絵を描くキカイ

和スレ 亜依

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第7話

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「竹内さん。私、悪いことしたいんですけど手伝ってくれませんか?」
 竹内が突然会いたいと言ってきた小花を出迎えると、彼女はそんなことを言った。
「悪いこと?」
「はい。とっても悪いことです。この街の意味が吹っ飛んじゃうくらいに悪いことです。もしかしたら、世界中の人を巻き込んじゃうかもしれません」
「いけない子だね。そんなに悪いことをしようというのに、その顔は悪いと思ってない顔だ」
 小花はある種覚悟を決めたような表情をしていた。瞳には強い光が宿っている。
「ダメですか?」
 竹内は、首を横に振る。
「研究者からイタズラすることを取り上げたら、みんな無職になってしまうよ」
 彼はとても悪い顔でそんなことを言った。



「いったいこれは何なの?」
 理恵はそうぼやきながら装飾の準備をする。突然帰ってきたと思ったら、臨時の全校集会で「十周年記念祭をやりましょう」と訳の分からないことをのたまったのだから、彼女のぼやきも理解できる。
 記念祭まで二ヶ月しかない。最初は頭がおかしくなっただけだと思ったのだが、なぜか授業のプログラムが変更されたり、謎の予算が与えられたりし始めたことで、学校側が完全にグルだということが明るみに出た。
「記念祭だけど?」
「いや、それは分かってるけど。何でこの時期に突然……」
「二回も学園祭ができるなんてラッキーだよね」
「……」
 妙に噛み合わない会話に頭痛がする理恵。そもそも、小花はこういう表だった行動をする人物だっただろうか。性格こそ明るいが、自ら目立つということはあまりしてこなかった。やらかす時はだいたい加奈が一枚かんでいたのだ。
「そういえば、山下さんはどうしたのよ」
 理恵はいつも主犯格の加奈のことを聞く。
「山下さんは……頑張ってるよ」
 少し、暗くなって言葉を濁した小花。それを見て、理恵は何となくそれ以上聞けなくなってしまった。
「まぁ、いいけど。山下さんが帰ってきたら全部聞くからね」
「……うん」



「最近、何だか楽しそうね」
 母親がそんなことを聞く。
「楽しい、のかな?」
 今、小花は昼食を両親と囲んでいる。しばらく不在だった小花のことを両親は心配していたが、警察から「誤って『外』に出てしまい、山中でさまよっていたところを保護し、取り調べを受けていた」と伝えられるとすんなり納得した。正確には納得したかどうかは怪しいのだが、娘が無事だったこと以外に重要なことはないと考えている。
「だって、いつもニコニコしてるじゃない」
「んー、楽しいかどうかは分かんないけど……」
 小花は箸をピッと正面に向けて言った。
「生きてる、って感じがする!」
「そう……でも」
 母親はそっと告げた。
「お行儀が悪いわね」
「ごめんなさい」
 小花が素直に謝ったところで、玄関のチャイムが鳴った。
「私出るよ」
 小花が玄関まで行って扉を開ける。
「あ、こんにちは竹内さん」
「こんにちは。食事中だったかな? すまないね」
「いえいえ。それで、動画の方どうですか?」
「うん、記録映像を探して編集するのは大変だけど何とか間に合いそうだよ。まぁ、大変なのは部下だけどね」
「ははは、お疲れ様です……」
「そっちはどうだい?」
「抜かりなく。最初はみんな不思議がってましたけど、今は楽しそうに準備してます」
「そうか、若いっていいね」
「生まれて三年くらいしか立ってませんから」
「違いない」
 二人してガッハッハと笑う様子に、両親は固まっていた。突然現れた区長と親しげに話す娘。いったいこれはどんな状況なのだろうか。
 混乱する両親を知ってか知らずか、小花はやりとりを続ける。
「用件はそれだけですか?」
「いや、これを渡しとこうと思ってね」
 竹内は鞄から小型のメモリーチップを取り出して小花に手渡した。
「これは……?」
「スキャンしてみればいい」
 疑問に思いながらも、小花は竹内の言うとおりにチップの情報をスキャンしてみる。
 そして。
 小花は一瞬唖然として、チップを落としそうになった。
「ちょ、ちょっと! こんなの受け取れませんよ! こんな重要なもの、何簡単に渡しちゃってるんですかっ」
 対して、竹内は平然としている。
「『日記』の流出以降、アンドロイドに人権を与えるべきだという団体と、人権不要派の衝突が激しくてね。やっかいなことに、人権不要派には旧世代アンドロイドの業者が支援しているらしいんだよ。その影響かは分からないけど、最近ゲートの脆弱部分を狙って『外』から未登録のアンドロイドが入り込む事件が続いている。余談だけど、君もその一つから『外』へ出たんだろうね」
 機密事項をペラペラとしゃべる竹内に、咄嗟に周囲を警戒してしまう小花。
「だから、何が起こるか分からない。これを持っているのは極少数の人間だけだ。僕たちに何かあれば、誰もそれらを止めることはできない。アンドロイド側の代表として、もしものために君に持っていてほしいんだよ」
「何で、私なんですか?」
「そんなの決まっているじゃないか」
 竹内は何でもないことのように言った。
「私が一番信用しているアンドロイドだからだよ」
 そして、最後にこう付け加えた。
「そのチップには君用のアップデートファイルも入ってる。そのファイルとコードをインストールしたらチップは焼くなり噛み砕くなりして処分しておいてくれ」
 小花は思った。「外」もザルだったが、「中」もこれではザルと一緒だ。もしかして、わざと狙っているんじゃないかと勘繰ってしまう。
 それでも、この作戦が失敗すれば自分たちは全て消されてしまう。小花は大事そうにチップを握りしめた。



