捨てるぞ」
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