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江田元子
(どうしよう。どうすればいい――?)
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その意識の違いが、彼女たちに「スキがない」と見られているんだと、元子はざわついていた気持ちをなだめた。
けれど、ささくれに似た不快は残る。
(しかたないよね)
会話をしていないのだから、理由がわかるわけはない。考えて想像して、きっとそうだと落としどころを見つければ納得になるけれど、彼女たちはそれをしていないから元子を苦手と判断したのだ。
(もともとは私が勝手に彼女たちを不真面目だって思って、嫌な顔したのが悪いんだし)
先に不快を示した相手に、好感を持つのは難しい。だから自分が悪いのだと元子は結論づけて、さみしくなった。
「どうして私って、こうなのかなぁ」
反省をするくせに、だからこうしようと行動に移せない。そういうところがよくないのだとわかっていても、どうすればいいのかわからない。仲良くしたいわけではないが、気まずい関係ではいたくない。煙たがられたくはない。
(こういう部分を、八方美人って言われたのかも)
後輩たちの評価はあながち間違いではないと、元子の心は沈んでいく。
(ああ、だめだめ!)
せっかくおいしいお茶と饅頭をいただいたのに、落ち込んでどうするのだと元子は立ち上がった。
「切り替え、切り替え」
じっとしているから妙な考えをするのだと、元子は見事な庭園を散歩することにした。
草履をつっかけ、庭に降りる。
首を巡らせて低い庭木や大きな岩に囲われた池、ちいさな滝を目の中に焼きつけながら、雲の上を歩くような足取りでふわふわと土を踏む。低い庭木は行儀よく並んでいて、自分だけはと飛び出している枝がない。ちらほらとある花の影に近づいて、草の匂いに交じった甘い花蜜の香りを味わう。体を反転させて池に近づき、悠々と泳いでいる鯉の背中に目を細め、とめどなく池に注ぐ滝の水に吐息を漏らした。
(なんて、きちんとしているんだろう)
庭にあるすべてのものが調和している。水の一滴、草の一本すらも必要不可欠な要素となって、庭の景色を構成している。
心地がよくて、元子は池を囲う岩に腰かけ、おだやかな気分で陽光に包まれた。
熱くもなく寒くもない。ふんわりと包んでくる空気はやさしく、風はなかった。耳に当たるのは滝の音のみ。鯉もひっそりとして水面をたたかない。
静穏な空間に元子の心が凪いだ。
すべてが些末な出来事に思えてくる。
(このままずっと、こうしていたいなぁ)
庭の一部として溶け込んでしまいたい。このままずっと、こうしていたい。そう望んだ元子の耳に足音が届いた。
瞼を持ち上げた元子の目に、柔和な笑みをたたえた青年が映る。和装の彼は背後の建物とマッチしていて、この場にいなくてはならない存在と感じた。
(いいな)
ふいに浮かんだ感想に、元子はおどろく。
(いいなって……なんで私、うらやんでいるんだろう)
着物が着たいわけでも、個人でお店をしたいわけでもない。ただ単純に、彼がとてもうらやましくなったのだ。けれどその理由がわからない。
近づいてくる青年をいくらながめても、気持ちの発端は見つからない。そうしているうちに青年は元子の目の前に立った。
「すこし、散策をしませんか」
「え」
「ご案内いたします」