 二月半ば。小花の通う学校では十周年記念祭が始まっていた。そんな中、校内を見学して回る一つの集団があった。その中心には四角い顔をした中年の男性が一人いた。
「いやぁ、若いというのはいいですな。皆、エネルギーに満ち溢れている」
 四角い顔の男がそう言うと、案内係が頷く。
「そうですね、これからの成長が楽しみです」
 四角い顔の男の名は安田武。人権不要派の代表だ。
「しかし、この特区にある人間の学校としては形見が狭いでしょう。そういう意味では、今日私を講演に招待していただいたことは幸いでしたな」
「ええ、安田様のお言葉には生徒も感動するでしょう」
「人権団体など、すぐに排除してみせますよ」
 安田は満足気にそう言った。


 一方その頃、小花は小花で記念祭を楽しんでいた。
「みんな、楽しそうでいいわねぇ」
 記念祭を見て回る小花の横には亜子がいた。
「だけど、アンドロイドにしては結構ローテクね」
「いつもはもうちょっと違うんですけどね。事情が事情だけに……」
 苦笑する小花。
「でも、私はこっちもいいなって思うんです」
「それはなぜ?」
「人間って、こんな風に楽しんでるのかな? 今、人間と同じように笑ってるのかなって……そう考えると悪くないなって」
「うふふ、そうね。アンドロイドも人間も、楽しいと思うことは一緒なのかもしれないわね。いつの日かアンドロイドの学園祭を人間にも見せてあげたいわね」
「はい。私はこれで最後ですけど、そうしたら人間も私たちのこと、本当の意味で分かってくれるかもしれませんね。それと」
 小花は加奈が眠る病院の方角を見つめる。
「こうやって人間に思いを馳せてると、加奈の気持ちも分かるかもしれないって思います」
「あら、仲良しじゃなかったの? 少なくとも、『日記』からはそう感じたけど」
 亜子は笑いながらいつかされた質問をしてみた。
「そうなんですけど、私はアンドロイドだということを知っちゃったので。あの時、加奈は本当に同じ気持ちだったのかな。同じ表現でも、私たちは少し違うんじゃないかとか、不安になることがあるんです」
「じゃあ、加奈が良くなったら、いっぱい一緒に遊んで、たくさんお喋りしないとね」
 そう元気づける言葉を発した亜子は、思う。その悩みも、人間と一緒だ、と。
「そうですね! じゃあ次は美術部の展示を見にいきましょう!」
「ええ、楽しみだわ」


