上 下
9 / 18

5-1

しおりを挟む
 ベッドから下りたカターナは、手ばやく身支度を整えると、屋根裏部屋のドアをノックした。

 しばらく待っても、返事がないので、ふたたびノックする。返事は、やはりなかった。すこし迷ってからノブに手をかけ、そっと開いて室内を覗くと誰もいない。

「……帰ってないんだ」

 ぽつりとつぶやいたカターナは、閉めたドアに落胆の息をかけて食卓へ向かった。

 食卓には、アルテの皿も用意されている。

「おかあさま」

「なあに」

 ズィーラはスープを入れながら答えた。

「アルテさんはあれから、帰っていないの」

「カターナと出かけてから、ずっと出たままね」

「……そう」

 イスに座ったカターナの前に、スープが置かれる。

「女神ヴィリアスの恵みに感謝します」

 祈りをささげたカターナが、食卓の中央にあるカゴから、パンをひと切れ自分の皿に移し、もそもそと食べはじめると、ルーエイが姿を現した。

「おとうさま」

「おはよう、カターナ」

「おはよう、おとうさま。あのね、アルテさんがどうしているのか、知らない? 家に帰っていないの」

「ああ、彼か。彼ならこしらえてもらいたいものがあるとかで、道具師のところへ行っていたな。旅に必要なものでも、作ってもらっているんだろう」

「それなら、注文をして戻ってくればいいじゃない。せっかく作ったベッドが、使われないままでかわいそうだわ」

「その、かわいそうは、なにに対してのかわいそうなんだ」

 ルーエイの問いに、カターナは口をつぐんだ。

「旅の話が聞けなかったから、拗ねているのか。彼には彼の用事がある。細かな仕様の説明が、必要な道具かもしれないだろう。その道具ができるかできないかで、行き先を変更せざるを得なくなる、ということも、ありえるんだからな」

 ルーエイにやわらかく諭されて、カターナは自分のことしか考えていなかったと気づき、恥ずかしくなった。

「彼に甘えすぎないようにな」

「甘える? 頼る、ではなくて」

 疑問とおどろきをない交ぜにしたカターナに、ルーエイは「おや」という顔になった。ズィーラがクスクスと笑いながら、ルーエイの前にスープを置いて、席に着く。

「そのあたりは、微妙なところねぇ」

「おかあさまも、私がアルテさんに甘えていると思う?」

「そうね。……甘えると頼るは、とてもよく似ているから、難しいのだけれど。アルテさんがカターナのために、なにかしたいと考えていて、それをカターナが受け取るのは、どちらでもないんじゃないかしら」

「よく、わからないわ」

 カターナは眉を下げて、唇を尖らせた。

「形のないものを、無理に言葉の枠にはめなくてもいいのよ。そのほうが、言葉にするよりも、よくわかる場合があるのだからね。――おはよう、私のかわいい家族たち」

 ふんわりとしたランダの声に、カターナは笑顔で振り向いた。

「おはよう、おばあさま。……昨日も星読みをしていたのに、早起きなのね」

 カターナの肩に、ランダがニコニコと手を置いた。

「ルーエイが出かける前に、伝えておかなくてはならないことがあるのよ。ああ、ズィーラ。私はこれからすこし眠るから、せっかくだけれど食事はいいわ。ごめんなさいね」

「おばあさま、それって」

 カターナの声がはずむ。ランダはいたずらっぽく片目を閉じた。

「ええ、そうよ。カターナの想像どおり。豊穣の祭の日を、星に告げられたわ」

 全身をワクワクさせて、カターナは両親を見た。ルーエイもズィーラも顔を輝かせている。

「それじゃあ、さっそく皆を集めて、段取りを決めなくちゃならないな」

「それで、いつなの? おばあさま」

 カターナの目が、青とグレーにきらめいている。ランダはちいさな子どもに秘密をうちあけるように、額を寄せて答えた。

「6日後よ。その日に、星が女神ヴィリアスを地上へお連れになるわ」

「6日後!」

 カターナは身を震わせた。大人たちにバ・ソニュスの採取に行く許可をもらいたくて、ウズウズする。

 どうしてここにアルテがいないのだろうと、カターナはソワソワした。昨日、彼が見つけてくれた欠点を、どうすれば克服できるか相談したい。胸当てをきつくする以外の、息苦しくならない方法を、はやく見つけて練習したい。

