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第十五糞
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「クリスマスに茶色いうんこをするのって野暮じゃないか?」
泰平が唐突にそんなことを言った。
「お前は何を言っているんだ?」
和人は呆れた顔で聞き返した。
「クリスマスってさ、サンタの髭も白いし、プレゼントの袋だって白だろ? それにホワイトクリスマスっていう言葉もあるくらいだ。茶色なんてお呼びじゃねえんだ」
「つまり?」
「クリスマスには白いうんこをするべきなんだ」
「お前……」
「何だよ」
「天才だな!」
「だろ?」
こうして、白いうんこ作戦は始まった。
「ところで白いうんこってどうやったら出るんだ?」
和人が聞いた。
「聞いたところによると、病気や消化不良、バリウムなんかで白いうんこが出るらしい」
「どれもハードルが高いな……」
「だな。……そこで、だ」
泰平が大きな袋から色々な物を取り出す。
「牛乳にホワイトチョコレート、カリフラワーに小麦粉……まさか!」
「ああ、そうだ。全部白い物だ。俺の考えではこれらを食せば白いうんこが出るはずだ」
「お前……」
「何だよ」
「天才だな!」
「だろ?」
と、そこで今まで黙っていた人物が発言をした。
「よくわかんないけど、これ、食べていいの?」
小太り内山だ。
「ああ、いいぞ!」
一時間後。
「はー食った食った」
「もう、食えねぇ」
「僕はまだ食べたかったな」
食材はすべてなくなっていた。
「じゃあ、腹ごなしついでに街にでも出かけるか」
泰平が提案した。
「お、いいな。クリスマスだしな!」
「ぼ、僕クリスマスに友達と出かけるなんて初めてで嬉しいな!」
「しっかし、恋人ばっかだな」
泰平が周りを眺めて言った。
「そうだな、まぁ幸せならいいんじゃないか?」
「でも、こいつらクリスマスなのに茶色いうんこしてんだぜ?」
「確かに」
「考えようによっちゃ、俺らの方が幸せなんじゃないか?」
「ああ、これから白いうんこを出すんだしな」
「ねぇ……」
「どうした、内山」
「ちょっとトイレに行きたくなっちゃった」
「お、さっそく白いうんこ出しちゃう系?」
「行ってこいよ、待ってるからさ」
「ありがとう!」
しかし、数分後。
内山は青い顔をして戻ってきた。
「どうした? 白いうんこしたのに青い顔して」
「と、トイレが全部使われてて……」
「あー今日人多いしな……」
「我慢できそうか?」
「ごめん、無理……」
「どうすんだよ……」
「俺に考えがある」
「考えって何なんだ、泰平?」
「あそこに丁度いい茂みがあるだろう?」
「茂み……ってクリスマスツリーじゃないか」
「ああ、そうだ。あそこなら脱糞しても気づかれないんじゃないか? しかも、クリスマスツリーに白いプレゼント。これでみんなハッピーだ」
「お前……」
「何だよ」
「天才だな!」
「だろ?」
「い、いくよ!」
「ああ、周囲の警戒は任せろ!」
「お前の脱糞は俺たちが守る!」
「ん……!」
内山が尻に力を入れた。
そして。
「ブリブリブリブリブリィ!!」
脱糞音が響き渡った。
「え、何今の音?」
「何かブリブリって」
「ブリブリ?」
周囲の人々がざわついた。
「ちょ、お前! 脱糞姿は隠せるけど脱糞音は隠せねぇんだぞ!?」
「もうちょっと静かにできなかったのか……」
「ご、ごめん!」
「もういい、早くとんずらするぞ!」
三人は走って逃げた。
「あれ? クリスマスツリーの下……」
「白い……オブジェ?」
「何か浅草にあるやつに似てない?」
「あー金のやつ?」
「そうそう」
「でも何か所々茶色いよ?」
「ホントだ、きったね」
次の日。
「なぁ、和人。俺、白いうんこ出なかったわ」
「奇遇だな、俺もだ」
「あのあと調べたんだけどな、うんこは胆嚢ってところで色づけされるらしいんだ。あと、そもそもうんこは食べてから二十時間くらいたたないと出ないらしいんだよ」
「つまり?」
「クリスマスに白いうんこが出る訳がなかったんだ」
「ちょっとまて、内山は出したぞ?」
「たぶん、消化不良か何かじゃないか?」
「じゃあ、あいつは素で幸せの白いうんこを出したということか?」
「そういうことになるな」
「あいつ……」
「「天才だな!」」
内山には類い希なる才能がある。二人はそう確信した。