 美術部の展示室に着くと、亜子は真剣な表情で絵を見て回る。
 その姿を、緊張した面持ちで見守る美術部の面々。プロの画家が評価をしてくれているのだから当たり前だ。もちろん、嬉しい気持ちもあるのだが、今は恐れの方が強い。良くも悪くも自分の実力が分かってしまうからだ。
(どれも、個性が出てていいわね。独特の感性を持ってる子もいるし。アンドロイドだからかしら)
 しかし、当の本人は表情とは裏腹に鑑賞を楽しんでいた。実を言うと、自分とは違う感性に触れられるチャンスだと思って勉強するつもりで来ている。だから、小花の誘いに二つ返事で乗ったのだ。
(あら?)
 亜子はある一角で動きを止めた。
 その場所には加奈の絵が飾られていた。
(私より、どちらかというとあの人の絵に似ているわね)
 感情的な絵を描く亜子とは違い、繊細な筆のタッチが見える加奈の絵。それは、旧知の人物に似ていた。
(それと、こっちは心花ちゃんね。うふふ……分かりやすいわ。こっちはやっぱり私寄りね)
 まるで、風景や人物がそこにあるかのような不思議な感覚に陥る絵。
「さて、と。じゃあ一言ずつ」
 ついに来た、と顔が強ばる美術部の面々。
「この絵を描いたのは……」
「私です」
「あなたは、色使いが素敵ね。線をもうちょっとはっきりさせたらさらに良くなるかもしれないわ」
「は、はい! ありがとうございます!」
 褒めるところは褒め、アドバイスも添えていく亜子。
 そして。
「最後は小花ちゃんね」
「よろしくお願いします!」
 少し緊張している小花だが、その手には先程買ったたこ焼きがプンプンと匂いを放っている。思わず吹き出しそうになった亜子だったが、何とかこらえる。
「小花ちゃんは、思いがたくさん詰まっててとてもいいのだけれど、ちょっと筆の運びが雑ね。思いは乗せつつ、最後の毛一本まで気持ちを切らさないで」
「はい!」
 勢いよく返事をする小花に微笑みつつ、亜子は総評を言う。
「絵っていうのはそれぞれ個性があっていいと思うの。でも、その個性を際立たせるために、色んな技術が必要だったりするから、その技術を磨く努力を怠らないで。私も、技術という面ではたくさん苦労したわ」
 亜子の評価が終わり、しばらく雑談をしていると、小花の両親が訪れた。
「あ、お父さん、お母さん。来てくれたんだ」
「五月の学園祭には来られなかったからね。そちらの方は?」
「ああ、亜子さん? 亜子さんはね、プロの画家さんだよ」
「そ、それはどうも。小花がお世話になっています」
 急にかしこまって頭を下げる父親。
「初めまして。山下亜子と申します」
「小花が失礼なことをしていないでしょうか? ご存知かもしれませんが、少々抜けているところがありまして……」
「いえいえ、小花さんは明るくていい子ですよ。ねぇ小花ちゃん?」
「うん。お父さんは気にし過ぎだよ。それより、これ食べる? 冷えちゃってるけど」
 たこ焼きを差し出す小花に頭を抱える両親。
「……まぁ、せっかくだし一つもらっとくか」
 パクッと口にたこ焼きを入れた直後。
「ふぐっ!?」
 急に慌て始める父親。母親に背中を叩かれ、何とか言葉を喋れるようになると、彼は言った。
「お前、これ何だ?」
「あー当たっちゃったか。わさび発祥の地静岡市有東木うつろぎ地区名産の高級わさびを品種改良した『激辛わさび入りロシアンルーレットたこ焼き』」
「まさか、これを山下先生に食べさせたりしてないだろうな……」
 明後日の方を向く小花。
「うふふ……とても辛いですよね、それ」
 そう言って笑った亜子に、両親は土下座をしそうな勢いで平謝りをしたのだった。


