点数が悪い俺異世界転移したがロクなスキルがなかったので転生者を手に入れる

eegww 松実

文字の大きさ
上 下
9 / 66

シルドルク2

しおりを挟む
「おい!シルヴィア!ベランダで何してるんだよ!体が冷えるぞ!」
そう言ってきたのは侯爵家の三男のオスカー・ブライスだ。

彼はルイスの親友だ。
学園生活では彼も一緒に4人で楽しんでた仲だった。
彼はちょっと言葉遣いが荒いとこがある。
なんでも小さい頃よく平民と絡んでたとか。
貴族としてはあるまじき行為だけど、前世の記憶がある私からしたら親しみやすい人だ。

「ええ、ごめんなさい。今入ろうと思ったとこよ。」

「ん?なんか顔色悪いぞ?大丈夫か?」

「大丈夫よ。さぁ早く中に入りましょう。」

「っちょ。押さなくてもいいだろ…!?」

「…」



彼も気付いてしまった。ルイス達が密会してることを…



「…中に入るぞ。」

「え、ええ」

オスカーと私は会場の中に入った。



________________

「はい…」

私達が会場の隅っこに到着した時、オスカーは私にハンカチを渡してくれた。

「涙の跡がある。これで拭いてろ。」

「え、ええ。ありがとう。」

私は渡されたハンカチで涙を拭いた。

「新しいハンカチを贈り返すわ。」

「いいよ。いらん。男として泣いてる女が居たら心配するのは当たり前だ。もしそれが知り合いなら余計な。」

「あら、嫌だわ。私は恩をちゃんと返す人よ。お礼をさせてちょうだい。」

「ふ、そうだったな。じゃあ楽しみにしとく。」

「ええ。そうして。」

「…」

「…」

話が続くこと無く、2人は無言になってしまった。

(やっぱり話さないといけないのかしら…。オスカーは頑固だから、話逸らしても意味ないわね…)


「何か飲み物持ってくる。」

「え、いえ、大丈夫よ。要らないわ。」

「いや!持ってくる。」

そう言ったオスカーはさっさと飲み物が置かれてるテーブルに行った。

(ちょっとでも落ち着かせる為に持ってきてくれるのかしら?)


「はい。飲み物」

「え、ええ。ありがとう。」

オスカーは飲み物をくれた。


私達は淡々と飲み物を飲んでた。ちょうど飲み物を飲み終わった時、オスカーが話を切り出した。



「で、どうするんだ?」

「え?」

「ルイスの事だよ。まさか噂は本当とはな。」

「…」

「復讐でもするのか?」

「え…」


復讐なんて考えても見なかった。
これから私はどう生きようかで頭がいっぱいだった。


(自分のことしか考えられないなんて… 私って薄情ね。)


「いいえ、しないわ。」

「は!? 悔しくないのかよ!」

「あら、オスカー。あなた一応ルイスの親友でしょ?ルイスの身を案じないの?」

「それとこれは違うだろ!この件は完全にルイスが悪い。」

「復讐はしないわ。だって意味ないもの。」


そう。復讐は意味ない。復讐はただ行き場のない気持ちを何かに当たって気を晴らす行為。ただの八つ当たりで、自己満足だ。時間の無駄に過ぎない。


「でもちゃんと責任は取らせるわ。」

「ほう。」

「心配してくれてありがとう。」

「!? べ、別にこんぐらい大したことねぇよ。俺ら友達だろ?」

「ふふ、そうね。」


(オスカーと喋ってたらしょんぼりしてた気持ちが薄れてきたわ。)

そう思いながら会場を見渡した。会場は私とは反して煌びやかで賑やかだった。



「あ、あのさ「オスカー、私、ルイスと婚約破棄しようと思うの。」」

「へ?」

「私とルイスは政略結婚だけど、信用できないパートナーと一生一緒に生きれるとは思わないの。」

そう貴族の結婚は信頼で成り立ってる。だって信頼出来ない人と事業なんて出来ないでしょ?


「だから私、パーティの途中だけど帰ろうと思うの。」


そう私の未来の為に決断しないと。その為に色々準備が必要ね。

「…ああ。それがいい。だが、何かする前に休めよ。顔色が悪いぞ。」

「あら、レディに対して失礼よ。」

「準備万端の時に戦った方がいいだろ。お前の為に言ってるんだ。」

「別に戦いに行くんじゃないのよ。話し合いをするのよ。」

「それは余計に頭を使いそうだな。やっぱり休息は今のお前には必要だな。」

「ふふ。そうね。」


オスカーは心配性ね。まだ友人は捨てたもんじゃないわね。


「…シルヴィア、忘れるなよ。」

「ん?何をかしら?」

「俺は何があってもお前の味方だ。」

「…。ふふ。その口説き文句は好きな人に言うべきよ。」

「!? い、いや、俺は別にく、口説く為に言ったわ、わけじゃない!」


(ふふ。でもありがとうオスカー。今の私にとってその言葉は救いだわ。本当に感謝するわ。ありがとう。)


「じゃあ、行ってきます。」

「おう、頑張れ。」


そして私はパーティ会場から出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...