威圧的ではないのに、あらがいがたい硬質な雰囲気があった。返事を待たずに庭の奥に進む青年の後に、元子は続く。池を行きすぎ、低い庭木の奥に入ると小道があった。そこから先は森だと思っていた元子は、意外な道におどろきながらも心をはずませ、けれど青年の背中に不安を向けた。
(どうしてなにも言わないんだろう)
庭の紹介をしたいのなら、なにがしかの説明をするはずだ。けれど彼はなにも言わない。
(もしかしてナンパ……な、わけないし)
いったいなにを考えているのかと、元子は青年の背中を一心に見つめ続けた。木陰の落ちる道をただ無言で通り過ぎ、庭に戻った元子の胸には大きな疑念の塊ができていた。
振り向いた青年が「どうでしたか」とほほえんだ。
「え」
「あの道から、庭の全体がながめられたでしょう」
「えっ、ああ」
そういえばゆるやかな坂道になっていたと、元子はあわてて愛想のいい笑顔を作った。
「すごく、キレイでした」
すると青年はゆるゆると頭を振って、笑顔のまま悲しげに眉尻を下げた。
「うそは、いけませんよ」
「え」
「ずっと私の背中を見ていらっしゃったでしょう? そして考え事をなさっていた」
おだやかな声に避難の色は見えない。けれど叱られた気がして、元子は首をすくめた。
「えっと……あの、すみません」
「どうして、あやまるのですか」
「その……せっかく案内をしてくれたのに、なにも見ていなくて」
ふうむと言いたげに、青年は口元に右手を当てた。
「私が説明をしなかったから、とは思われないのですか」
「いえ、ええと、あの」
なにをどう言えば彼を不快にさせずに済むだろうと、元子は必死に思考をめぐらせる。どこまでも透明でやわらかな彼の視線は晴れた春空に似て、どこまでも高く広くやさしい輝きを浮かべている。だからこそ曇らせてはいけないと、元子は心を砕いて“正解”を探した。
「思ったままを、言ってください」
「ご、ごめんなさい」
青年は笑顔のまま小首をかしげた。元子の胸が緊張と不安に硬くなり、鼓動が激しく大きくなる。
「えっと……その、あの……私」
(どうしよう。どうすればいい――?)
グルグルと不安をかき混ぜ言葉を探す元子に、青年はクスリと鼻を鳴らした。
「私は屋敷に戻りますので、どうぞお好きにお過ごしください。お邪魔して、申し訳ありません」
「いえ、邪魔だなんてそんな――」
「では」
元子の言葉を遮って、青年は静かな足取りで建物の中に吸い込まれた。肩や背中に不快や怒りは見受けられない。
(客商売だもんね。このくらいで機嫌を悪くしたりなんて、しないよね)
自分をなぐさめながら、元子はさきほど案内された道を振り返った。
(せっかく案内してくれたんだし、きちんと景色を見ながら歩こう)
そう決めた元子は庭の奥に進み、木漏れ日にうもれた道からの風景を確かめながら歩いた。
そよとも風のない道に、木漏れ日の光がまるい模様となって落ちている。見上げると木の葉の重なりの薄い部分が、ぼんやりと緑の光をにじませていた。空は青く葉が緑だとわかっているのに、光は白黄金で天は緑と錯覚してしまうほどだ。道の半ばまで進んだ元子は、庭へと視線を転じた。
なるほど青年の言う通り、庭どころか建物までもが一望できる。それほど高く坂を上った感じはないが、ゆるやかなので気がつかなかっただけだろう。かといって、建物の向こう側――表玄関の先まで見えるわけではない。
(思ったより、ちいさい)
厨房と客室とお手洗いと……と、元子は建物内の配置を考えてみる。玄関が広かったから、もっとずっと大きな建物だと思っていた。裏庭のほうが建物よりも面積が広いのではないか。