「あー皆さん、はじめまして。私は安田武と言います。私は人権不要派の代表を務めております」
 翌日、学校の講堂で安田の講演が始まった。テーマは「アンドロイドの管理について」だ。
「昨日、私は皆さんの十周年記念祭の様子を見させてもらいました。どの企画も素晴らしく、皆さんの才能がいかんなく発揮されていました。私は、思うのです。この国の未来は明るいと。ですが、皆さんの行く手を阻むものがあります。それはアンドロイドです。あー皆さんもこの特区で生活されているので十分、分かっておられるでしょうが、アンドロイドに人権はいりません。アンドロイドは暴走の危険があるだけではなく、このままでは将来、人間の居場所を奪いかねません。だから、アンドロイドは人間に徹底管理されるべきです」
 安田が人間とアンドロイドに言及し始めたところで、彼は異変に気づく。生徒たちがざわつき始めていたのだ。
「アンドロイドって?」
「分かんない」
「機械のことじゃない?」
(ここにも人権団体の息がかかっているのか?)
 彼はそのざわつきの真意を掴めず、語調を強めて押さえ込もうとする。
「アンドロイドは道具です! 感情も意思も必要ない! 友人になれるなどと勘違いをしてはいけません! その甘い考えがいずれ破滅を―」
「すみません」
 安田のたたみ掛けるような演説の最中に、何とも場違いな声が上がった。
「……どうかしたのかね? 話はちゃんと最後まで聞きなさいと先生に教わらなかったかな?」
 若干苛立ちを覚えながらも、安田は丁寧な口調で尋ねる。
 尋ねられた生徒、片井小花は堂々と生徒たちの正面に出てくる。臆している様子は全くない。
「質問があります」
「……どうぞ」
 安田はしょうがないという様子で小花を促した。
「アンドロイドって、何ですか?」
 それを聞いた時、安田は彼女はもしかしてこの生徒は発達の遅い子供なのではないかと思った。だから、イライラを収めて教師たちの様子を窺いながら穏やかに言う。
「それも、先生に教わらなかったのかな?」
「教わってないです、ここにいるみんな、全員」
 しかし、さらにおかしなことを言う少女に、安田は混乱した。
「いや、まぁ、アンドロイドというのは人間と違って機械で、君たちみたいに生きてはいない存在というか……心がないというか……」
 しどろもどろになる安田の解説。
「もしかして」
 小花はそう前置きして、自身の腕の関節を落とす。
 安田は驚愕に目を見開いた。
「アンドロイドって、私たちのことですか?」
「お、お前は……!」
 安田の狼狽ぶりを尻目に、生徒たちはささやき合う。
「あ、もしかして今?」
「片井さんはそう言ってたね」
「じゃあ、やろっか」
 ボトボトボト。
 講堂に響き渡る鈍い音。
 それは、数百のアンドロイドが腕を落としていく音だった。
 小花は告げる。
「私たちは生きてるし、心もありますよ?」
 安田は、尻もちをついて慌てて講堂を飛び出していった。



 その二日後。世論はざわついていた。
 それは、一つの動画が動画サイトを通じて流出したことに端を発していた。そこに映っていたのはアンドロイド研究特区内のとある高校の十周年記念祭の様子。動画には笑顔でイベントを盛り上げる生徒たちの様子と、それに満足気に頷いて回る人権不要派代表の安田。後半には、安田の講演の様子が映っている。
 特に、後半の講演の部分は反響が大きかった。それもそのはず、人権不要派の代表がアンドロイドを人間だと思い込んで彼らを褒め称え、その前で「アンドロイドに人権はいらない!」と必死に訴えているのだから。
 ウィットに富み、皮肉に満ちたその動画は瞬く間に日本中に広がり、世論はアンドロイドに人権を与える方向へと傾いていった。
 しかし、当の本人たちはその状況を知らないし、小花以外は講演の一幕は何だったのかということも分からないでいた。
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