楽園の在処

まめ太郎

文字の大きさ
上 下
82 / 161

82

しおりを挟む
 硝と藤崎の関係は表面上は以前と変わらなかった。
 しかし藤崎は自分に逆らった罰のつもりか、硝に決して俺を抱かせようとはしなかった。
 硝も従順そうに見せてはいたが、たまにゾッとするような瞳で藤崎を睨みつけていることがあった。
 星と月は最近、ここの雰囲気が悪いと俺に文句を零す。
 俺に言わずに問題を起こした硝に直接不満をぶつければいいと思うが、最近の硝はいつも不機嫌だから、何となく言い辛いんだろう。
 俺もそんな硝とは距離をおきたいのだが、硝が俺の傍を離れようとしなかった。

「ねえ、海。映画見てる間、膝枕して」
 いつもの寝室でベットに寝転がりながらそんなことを言う硝に、DVDの予告画面から目を離さず、俺はあっさりと答えた。
「嫌だよ。お前の頭、重いじゃん」
 硝は途端に泣きそうな顔になり、俺の肩を抱くと、首筋に頭を擦り付けた。
「お願い。見ている間だけでいいから」
 硝は俺と二人っきりの時だけ、妙に甘えてくるようになった。
 結局こいつは俺に母親の代わりをして欲しいガキなんだ。都合よく甘やかしてくれて、見返りを求めない相手なら、誰だって同じように求めるのだろう。
 俺はそんなことを考えながら鼻で笑うと、ベッドヘッドに背中を預けた。
「嫌」
 その言葉に硝はムッとすると、俺の伸ばした膝の上に無理矢理頭を乗せた。
「やめろ。邪魔なんだよ」
「いいだろ。少しくらい」
 自分より体格のいい硝をどかすのは難しく、俺は早々に諦め、ため息をつくと、テレビ画面に集中した。 

 映画は思っていたよりもずっと面白かった。
 見ている間、硝が俺の足を愛おしそうに撫でているのもほとんど気にならないくらい引き込まれる。
 画面にエンドロールが流れ始め、俺は興奮と満足の余韻で息を吐いた。
 それと同時に硝が俺の股間のモノを突然口に含んだ。
「何しやがんだ、てめぇ」
 俺は思い切り硝の頭を殴った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義兄に寝取られました

天災
BL
 義兄に寝取られるとは…

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

処理中です...