「なんか、意外」
客室の広さから考えると、ふた部屋ほどしかないのではないか。それともいちばん大きな客室に通されただけで、ほかの部屋はもっとこぢんまりとしているのか。
不思議な店だなぁと、元子は庭と建物をながめる。そしてなんの店だったっけと頬に指をあてた。
(お茶とお饅頭をいただいて、とってもおいしくて……庭を散策して、ええと……庭園が自慢の観光地じゃなくて、お店のはずだよね)
思い出そうとすると頭の芯が酒酔いに似た揺れをはじめて、元子は眉をひそめた。ぐわぁんと脳みそが揺れる。目頭を押さえてよろめいて、浅くなった呼吸を整えるとすぐに気分は回復した。
(ああ、そうだ。季節の料理を味わえる、隠れ家的古民家カフェだ)
無料で駅前などに置かれているシティ誌をなにげなく手に取って、暇つぶしに読んでいたら載っていた。興味を惹かれて電話をかけて、予約をしたんだったと元子は疑問の解答を腹の底に落とす。
(こういう雰囲気のお店って、けっこう好きだし)
パステルカラーのかわいい店や、洋風のオシャレなカフェも嫌いじゃないが、元子の好みにぴったり合うのは、こういう日本的な落ち着きのあるたたずまいの店だった。
てくてく庭へと歩きながら、誰か誘えばよかったかなと考えてみるも、こういう店が好きそうな友人は思い当たらない。
(面白がってはくれるかもだけど、好きかどうかってなると微妙だな)
だから自分はひとりで来たのだったと、出不精なのに予約までして訪れた己の珍しい行動に納得する。
縁側に戻って腰かけて、ぼんやりと庭をながめていると「失礼します」と青年が食事を運んできた。山菜の和え物とお吸い物、川魚を焼いたものにご飯が並ぶ。華やかではないけれど、なつかしくも風情のあるものたちに元子は目を細めた。
「おいしそう」
座椅子に腰を落ち着けて手を合わせた元子は、箸を取って食事をたのしんだ。その間、青年は部屋の隅に落ち着いている。
「あの」
「はい」
「どうしてそこに」
元子の質問に、青年は笑顔でお櫃を示した。
「自分でできますから」
「これが仕事なので、遠慮なさらずに」
遠慮をしているのではなく、そうして見守られているのが居心地悪い。けれど仕事と言われれば、そうとも言えずに元子は口をつぐんだ。湯呑に手を伸ばして、緊張を飲み下す。すると青年は膝で近づき、茶を注いでくれた。
「ありがとうございます」
「いえ」
そしてまた、するすると膝で下がって定位置らしい場所に戻った。
(ありがたいけど、落ち着かないなぁ)
けれど、ささくれに似た不快は残る。
(しかたないよね)
会話をしていないのだから、理由がわかるわけはない。考えて想像して、きっとそうだと落としどころを見つければ納得になるけれど、彼女たちはそれをしていないから元子を苦手と判断したのだ。
(もともとは私が勝手に彼女たちを不真面目だって思って、嫌な顔したのが悪いんだし)
先に不快を示した相手に、好感を持つのは難しい。だから自分が悪いのだと元子は結論づけて、さみしくなった。
「どうして私って、こうなのかなぁ」
反省をするくせに、だからこうしようと行動に移せない。そういうところがよくないのだとわかっていても、どうすればいいのかわからない。仲良くしたいわけではないが、気まずい関係ではいたくない。煙たがられたくはない。
(こういう部分を、八方美人って言われたのかも)
後輩たちの評価はあながち間違いではないと、元子の心は沈んでいく。
(ああ、だめだめ!)
