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私ははっとして立ち止まった。
この声。そして、ガイジンという言葉。
間違いない。彼らが、ラーシュを泥棒に仕立て上げたのだ!
……でも、どうしたらいいのだろう。
星のささやきが聞こえるには、まだ気温が高すぎる。気温が十分に下がるまで、彼らが待ってくれるわけもない。
事実、彼らは店を出てしまった。私は店内で焦り続ける。
彼らの前に出て、顔だけでも確かめておこうか。でも、その先は?
「明日」という単語にひっかかった。悠長なことをしていたら、明日、また何かされるのかもしれない……!
――気が付くと私は、三人組の一番後ろにいる男子の腕をつかんで叫んでいた。
「もうやめてください!」
「……は?」
突然見知らぬ女に怒鳴られた彼らは、「なんだこいつ」と言いたげな表情をこちらに向けた。
胡乱な目つきに思わずひるむ。
とっさに叫んでしまったが、知らない男子の集団に話しかけた経験なんてほとんどない。自分の突飛な行動に泡を食いながら、引っ込みがつかず食い下がった。
「あ……、あなた達なんでしょう、ラーシュに嫌がらせしたの!」
「――あんた、誰? 何言ってんの?」
無視して通り過ぎようとしていた三人は、険しい表情をして、私を取り囲んだ。皆、私より身長が高く威圧感がある。
「あ! こいつ、見たことある! あいつとよく公園にいる女だろ」
「は? じゃあまさかこれ、あいつのカノジョ?」
「ち、違います! 私はただの友達で……」
「ただの友達がなに? なんで俺たちに難癖付けてきてんの」
「証拠があんのかよ、証拠が」
恐怖で足がすくんだ。目に涙がにじむ。のどが詰まって、声が出ない。
この声。そして、ガイジンという言葉。
間違いない。彼らが、ラーシュを泥棒に仕立て上げたのだ!
……でも、どうしたらいいのだろう。
星のささやきが聞こえるには、まだ気温が高すぎる。気温が十分に下がるまで、彼らが待ってくれるわけもない。
事実、彼らは店を出てしまった。私は店内で焦り続ける。
彼らの前に出て、顔だけでも確かめておこうか。でも、その先は?
「明日」という単語にひっかかった。悠長なことをしていたら、明日、また何かされるのかもしれない……!
――気が付くと私は、三人組の一番後ろにいる男子の腕をつかんで叫んでいた。
「もうやめてください!」
「……は?」
突然見知らぬ女に怒鳴られた彼らは、「なんだこいつ」と言いたげな表情をこちらに向けた。
胡乱な目つきに思わずひるむ。
とっさに叫んでしまったが、知らない男子の集団に話しかけた経験なんてほとんどない。自分の突飛な行動に泡を食いながら、引っ込みがつかず食い下がった。
「あ……、あなた達なんでしょう、ラーシュに嫌がらせしたの!」
「――あんた、誰? 何言ってんの?」
無視して通り過ぎようとしていた三人は、険しい表情をして、私を取り囲んだ。皆、私より身長が高く威圧感がある。
「あ! こいつ、見たことある! あいつとよく公園にいる女だろ」
「は? じゃあまさかこれ、あいつのカノジョ?」
「ち、違います! 私はただの友達で……」
「ただの友達がなに? なんで俺たちに難癖付けてきてんの」
「証拠があんのかよ、証拠が」
恐怖で足がすくんだ。目に涙がにじむ。のどが詰まって、声が出ない。
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