「ああ、なんだか落ち着かないわ」

 さきほどまでの沈んだ気配をふきとばし、カターナは浮かれる心そのままに、朝食を済ませて席を立った。

「ごちそうさま!」

 いてもたってもいられない気持ちを抑えられず、カターナは部屋へ戻り、羊の番のための身支度を整えて、家を飛び出し隣家へ向かった。

 深呼吸をしてからノックをすると、ディルの母ミィリが顔を出した。

「あら。おはよう、カターナ。ディルを迎えにきてくれたの? ずいぶんとはやいわね」

「おはようござます、おばさま。まだご飯の途中だったら、ごめんなさい」

「いいえ、いいのよ。カターナはうちの娘みたいなものだから、いつだって気にせずにいらっしゃい」

 どうぞと仕草で招かれて、カターナはドアをくぐった。勧められたイスに座ると、ハチミツ入りのホットミルクを出される。

「ディルはいま、仕度中よ。これからふたりで、羊の番の仕事なのでしょう」

「ええ、おばさま。羊を出すまで、まだ時間があるのだけど、落ち着かなくってきちゃったの」

「落ち着かないって、どうして?」

「それは、ディルがきてから教えるわ」

 カターナはもったいぶって肩をすくめた。

 しばらくたわいない会話をしていると、準備を終えたディルが現れる。

「話し声がすると思ったら……。どうしたんだい、カターナ。こんなにはやく、僕を迎えにきてくれるなんて」

「ああ、ディル」

 カターナは勢いよく立ち上がり、ディルの手を握った。

「聞いて! とうとう決まったの」

 カターナのよろこびに満ちた声に、ディルの頬が紅潮する。

「豊穣の祭の日だね? いつに決まったの」

「6日後よ。おばあさまに、6日後だって星が告げたの」

「あら、大変。それなら今夜から、集会所での準備がはじまるわね。夜食の準備とか、しておかなくっちゃ。――あなた、あなた!」

 ミィリが大声を上げながら奥に行く。それを見送り、クスリと笑ったカターナとディルは、村中の羊たちを集めるために家を出た。

「おはようございます。羊を連れにきました」

 丘から遠い家から、声をかけていく。

「あら。今朝はいつもより、ずいぶんとはやいのね」

「ええ、おばさま。じっとしていられない気分だったの。だって、おばあさまが、豊穣の祭は6日後だっておっしゃったんだもの」

「まあ! それじゃあ準備を、はじめなくっちゃね」

 羊を集める先々でカターナがそう告げたので、豊穣の祭の日程はすぐに知れ渡った。

「あの、カターナ」

 リズの家に行くと、彼女が玄関先で待っていた。

「おはよう、リズ」

「おはよう」

 カターナとディルが挨拶をすると、消え入りそうな声で、リズが「おはよう」と返す。リズはチラリとディルを見ると、カターナの袖を引いた。

「なあに、リズ」

「カターナ、あのね……。私さっき、豊穣の祭が6日後になるって聞いて、それで……、カターナを待っていたの」

「私、まだこの家には、言っていないはずだけど」

「サシュが教えに来てくれたの」

「ああ。剣師見習いのサシュね。あの子の家なら、だいぶ前に寄ったわ」

 カターナはサシュの家の羊に目を向け、子犬のように走り回る少年を思い浮かべた。

「サシュはリズに、なついているものね」

「そんな」

 リズの顔が赤くなる。

「あの、それでね……、カターナ」

「なあに」

「闇の魔法、私……がんばるから、だから……あと6日しかないけど、でも、でもね……」

 懸命なリズの大きな赤い瞳に、カターナは胸が熱くなった。

「大丈夫よ。ありがとう、リズ。あと6日もあるんだから、がんばるしかないわよね」

 リズが顔を明るくさせて、かみしめるようにうなずく。カターナは昨日、抱き合って泣いたことを思い出して、リズの背に腕を回した。

「ありがとう、リズ。私、負けない」

「カターナ」

 そんなふたりを、ディルは温かな目で見守った。昨日、ふたりが泣いている姿を、ディルは目にしていた。事情はわからないけれど、女の子同士で大切な話をしたのだろうと、受け止めている。