せっかくおいしいお茶と饅頭をいただいたのに、落ち込んでどうするのだと元子は立ち上がった。
「切り替え、切り替え」
じっとしているから妙な考えをするのだと、元子は見事な庭園を散歩することにした。
草履をつっかけ、庭に降りる。
首を巡らせて低い庭木や大きな岩に囲われた池、ちいさな滝を目の中に焼きつけながら、雲の上を歩くような足取りでふわふわと土を踏む。低い庭木は行儀よく並んでいて、自分だけはと飛び出している枝がない。ちらほらとある花の影に近づいて、草の匂いに交じった甘い花蜜の香りを味わう。体を反転させて池に近づき、悠々と泳いでいる鯉の背中に目を細め、とめどなく池に注ぐ滝の水に吐息を漏らした。
(なんて、きちんとしているんだろう)
庭にあるすべてのものが調和している。水の一滴、草の一本すらも必要不可欠な要素となって、庭の景色を構成している。
心地がよくて、元子は池を囲う岩に腰かけ、おだやかな気分で陽光に包まれた。
熱くもなく寒くもない。ふんわりと包んでくる空気はやさしく、風はなかった。耳に当たるのは滝の音のみ。鯉もひっそりとして水面をたたかない。
静穏な空間に元子の心が凪いだ。
すべてが些末な出来事に思えてくる。
(このままずっと、こうしていたいなぁ)
庭の一部として溶け込んでしまいたい。このままずっと、こうしていたい。そう望んだ元子の耳に足音が届いた。
瞼を持ち上げた元子の目に、柔和な笑みをたたえた青年が映る。和装の彼は背後の建物とマッチしていて、この場にいなくてはならない存在と感じた。
(いいな)
ふいに浮かんだ感想に、元子はおどろく。
(いいなって……なんで私、うらやんでいるんだろう)
着物が着たいわけでも、個人でお店をしたいわけでもない。ただ単純に、彼がとてもうらやましくなったのだ。けれどその理由がわからない。
近づいてくる青年をいくらながめても、気持ちの発端は見つからない。そうしているうちに青年は元子の目の前に立った。
「すこし、散策をしませんか」
「え」
「ご案内いたします」
威圧的ではないのに、あらがいがたい硬質な雰囲気があった。返事を待たずに庭の奥に進む青年の後に、元子は続く。池を行きすぎ、低い庭木の奥に入ると小道があった。そこから先は森だと思っていた元子は、意外な道におどろきながらも心をはずませ、けれど青年の背中に不安を向けた。
(どうしてなにも言わないんだろう)
庭の紹介をしたいのなら、なにがしかの説明をするはずだ。けれど彼はなにも言わない。
(もしかしてナンパ……な、わけないし)
いったいなにを考えているのかと、元子は青年の背中を一心に見つめ続けた。木陰の落ちる道をただ無言で通り過ぎ、庭に戻った元子の胸には大きな疑念の塊ができていた。
振り向いた青年が「どうでしたか」とほほえんだ。
「え」
「あの道から、庭の全体がながめられたでしょう」
「えっ、ああ」
そういえばゆるやかな坂道になっていたと、元子はあわてて愛想のいい笑顔を作った。
「すごく、キレイでした」
すると青年はゆるゆると頭を振って、笑顔のまま悲しげに眉尻を下げた。
「うそは、いけませんよ」
「え」
「ずっと私の背中を見ていらっしゃったでしょう? そして考え事をなさっていた」
おだやかな声に避難の色は見えない。けれど叱られた気がして、元子は首をすくめた。
「えっと……あの、すみません」
「どうして、あやまるのですか」
「その……せっかく案内をしてくれたのに、なにも見ていなくて」
ふうむと言いたげに、青年は口元に右手を当てた。
「私が説明をしなかったから、とは思われないのですか」
「いえ、ええと、あの」
なにをどう言えば彼を不快にさせずに済むだろうと、元子は必死に思考をめぐらせる。どこまでも透明でやわらかな彼の視線は晴れた春空に似て、どこまでも高く広くやさしい輝きを浮かべている。だからこそ曇らせてはいけないと、元子は心を砕いて“正解”を探した。
「思ったままを、言ってください」
「ご、ごめんなさい」
青年は笑顔のまま小首をかしげた。元子の胸が緊張と不安に硬くなり、鼓動が激しく大きくなる。
「えっと……その、あの……私」
(どうしよう。どうすればいい――?)
