楽園の在処

まめ太郎

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 その硝を藤崎が余裕の笑みで見返す。
「ご主人様も色々考える事が多くて大変なんだぜ。だからこうやって時には」
 そう言うと藤崎が俺の中から指を引き抜いた。
 手早く自らのジーンズの前をくつろげ、準備万端の赤黒い熱を取り出す。
「俺達にも褒美が必要だ」
 一気に俺を灼熱で貫く。
「ああ。くぅう」
 立ったまま、結合した俺の腰を藤崎が撫でた。
「なあ、海。そうだろ?」
 俺は視界にぼんやりと写る藤崎にこくりと頷いた。
 藤崎は満足そうに笑うと、ゆったりと腰を使い始めた。
 そんな俺達を硝が今にも飛び掛かりそうな目で見つめていた。

 硝は俺が主人になってから、より一層甘えるようになった。
「海。俺、今日の皿洗い全部ひとりでやったよ。頭、撫でて」
「はいはい」
 俺は適当に硝の頭に触れると、すぐに手を離した。第一、この家には最新型の食洗器が置いてあるのだから、皿洗いなど不要なのだ。それなのに硝は俺に褒めて欲しい一心で家事を手伝おうとする。
 硝はそっけない態度にむっとして俺の手を掴むと、自分の頭に持っていった。
「もっとちゃんとやって」
 俺は硝の手を払うと舌打ちした。
「静かにしろ。俺はテレビ見てんだよ」
 そう言うと、硝が泣きだしそうな顔をする。
 俺はそれを見て、ため息をついた。
「あのなあ。お前、何勘違いしているか知らねえけど、俺、本気でお前の主人になったつもりねえからな」
 それを聞いて硝が心底驚いたという顔をする。
「どういう意味?藤崎さんが嘘ついてるってこと?」
 俺は首を振った。
「藤崎さんはお前のことからかってるんだよ」
 俺は硝をまっすぐ見つめた。
「いいか?ここでは全員が藤崎さんのペットだ。俺とお前の間に優劣のある関係なんてないんだよ」
「じゃあ、海は俺の主人じゃないの?」
「違う」
 きっぱりと言うと、硝が眉を下げた。
「じゃあ、なんで藤崎さんはそう言ったの?」
「お前が俺のいう事なら何でも聞くと思って、面倒見させようとしたんだろ?お前もさあ、ここで衣食住全部藤崎さんの世話になってるのは事実なんだし、いい加減逆らったりしないほうが」
「じゃあ、海は俺の何?」
 俺の話を遮り、硝が問う。
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