楽園の在処

79R-18

　そっと目を開けると、藤崎の大きな体に抱き締められていた。

「海。愛しているよ」
　耳元で藤崎が囁く。
「いつも美味しい飯、ありがとう。一緒に暮らしていくうちにお前の笑顔が増えて、嬉しい。ついこの前まで男を知らなかったのに、今じゃ俺の上で腰振って、貪欲に快楽を求める姿もすげえ好みだ」
「馬鹿…」
　そう呟く俺の声には紛れもない甘さが潜んでいた。
「愛してる。好きだ。なあ、お前からは言ってくれないのか？」
　藤崎にそう言われて俺は何度か瞬きをくり返したあと、そっと呟いた。

「愛してる」
　無理矢理言わされただけの言葉なのに、口にした瞬間、深く胸に刻みこまれたような気がした。
　そうだ。俺はこの変態のドS野郎を愛してるんだ。
　自分の感情に絶望して泣きだしたい気持ちになる。
　こいつを愛したってろくな未来がないのは目に見えているのに。
　俺は誰のものにもならない男をじっと見つめた。

「なんだ？変な顔して」
　藤崎がくすっと笑って、俺の前髪をかきあげる。
　俺は無理をして笑顔を返した。
　今だけは先のことを考えず、優しくしようと努力している主人に、俺は甘える努力をしようと思った。

　藤崎が俺の中心をまた銜えた。
　今度は俺のモノもすぐ元気になり、藤崎の口内をあっという間に汚した。
　藤崎はそれでも俺のモノを口から離さず、くびれの部分にしつこく舌を這わせる。
「もっ、ダメっ。イッた…イッたからぁ」
　俺はそう言いながらも自分の腰が上下にかくかく揺れるのを止められなかった。
「あっ、くる。でる、でるっ。あっあっ、潮吹く。離せっ、いっ…く」
　俺は藤崎の口内に今度はしょっぱい液体をまき散らした。
　藤崎は嫌な顔一つせずに、それらを嚥下する。
「良かったか？」
　俺は藤崎の問いに夢見心地でぼんやりと頷いた。