今日はクリスマス。
皆さんにも、幸せの白いうんこが届きますように。
泰平が唐突にそんなことを言った。
「お前は何を言っているんだ?」
和人は呆れた顔で聞き返した。
「クリスマスってさ、サンタの髭も白いし、プレゼントの袋だって白だろ? それにホワイトクリスマスっていう言葉もあるくらいだ。茶色なんてお呼びじゃねえんだ」
「つまり?」
「クリスマスには白いうんこをするべきなんだ」
「お前……」
「何だよ」
「天才だな!」
「だろ?」
こうして、白いうんこ作戦は始まった。
「ところで白いうんこってどうやったら出るんだ?」
和人が聞いた。
「聞いたところによると、病気や消化不良、バリウムなんかで白いうんこが出るらしい」
「どれもハードルが高いな……」
「だな。……そこで、だ」
泰平が大きな袋から色々な物を取り出す。
「牛乳にホワイトチョコレート、カリフラワーに小麦粉……まさか!」
「ああ、そうだ。全部白い物だ。俺の考えではこれらを食せば白いうんこが出るはずだ」
「お前……」
「何だよ」
「天才だな!」
「だろ?」
と、そこで今まで黙っていた人物が発言をした。
「よくわかんないけど、これ、食べていいの?」
小太り内山だ。
「ああ、いいぞ!」
一時間後。
「はー食った食った」
「もう、食えねぇ」
「僕はまだ食べたかったな」
食材はすべてなくなっていた。
「じゃあ、腹ごなしついでに街にでも出かけるか」
泰平が提案した。
「お、いいな。クリスマスだしな!」
「ぼ、僕クリスマスに友達と出かけるなんて初めてで嬉しいな!」
「しっかし、恋人ばっかだな」
泰平が周りを眺めて言った。
「そうだな、まぁ幸せならいいんじゃないか?」
「でも、こいつらクリスマスなのに茶色いうんこしてんだぜ?」
「確かに」
「考えようによっちゃ、俺らの方が幸せなんじゃないか?」
「ああ、これから白いうんこを出すんだしな」
「ねぇ……」
「どうした、内山」
「ちょっとトイレに行きたくなっちゃった」
「お、さっそく白いうんこ出しちゃう系?」
「行ってこいよ、待ってるからさ」
「ありがとう!」
しかし、数分後。
内山は青い顔をして戻ってきた。
「どうした? 白いうんこしたのに青い顔して」
「と、トイレが全部使われてて……」
「あー今日人多いしな……」
「我慢できそうか?」
「ごめん、無理……」
「どうすんだよ……」
「俺に考えがある」
「考えって何なんだ、泰平?」
「あそこに丁度いい茂みがあるだろう?」
「茂み……ってクリスマスツリーじゃないか」
「ああ、そうだ。あそこなら脱糞しても気づかれないんじゃないか? しかも、クリスマスツリーに白いプレゼント。これでみんなハッピーだ」
「お前……」
「何だよ」
「天才だな!」
「だろ?」
「い、いくよ!」
「ああ、周囲の警戒は任せろ!」
「お前の脱糞は俺たちが守る!」
「ん……!」
内山が尻に力を入れた。
そして。
「ブリブリブリブリブリィ!!」
脱糞音が響き渡った。
「え、何今の音?」
「何かブリブリって」
「ブリブリ?」
周囲の人々がざわついた。
「ちょ、お前! 脱糞姿は隠せるけど脱糞音は隠せねぇんだぞ!?」
「もうちょっと静かにできなかったのか……」
「ご、ごめん!」
「もういい、早くとんずらするぞ!」
三人は走って逃げた。
「あれ? クリスマスツリーの下……」
「白い……オブジェ?」
「何か浅草にあるやつに似てない?」
「あー金のやつ?」
「そうそう」
「でも何か所々茶色いよ?」
「ホントだ、きったね」
次の日。
「なぁ、和人。俺、白いうんこ出なかったわ」
「奇遇だな、俺もだ」
「あのあと調べたんだけどな、うんこは胆嚢ってところで色づけされるらしいんだ。あと、そもそもうんこは食べてから二十時間くらいたたないと出ないらしいんだよ」
「つまり?」
「クリスマスに白いうんこが出る訳がなかったんだ」
「ちょっとまて、内山は出したぞ?」
「たぶん、消化不良か何かじゃないか?」
「じゃあ、あいつは素で幸せの白いうんこを出したということか?」
「そういうことになるな」
「あいつ……」
「「天才だな!」」
内山には類い希なる才能がある。二人はそう確信した。
今日はクリスマス。
皆さんにも、幸せの白いうんこが届きますように。
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