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副部長と初接触です
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「おい、あれ」
「まじかよ、そんなことって…」
当たり前だが、社員食堂でも先程と同じことが起こった。
みんなが目を丸くしてこちらを凝視している。
そんな中、副部長は全く動じることなくサバの味噌煮をもぐもぐしている。
こうしてみるとハムスターみたいで可愛いかもしれない。
「サバの味噌煮好きなんですか?」
「ハンバーグよりは」
最低限の回答をした後、再びサバを咀嚼する作業に戻る副部長。
今日の社食のメニューがハンバーグかサバの味噌煮かの二択だったので、やむなくサバを選んだということだろう。
俺と話すのが嫌なのか、それとも話すこと自体が嫌いなのか…できれば後者であってほしい。
俺は副部長のあまり好きではないハンバーグを一口咀嚼した。
「小笠原副部長はなんで今日昼食ご一緒してくれたんですか?俺って副部長とほとんど接点ないのに」
これは一番の疑問だった。
おそらく部署内のみんなも同じ疑問を抱いていると思う。
副部長は口の中にあるサバを一定時間噛んだあと口を開いた。
「断る理由がなかったから」
相変わらず無表情のままそう答える。
こうして再び会話が途絶えた。
しかし俺の会話スキルを舐めてはいけない。
「新人が取っておくべき資格とかありますか?俺あんまりわからなくて」
こういうときは相手が好みそうな話題を選ぶべきだ。
副部長のことだから資格なんて知り尽くしているだろう。
「社会保険労務士。後々取得する必要があるから、早いうちに」
「あ、それ大学生のときに取りました」
「人事部を志望してたの?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど、働くなら労働に関する法律は知っておいた方がいいかなと思って。実は俺、はじめは営業部に入る予定だったんですけど、資格を持ってるならって急遽人事部に配属になったんです。人事部は数年勤めないと異動できないと聞いていたので、1年目で人事部に来れたのはラッキーでした」
「…」
珍しく副部長から質問してくれたから調子に乗っていらないことまで話してしまった。
そしたら副部長の眉間に一瞬皺が寄った。
すぐに仏頂面に戻ったけど。
もしかして俺は副部長を怒らせてしまったかもしれない。
「ごちそうさま。犬飼くんはゆっくりしていて」
「あっ、はい」
俺が悶々としているうちに副部長は食べ終わってしまったみたいで、颯爽と食堂を去っていく。
いや、俺の方がよく喋っていたかもしれないけど、
それにしても男の俺よりはるかに食べ終わるスピードが速い。
昼飯を一緒に食べれば少しくらい副部長のことが分かるかなと思ったが、結局何の成果も得られなかったうえに好感度も下がった。
俺の口角が上がる。
面白い。
これくらい攻略難易度が高くなければつまらない。
昂った感情を何とか押さえつけながら、俺も食堂を後にした。
「おい、あれ」
「まじかよ、そんなことって…」
当たり前だが、社員食堂でも先程と同じことが起こった。
みんなが目を丸くしてこちらを凝視している。
そんな中、副部長は全く動じることなくサバの味噌煮をもぐもぐしている。
こうしてみるとハムスターみたいで可愛いかもしれない。
「サバの味噌煮好きなんですか?」
「ハンバーグよりは」
最低限の回答をした後、再びサバを咀嚼する作業に戻る副部長。
今日の社食のメニューがハンバーグかサバの味噌煮かの二択だったので、やむなくサバを選んだということだろう。
俺と話すのが嫌なのか、それとも話すこと自体が嫌いなのか…できれば後者であってほしい。
俺は副部長のあまり好きではないハンバーグを一口咀嚼した。
「小笠原副部長はなんで今日昼食ご一緒してくれたんですか?俺って副部長とほとんど接点ないのに」
これは一番の疑問だった。
おそらく部署内のみんなも同じ疑問を抱いていると思う。
副部長は口の中にあるサバを一定時間噛んだあと口を開いた。
「断る理由がなかったから」
相変わらず無表情のままそう答える。
こうして再び会話が途絶えた。
しかし俺の会話スキルを舐めてはいけない。
「新人が取っておくべき資格とかありますか?俺あんまりわからなくて」
こういうときは相手が好みそうな話題を選ぶべきだ。
副部長のことだから資格なんて知り尽くしているだろう。
「社会保険労務士。後々取得する必要があるから、早いうちに」
「あ、それ大学生のときに取りました」
「人事部を志望してたの?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど、働くなら労働に関する法律は知っておいた方がいいかなと思って。実は俺、はじめは営業部に入る予定だったんですけど、資格を持ってるならって急遽人事部に配属になったんです。人事部は数年勤めないと異動できないと聞いていたので、1年目で人事部に来れたのはラッキーでした」
「…」
珍しく副部長から質問してくれたから調子に乗っていらないことまで話してしまった。
そしたら副部長の眉間に一瞬皺が寄った。
すぐに仏頂面に戻ったけど。
もしかして俺は副部長を怒らせてしまったかもしれない。
「ごちそうさま。犬飼くんはゆっくりしていて」
「あっ、はい」
俺が悶々としているうちに副部長は食べ終わってしまったみたいで、颯爽と食堂を去っていく。
いや、俺の方がよく喋っていたかもしれないけど、
それにしても男の俺よりはるかに食べ終わるスピードが速い。
昼飯を一緒に食べれば少しくらい副部長のことが分かるかなと思ったが、結局何の成果も得られなかったうえに好感度も下がった。
俺の口角が上がる。
面白い。
これくらい攻略難易度が高くなければつまらない。
昂った感情を何とか押さえつけながら、俺も食堂を後にした。
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