 ディルはほんのすこし、リズに羨望を向けて、傍にいた羊の毛を指で探った。

「じゃあね、リズ。今日の仕事は?」

「森で木の実とか薬草とかを採って、ちいさな獣を狩る仕事。大きな狩りじゃないから、ちょっと……、ホッとしてる」

「そっか。大きな獲物を狙うのは、危険だものね」

 コクンとリズが首を動かす。

「でも、どんなことが起こるかわからないから、気をつけてね」

「カターナも。……ディルも、気をつけて」

「ありがとう、リズ」

 ディルがほほえむと、リズがはにかんだ。
 手を振ってリズと別れたカターナとディルは、村中の羊をひきつれて、丘へ上った。羊たちは草を食んだり歩いたり、それぞれのんびりと過ごしはじめる。ディルが杖を取り出して、風をあやつり羊が遠くへ行かないように囲った。

「ディルは風をあやつるほかに、どんな魔法を覚えたの」

「え」

「見たことがあるのは、風をあやつる魔法と、擦り傷を治す魔法だけだけど、他にもいろいろ、使えるんでしょう」

「……えっと。それは、そんなことは」

「ごまかさないで」

 目を泳がせたディルの腕を掴んで、カターナは瞳の光を強めた。青い瞳に灰色の波がかかって、不思議な色彩を描く。

「私、知っているんだから」

「な、なにを」

 カターナが、ずいっと顔を近づけると、ディルは頬をひきつらせて、のけぞった。

「おばあさまに、魔法を習いにきてること」

 ディルが息を呑む。フフンと鼻を鳴らして、カターナはディルを離した。

「どうして」

「ディルがこっそり、おばあさまの部屋から出ていくのを、見たことがあるのよ。おばあさまが、秘密にしておきたいみたいだからっておっしゃるから、知らないふりをしていたんだけど」

 腰に手を当て、カターナは素直に白状しなさいと言いたげに、ディルを見た。

「どこまで覚えたの」

「どこまでって……」

「おばあさまの魔法、どこまで覚えたの? ディルって、風の魔法しか使えないの?」

「えっと、それは」

「リズは炎と闇の魔法を使えるだろうって、アルテさんが言っていたわ。ディルも風の他に、使える魔法があるんじゃない?」

 ディルがひきつった笑みを浮かべて、視線をさまよわせる。

「ねえ、ディル」

 カターナは強気な態度を消した。

「教えてほしいの。私のことを気にして、内緒にしていたんでしょう? だったら、そんな必要はもうないんだから、ディルの魔法を全部、教えて」

「カターナ。……その、僕は」

「ごまかさないで。――私が、おばあさまにあこがれていて、おばあさまのようになりたいって思っているから、だから秘密にしていたんでしょう。大人になっていくにつれて、弓がへたくそになっちゃって、その上、魔力がちっともないってわかって、すごく落ち込んでいたのを、ディルは知っているから。……だから、こっそりしていたんでしょう。本当は羊の番よりも、もっとすごい仕事をまかされても、大丈夫なくらい、魔法が使えるんじゃない? ねえ、ディル。正直に答えて」

 真剣なカターナに、ディルは喉を鳴らした。

「ねえ、ディル。私、おばあさまのようになりたいって、そればっかり考えていたわ。おばあさまの若いころに、そっくりだって言われて。それでいい気になって、弓師になりたいって言って。――ディルは剣師になるって、言っていたわよね。いっしょに、おばあさまと帝都の剣師の竜退治の話を聞いていたから。それで剣師になるって、決めたんでしょう? だけど、魔力があるってわかったら、あっさりと剣師の道を捨てて、魔導師を選んだわ。……あんなに必死に練習をしていたのに、……。どうして?」

