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目を逸らすと、何もない白い壁を見つめる。
本当は耳も塞ぎたかった。
硝の苦痛から漏れる声は最初は我慢していたため小さく、そのうち限界を迎えたらしく叫ぶようになり、最後はもう声もでないのかほとんど呻きだった。
その頃になると藤崎はようやく硝を掴んでいた手を離し、自らの額に滲んだ汗を手の甲で拭った。
藤崎はベッドのサイドテーブルから、プレイの時に使ったことのある手錠と足環を取り出した。
手錠を嵌め、足環もつけられ、その手と足を後ろで固定された硝は芋虫のように床に転がった。
「お前は今日そこで、ただ見ていればいい。俺が海を抱くのをな」
そう言うと、藤崎が俺に手を伸ばす。
その手は硝の返り血で赤く染まっていた。
俺は一旦視線を落としたが、すぐに上げ、ぎゅっとその手を握った。
自分の手が血で汚れるのも気にせずに。
藤崎のキスはいつもよりもずっと甘く、優しかった。
しかし先ほど見た暴力のせいで、俺の体はガチガチに固まり、思うようにキスが返せない。
藤崎は舌打ちすると、いきなり俺の股間の全く兆しを見せていないくたりとしたモノを口に含んだ。
「ちょ、やめ…」
ふいに噛みちぎられるかもしれないという恐怖が俺を襲う。
そうと決めたら、この男はなんの躊躇もなくそれをやってみせるだろう。
藤崎は顔を上げると、腰を引く俺を睨みつけた。
「海。どんな時でも俺を拒むな」
そんなの無理だと叫びたい気分だった。
俺は暴力に怯えるタイプではないが、人が痛めつけられるのを見て興奮するような性質はもちあわせちゃいない。
俺より長く一緒に暮らしている硝にだって、あんなに酷いことができるんだ。俺だって選択を誤れば、何されるか分かったもんじゃねえ。
藤崎に従わなければという脳内の指令を無視して、俺の体の震えは酷くなるばかりだった。
藤崎が上半身を起こし、ため息をつく。
殴られる。
そう思った俺がぎゅっと目を閉じると、ふいに体が温かなものに包まれた。
本当は耳も塞ぎたかった。
硝の苦痛から漏れる声は最初は我慢していたため小さく、そのうち限界を迎えたらしく叫ぶようになり、最後はもう声もでないのかほとんど呻きだった。
その頃になると藤崎はようやく硝を掴んでいた手を離し、自らの額に滲んだ汗を手の甲で拭った。
藤崎はベッドのサイドテーブルから、プレイの時に使ったことのある手錠と足環を取り出した。
手錠を嵌め、足環もつけられ、その手と足を後ろで固定された硝は芋虫のように床に転がった。
「お前は今日そこで、ただ見ていればいい。俺が海を抱くのをな」
そう言うと、藤崎が俺に手を伸ばす。
その手は硝の返り血で赤く染まっていた。
俺は一旦視線を落としたが、すぐに上げ、ぎゅっとその手を握った。
自分の手が血で汚れるのも気にせずに。
藤崎のキスはいつもよりもずっと甘く、優しかった。
しかし先ほど見た暴力のせいで、俺の体はガチガチに固まり、思うようにキスが返せない。
藤崎は舌打ちすると、いきなり俺の股間の全く兆しを見せていないくたりとしたモノを口に含んだ。
「ちょ、やめ…」
ふいに噛みちぎられるかもしれないという恐怖が俺を襲う。
そうと決めたら、この男はなんの躊躇もなくそれをやってみせるだろう。
藤崎は顔を上げると、腰を引く俺を睨みつけた。
「海。どんな時でも俺を拒むな」
そんなの無理だと叫びたい気分だった。
俺は暴力に怯えるタイプではないが、人が痛めつけられるのを見て興奮するような性質はもちあわせちゃいない。
俺より長く一緒に暮らしている硝にだって、あんなに酷いことができるんだ。俺だって選択を誤れば、何されるか分かったもんじゃねえ。
藤崎に従わなければという脳内の指令を無視して、俺の体の震えは酷くなるばかりだった。
藤崎が上半身を起こし、ため息をつく。
殴られる。
そう思った俺がぎゅっと目を閉じると、ふいに体が温かなものに包まれた。
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