グルグルと不安をかき混ぜ言葉を探す元子に、青年はクスリと鼻を鳴らした。
「私は屋敷に戻りますので、どうぞお好きにお過ごしください。お邪魔して、申し訳ありません」
「いえ、邪魔だなんてそんな――」
「では」
元子の言葉を遮って、青年は静かな足取りで建物の中に吸い込まれた。肩や背中に不快や怒りは見受けられない。
(客商売だもんね。このくらいで機嫌を悪くしたりなんて、しないよね)
自分をなぐさめながら、元子はさきほど案内された道を振り返った。
(せっかく案内してくれたんだし、きちんと景色を見ながら歩こう)
そう決めた元子は庭の奥に進み、木漏れ日にうもれた道からの風景を確かめながら歩いた。
そよとも風のない道に、木漏れ日の光がまるい模様となって落ちている。見上げると木の葉の重なりの薄い部分が、ぼんやりと緑の光をにじませていた。空は青く葉が緑だとわかっているのに、光は白黄金で天は緑と錯覚してしまうほどだ。道の半ばまで進んだ元子は、庭へと視線を転じた。
なるほど青年の言う通り、庭どころか建物までもが一望できる。それほど高く坂を上った感じはないが、ゆるやかなので気がつかなかっただけだろう。かといって、建物の向こう側――表玄関の先まで見えるわけではない。
(思ったより、ちいさい)
厨房と客室とお手洗いと……と、元子は建物内の配置を考えてみる。玄関が広かったから、もっとずっと大きな建物だと思っていた。裏庭のほうが建物よりも面積が広いのではないか。
「なんか、意外」
客室の広さから考えると、ふた部屋ほどしかないのではないか。それともいちばん大きな客室に通されただけで、ほかの部屋はもっとこぢんまりとしているのか。
不思議な店だなぁと、元子は庭と建物をながめる。そしてなんの店だったっけと頬に指をあてた。
(お茶とお饅頭をいただいて、とってもおいしくて……庭を散策して、ええと……庭園が自慢の観光地じゃなくて、お店のはずだよね)
思い出そうとすると頭の芯が酒酔いに似た揺れをはじめて、元子は眉をひそめた。ぐわぁんと脳みそが揺れる。目頭を押さえてよろめいて、浅くなった呼吸を整えるとすぐに気分は回復した。
(ああ、そうだ。季節の料理を味わえる、隠れ家的古民家カフェだ)
無料で駅前などに置かれているシティ誌をなにげなく手に取って、暇つぶしに読んでいたら載っていた。興味を惹かれて電話をかけて、予約をしたんだったと元子は疑問の解答を腹の底に落とす。
(こういう雰囲気のお店って、けっこう好きだし)
パステルカラーのかわいい店や、洋風のオシャレなカフェも嫌いじゃないが、元子の好みにぴったり合うのは、こういう日本的な落ち着きのあるたたずまいの店だった。
てくてく庭へと歩きながら、誰か誘えばよかったかなと考えてみるも、こういう店が好きそうな友人は思い当たらない。
(面白がってはくれるかもだけど、好きかどうかってなると微妙だな)
だから自分はひとりで来たのだったと、出不精なのに予約までして訪れた己の珍しい行動に納得する。
縁側に戻って腰かけて、ぼんやりと庭をながめていると「失礼します」と青年が食事を運んできた。山菜の和え物とお吸い物、川魚を焼いたものにご飯が並ぶ。華やかではないけれど、なつかしくも風情のあるものたちに元子は目を細めた。
「おいしそう」
座椅子に腰を落ち着けて手を合わせた元子は、箸を取って食事をたのしんだ。その間、青年は部屋の隅に落ち着いている。
「あの」
「はい」
「どうしてそこに」
元子の質問に、青年は笑顔でお櫃を示した。
「自分でできますから」
「これが仕事なので、遠慮なさらずに」
遠慮をしているのではなく、そうして見守られているのが居心地悪い。けれど仕事と言われれば、そうとも言えずに元子は口をつぐんだ。湯呑に手を伸ばして、緊張を飲み下す。すると青年は膝で近づき、茶を注いでくれた。
「ありがとうございます」
「いえ」
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