 ディルが拳を握り、眉をキリリとさせたので、カターナも気持ちを入れなおした。

「……僕の目的は、変わっていないよ。あの剣師のように、誰かを助けたいって思ったんだ」

「冒険がしたい、じゃなくて?」

 静かにディルが首を動かす。

「冒険ももちろん、すばらしく魅力的だよ。だけど僕はそれよりも、剣師がどうして竜に挑んだのかが、大切だと感じたんだ。それで単純に、剣師になるって決めたんだけど、剣師よりも魔導師のほうが向いているってことが、わかった。魔導師の資質は、持って生まれなければ得られないものだ。もちろん剣師にも、資質はいるよ。だけど努力でなんとかできる部分もある。――まあ、僕がどれだけがんばっても、ニルマのようにはなれないけどね」

 ディルが苦笑まじりに自嘲したので、カターナも口元をほころばせた。

「成長するにつれて、魔力も育っているってわかって。それなら僕は、そっちを伸ばそうって思ったんだ。剣師でも魔導師でも、目的はおなじままでいいから。……やり方は変わるけど、自分がより役に立てる方法があるのなら、剣師にこだわらなくてもいいかなって」

「そうだったの」

「うん、そう。……だから、方法が変わっただけで、僕の気持ちも目的も、昔からすこしもブレていないんだ」

「なんだか急に、ディルがたのもしく見えてきたわ」

「はは。それは、よろこんでいいのかな」

「ほめているんだから、よろこんで」

「じゃあ、そうする。ありがとう、カターナ」

「どういたしまして」

「それにね、カターナ」

「なあに」

「僕はいまでも、体を鍛えているんだよ。魔導師と言っても、ただ突っ立って魔法を使うわけじゃないからね。体力も必要だし、危険な場所に、魔法や薬に必要な材料を、採りに行かなきゃいけない場合もあるから」

「魔法を発動させる前に、攻撃をされちゃったら大変だしね」

 カターナがすこしおどけると、「そういうこと」とディルも笑った。

「でも、ひとりよりふたりのほうが、ずっと心強いかな。カターナがいるから、狼が現れても、僕は冷静に羊を村まで誘導できる。これがひとりなら、どっちを優先すればいいのか、迷って判断を間違えるかもしれない」

「だからよ」

 カターナが人差し指を立てる。

「ん?」

「はじめの質問。覚えてる?」

「えっと……。僕が、風の他に使える魔法があるかどうか、だっけ」

「そう。ディルが他に、どんな魔法が使えるのかを知っていたら、私の行動だって変わってくるわ」

「それって……」

 カターナが小首をかしげて、ニッコリとする。

「私ね、リズと昨日、5人でバ・ソニュスを採りに行きたいねって、言っていたのよ」

 ディルの目が丸くなる。それにクスクス笑いながら、カターナは人差し指を振った。

「リズはアルテさんに、防御の闇魔法を教えてもらうの。それで、私を助けてくれるんだって。だから弓師をあきらめないでって、言われたわ」

「そう、なんだ」

 カターナは昨日のやりとりを思い出して、照れくさくなった。

「それで、ニルマはきっと、志願をするだろうって話になって。それならディルやマヒワもくるんじゃないかなって……。ねえ、そうなると思わない?」

「うん。……カターナが許可をされたら、僕はついて行くよ」

「ありがとう、ディル」

「だから、僕の魔法がどの程度なのかを、知りたいんだね」

「そう」

「それなら、詳しく説明をしておいたほうが、いいかな」

「できるだけ、わかりやすく。でも、しっかりと教えてもらわないと困るわ」

「時間かかるよ」

「羊の番の間じゃ、足りない?」

「夕方まで? それなら、じゅうぶんだ。でも、途中であきたり、疲れたりしない?」

「それは、ディルの説明の仕方しだいね。……でも、がんばって理解するようにするわ。おばあさま直伝の魔法なんでしょう」

「そう。ランダさんから、しっかりと受け継いだ魔法だよ」

「それなら、大丈夫だわ。おばあさまの魔法を勉強するんだって気持ちで、聞けばいいだけだから」

「僕はまだまだ、未熟だけどね」

「当たり前よ」

 間髪入れずに返したカターナに、ディルが吹き出す。ふたりはコロコロとゆかいそうに喉を震わせ、希望に満ちた会話をはじめた。


 昼食を終え、羊の様子を見ながら、ディルの覚えた魔法薬の種類について、カターナが質問をしていると、アルテが背後にひょろりとした少年をつれて、やってきた。

「アルテさん。……それに、マヒワも」

 カターナとディルに疑問の視線を投げられても、マヒワは表情のない顔で、アルテの背後に陽炎のように立っている。白い肌と白銀の髪が、マヒワをより実体のないもののように見せていた。彼のあざやかな金色の瞳が、太陽の光を受けて輝いている。

