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アレスティが駆けより、抱き上げた。
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いつのまにか横に来たタレンティの言葉に、ふっと口元をほころばせたフェリスが首を振る。
「とても、あそこに並び立つことはできません。私は、ただの兵士の娘で、メイドですから」
「第二王女のふりをしたまま、いられたらとは思わないか」
「ええ、ちっとも」
にこりとしたフェリスに、タレンティも笑いかける。
「だが、これからはメイドのままじゃ、いられねぇぜ」
「――え?」
いたずらっぽい顔をしたタレンティが、フェリスの手を取り前へ進む。とっさのことで抵抗をする間もなく、手を引かれるままに足が前に出て、王座への道を貴族に見守られながら連れて行かれ、玉座の前へ出た。貴族たちが、不思議そうにメイドを連れたタレンティを見つめる。
「お連れいたしました」
うやうやしく膝をついたタレンティの横で、あわててフェリスが膝をつこうとした瞬間
「フェリス」
「きゃ」
アレスティが駆けより、抱き上げた。
「新王戴冠の儀は終わった。これより、俺の婚儀を始める」
こぼれるほどに目を開いたフェリスを抱き上げたまま、アレスティは壇上に戻った。
「この者を、俺の妻とする。王位継承権を放棄したとはいえ、いやしくも王族の妻となるフェリスの顔をよく覚え、尽くしてくれ」
突然のことに目を瞬かせるフェリスが、驚きに包まれながらも口を開く。
「アレスティ。……これは、いったい」
「主だった貴族が集まる席で、先王も新国王の俺もいる前での宣言は、誰も文句や不満を言えないでしょう」
アレスティの代わりにリューイが答え、フェリスの頬に祝福のキスをする。アレスティの腕から下ろされたフェリスが、リューイに促されるまま先王の前に立つと、柔らかな笑みと祝福のキスを先王から額に与えられた。
「とても、あそこに並び立つことはできません。私は、ただの兵士の娘で、メイドですから」
「第二王女のふりをしたまま、いられたらとは思わないか」
「ええ、ちっとも」
にこりとしたフェリスに、タレンティも笑いかける。
「だが、これからはメイドのままじゃ、いられねぇぜ」
「――え?」
いたずらっぽい顔をしたタレンティが、フェリスの手を取り前へ進む。とっさのことで抵抗をする間もなく、手を引かれるままに足が前に出て、王座への道を貴族に見守られながら連れて行かれ、玉座の前へ出た。貴族たちが、不思議そうにメイドを連れたタレンティを見つめる。
「お連れいたしました」
うやうやしく膝をついたタレンティの横で、あわててフェリスが膝をつこうとした瞬間
「フェリス」
「きゃ」
アレスティが駆けより、抱き上げた。
「新王戴冠の儀は終わった。これより、俺の婚儀を始める」
こぼれるほどに目を開いたフェリスを抱き上げたまま、アレスティは壇上に戻った。
「この者を、俺の妻とする。王位継承権を放棄したとはいえ、いやしくも王族の妻となるフェリスの顔をよく覚え、尽くしてくれ」
突然のことに目を瞬かせるフェリスが、驚きに包まれながらも口を開く。
「アレスティ。……これは、いったい」
「主だった貴族が集まる席で、先王も新国王の俺もいる前での宣言は、誰も文句や不満を言えないでしょう」
アレスティの代わりにリューイが答え、フェリスの頬に祝福のキスをする。アレスティの腕から下ろされたフェリスが、リューイに促されるまま先王の前に立つと、柔らかな笑みと祝福のキスを先王から額に与えられた。
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