「すこしカターナに用がある。すまないが、ディル。マヒワと羊の番をしてもらえないか」

 カターナはアルテとマヒワを見比べ、ディルを見た。ディルも不思議そうな顔をする。

「村の大人たちには、許可をとっている。マヒワも快諾をしてくれた。そうだな、マヒワ」

 マヒワは眉も動かさずに、うなずいた。

「それって、昨夜から家に帰ってこなかったことと、関係があるの?」

「おおありだ、カターナ。――ディルは、カターナをオレと森に行かせることに、賛成をしてくれるだろう?」

 ディルはアルテとマヒワを見、カターナを見てから、アルテの手にある大きな袋に目を落とした。

「カターナ。羊たちには、すこし窮屈な気分になってもらっても、いいと思うよ」

「え」

「蛇の獣人の血を引く、操獣師のマヒワが番人だと、羊たちは緊張をするかもしれないけど、マヒワなら狼がきたって大丈夫だから。気にせずに、行っておいでよ」

「……でも」

「いいから、ほら」

 ディルに背中を押され、カターナはとまどいつつ、マヒワを見た。

「えっと。……本当に、いいの?」

 無言で、マヒワがうなずく。

「それじゃあ、羊とディルのこと、よろしくね。ありがとう」

 またマヒワはうなずいた。

「ディル。ありがとう」

「うん。いってらっしゃい」

「いってきます」

 マヒワがディルの傍に行くのと入れ違いに、カターナはきびすを返したアルテとともに、森に入った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

神の種《レイズアレイク》 〜 剣聖と5人の超人 〜

南祥太郎
ファンタジー
生まれながらに2つの特性を備え、幼少の頃に出会った「神さま」から2つの能力を授かり、努力に努力を重ねて、剣と魔法の超絶技能『修羅剣技』を習得し、『剣聖』の称号を得た、ちょっと女好きな青年マッツ・オーウェン。 ランディア王国の守備隊長である彼は、片田舎のラシカ地区で起きた『モンスター発生』という小さな事件に取り組んでいた。 やがてその事件をきっかけに、彼を密かに慕う高位魔術師リディア・ベルネット、彼を公に慕う大弓使いアデリナ・ズーハーなどの仲間達と共に数多の国を旅する事になる。 ランディア国王直々の任務を遂行するため、個人、家族、集団、時には国家レベルの問題を解決し、更に心身共に強く成長していく。 何故か老化が止まった美女や美少年、東方の凄腕暗殺者達、未知のモンスター、伝説の魔神、そして全ての次元を超越する『超人』達と出会い、助け合い、戦い、笑い、そして、鼻の下を伸ばしながら ――― ※「小説家になろう」で掲載したものを全話加筆、修正、時々《おまけ》話を追加していきます。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

12月のラピスラズリ

あまくに みか
ライト文芸
第6回文芸社文庫NEO小説大賞 最終選考ノミネート作品 煙の街に住む住人たちは、名前がなかった。 それどころか、彼らはみんな同じ顔をしていた。 彼らは毎日、決められたルールをなぞって、世界の歯車として働いている。 「No.426ab3_F」は煙の街の住人の一人。 灰色の空しか見たことのない彼が、生まれて初めての青い空を見た。心を奪われた彼の足元には『12月のラピスラズリ』という一冊の絵本が。 絵本の物語は、猫が旅に出て、自分の居場所を見つけるという話だった。 絵本を読み終えた彼の元に、絵本に登場する猫と似た、黒い猫が現れてこう言った。 「お前の立っている場所は、ここだけじゃない」と。 彼はたった1つの持ち物である絵本を持って、黒猫と共に外の世界へ踏み出すことを決心する。 旅人となって、自分の「名前」を探す旅へ。 『だから、名前が知りたかった。ずっと一緒にいたかったから』 まだ小さな息子と、空へ旅立った愛猫にこの物語を。 表紙絵は、惑星ハーブティ様の作品です

処理中です...